満水。そして溢れる。
ジャンジャンバリバリ
と、その話をしたとき、妻は言った。
いま、ちょっと信じられないことが起きている。
僕がしている三つの仕事、『あなたのうた』『歌い手冥利』『作曲事始』にそれぞれバラバラに、次々と申し込みが入っているのだ。
それはたしかに、パチンコで大当たりを当てたときに似ている。ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリ。勢いが止まらない感じで(ちなみに僕はパチンコをしたことはない)。
東京、埼玉、長崎、ブラジル。ブラジル!?
日本全国、そして、地球の裏側と通信して、歌や作曲のことでワイワイやれる。
今月、というかここ数日で、そんな状態になった。
こんなことは、いままで四年間、一度もなかった。
さらに驚くことに、自営業として「㐧二音楽室」をはじめてから四年間、ひそかに大事にしてきたことが、急に伝わりはじめている。
不器用でも納得のいく言葉をつかうことだとか、損しそうでも本当のことを書くことだとか、メールを一通ずつ丁寧に送ることだとか。
「誰にもわかんないだろうな」と思っていたそういう細かいところを目ざとく見つけて「すごくいい」「憧れてる」「うらやましい」「ありがとう」といった言葉で返してくれる人が、今になって現れたのだ。
あんまり長く反応がないんで「ああ、こういうのは本当に意味がないんだな」と思っていたところに、いま、血が通っている。
信じられない。マジで。
実を言うと、先々月に児童館の仕事をやめて、先月はそのお給料が入っていたのだけれど、今月は入ってこない。
だから「いよいよヤバイかも」と思っていた。
残高がゼロになる可能性、なくはないどころか「いままで通り」なら確実になる状態にあった。
で、退職した当初から、その分を補うためにバイトを入れようと思っていたんだけど、「心の声」(『トイ・ストーリー4』のバズのように、僕は心の声をよく聞いている)が頑として首を縦に振らない。
マジかよ、と思っていたが、正しかった。
僕はある時から自分の考えよりも「心の声」を優先して生きるようになった。
「声」は頻繁に僕の考えを無視する。でも「ウソでしょ!?」と思いながらも、しぶしぶその「声」のいう方に進んでみると、思いがけないいいことがあった。
僕の「きくこと」の師匠、橋本久仁彦さんがこの間「思いどおり、ではなく、思いがけない人生」みたいなことを言っていたけれど、本当にそんな感じで。
最初に思っていた「そんなことしたらひどい目に遭う」という意味での「ウソでしょ!?」が、行ってみると「こんないいことがあるなんて」という「ウソでしょ?!」に変わる。ひっくり返る。
でも、それにしたって、こんなことになるとは。
何が起きたのか、正直、自分ではわからない。
でも、満月の日に、なにかが明らかに変わってしまった。
どこかに溜まった水が満水になって、溢れ出したみたいに。
とりあえず、いま、小心者の僕が思うことは「この流れが止まりませんように」ということだ。いまのところ「心の声」は「大丈夫」と言っている。
じゃ...じゃあ、行けるところまで、行ってみますか!
To infinity and beyond!
(無限の彼方へ、さあ行こう!)