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おかあさんに好かれたい。

今日も赤ちゃんと二人で子どもプラザに行った。

この記事を書いた時には初めてだったけれど、以来、足繁く通うようになった。家で入ってほしくない場所や触らせたくない物から引き離すことばかりしている僕にとって、ほぼなにもせずに見ていられる場所はとてもありがたかった。

いつもは午後に30分くらいしかいられないけれど、今日は長めに遊ばせてあげたいと思い、午前中から出かけた。到着してドアを開けると中にはたくさんの親子連れがいて、乳幼児のディズニーランドのよう。「これが午前中の景色か」とおののいたが、スタッフさんによると普段の午前中より多いらしい。

適当な場所を見つけて、赤ちゃんを抱っこひもから降ろす。早速、目についたおもちゃ目がけて突進し、手にとって遊びはじめる。動き出しの速さに感心するばかり。

そうして1時間ほど経った頃だろうか、ようやく場所に慣れてきたのか、「あーあー」と声を出したり、他の子の使っているおもちゃに近づいたりするようになった。他の子が遊んでいたり、おかあさん同士が話したりしている間をお構いなくかき分けて、赤ちゃんが突進していく。「すいませんね」とおとうさんも付いていく。

そうして、プラザ内を縦横無尽に動きまわった後、さらに余裕が生まれたのか、今度はよそのおかあさんに近づいていくようになった。そのうちの一人にとても面倒見のいい若いおかあさんがいて、うちの子を見ると、いないいないばあをして遊んでくれた。赤ちゃんは声をあげてよろこんでいる。僕と遊んでいたときには発しなかった笑い声。それどころか、家族以外の前で笑ったのもはじめてだった。

遊んでもらっているうちに乗ってきたのか、若奥様のひざから接近して、マスクを剥ぎとろうとしはじめた。さすがに制止すると、今度は最近お気に入りの「後ずさり」をムーンウォークのように見せて喝采を浴びていた。こんなふうによその人に近づいたり、アピールしたりする赤ちゃんをはじめて見た。

気をよくしたのか、その後も赤ちゃんは他のおかあさんに近づいていっては誉められて、殿様のように上機嫌だった。事あるごとに「後ずさり」を見せていた。最後の最後までおとうさんといるときには笑い声をあげなかった。

最近読んだ本に「ケアは水や空気のように意識されない方が上等」とあったから、僕の存在はよいケアになっていたのだろう。などと心の中でつぶやいて、自分をなぐさめる。

そんなふうにして、2時間弱の子どもプラザ滞在は大盛り上がりで終わった。たくさん遊ばせることができて、僕もふだん赤ちゃんの行動を制限している後ろめたさからいくらか自由になれた。

それにしても、あの若いおかあさんにばかり向かっていって、愛嬌を振りまく感じはなんなんだろう。赤ちゃんも男ということなんだろうか。そういえば、朝の散歩のときも、地下鉄の改札で声をかけられたときにも、おばちゃんには塩対応だったなぁ。

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澤 祐典
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