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尊い。

朝の散歩、洗濯、朝食、離乳食と午前中のルーティンが終わり、一息ついていたところ、向こうで赤ちゃんがベビーバスと遊んでいるのが見えた。

僕も奥さんも目に入っていない、完全に一人の時間。夢中になってベビーバスを噛んだりさわったりしている。

その様子を見て「尊い」と感じた。他のなにものも、赤ちゃんの視界には入っていない。ただベビーバスだけを見る真剣なまなざし。高くなってきた太陽の日差しが窓から差し込んで、赤ちゃんのまわりの空気だけ澄んでいくように見えた。

「尊重」という言葉があるが、あれはこういう気持ちか、と思った。
「尊い」ものを重要だと感じて、そのままにしておきたい気持ち。邪魔してはいけないと自然に思わせるもの。存在の透明感。

僕はそっとドアの向こうに隠れ、できるだけ視界に入らないようにした。
しばらくして、親の不在に気づいた赤ちゃんが「あー」と言って、僕らを呼んだ。

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澤 祐典
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