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さいしょの一年。

今日は、めい(四女)の一才の誕生会だった。

四女は、生まれた時から苦労人だった。
母体にリスクがあったため、半年近く早く出てきたし、そのときも出血があって血まみれだったという。

保育器で育つあいだも、妹夫婦と祖父母たちがいろんな心配をしながら見守ってきた。保育器を出た後も「なにか他の子と違うところはないか」という目で見られた。

それまでの三人の出産でも多少のトラブルはあったものの、四女のそれは程度が違ったから家族みんながハラハラした。「あんまり心配しない方がいいと思うけど」と思いつつ、ぼくもちょっと心配した。

四女はあんなに小さなからだで、生まれる時に一生分の苦労をしてきたように思えた。

それから一年。
彼女は、順調にそだっている。

抱っこするとあったかくて、ちょうどいい重さで、つかまり立ちができるようになって机を伝って移動したり、ぼくの声を真似てアーと言ったり、舌をつかんで喜んだりしていた。笑うと大きな声が出て、家族みんながつられて笑った。

ふつうだ。すごくふつう。

よかった。

たった一年で、四女はすっかりぼくらの家族になった。

彼女より四十歳年上の僕は、四女のこの先にいろんな、予想もつかないようなことが待っていることを知っている。楽しいことも、少しつらいことも。

そして、ぼくのほうが先にいなくなるんだよな、とも思う。
そう思うと、なんだかしんみりするような、すっきりするような気持ちになる。

ふつうのことというのは、改めて考えると、とてつもないことだ。
心配したらきりがないくらいの、奇跡の連続でできていたりもする。

でも、そんなことはとりあえず忘れて、ぼくたちは日々を過ごす。
今日も両親と妹夫婦とめいっ子たちとにぎやかに、ウノをしたり、ごちそうを食べたりして過ごした。

この先なにが起こるかわからない。
それがふつうのことだ。

でも、いいことがいっぱいあるといいよね。

四女はさいしょに大変だったので、他の人よりいいことをちょっと多めにしてあげてほしい。

そんなことを思ったりしている。

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澤 祐典
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