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はじめての総選挙。

今日は衆議院議員選挙の投票日。
うちの近所にも投票所があって、朝からぱらぱらと、しかし途切れなく足を運ぶ人の姿を見かけた。

この1、2週間、抱っこひもに赤ちゃんを入れて歩いていると、選挙カーや候補者本人とすれ違うことがあった。車の中から手を振る候補者に、妻がなにげなく手を振り返すと「ありがとうございます!子育て支援も頑張ってまいります!」と言われた。ふわっと選挙カーの中の人の空気がゆるんだ気がしたので、僕もつられて手を振った。「多くの人に無視されて政治家さんも大変だろうな」と思った。そんな気持ちになったのは、胸の前に赤ちゃんがいたからだと思う。一瞬だけ「人間同士のふれあい」が起きていた。

妻が散歩しているとき、車道を挟んで反対側に社民党の福島党首がいて「どうですか、ママさん!子育てしづらくないですかー!」と呼びかけられたことがあったそうだ。僕は僕で駅前広場に来た立憲民主党の野田代表を見に行った。候補者の人ってこんな経歴なんだって、と夫婦で話す時間もあった。子どもができたからだろうか、いつになく身近に感じる選挙戦だった。

夕方、僕たち夫婦も投票所に向かった。赤ちゃんを連れて投票所に入るのははじめてのこと。なんにも考えずに行ったのだけれど、台で候補者や政党名を書くために前かがみになると、抱っこひもの赤ちゃんの顔がちょうど台の真ん中にくる形になって、めちゃくちゃ書きにくかった。しかもニコニコ笑っている。動きまわる赤ちゃんをよけながら、斜めによれた曲がった文字で一文字ずつ書き進め、最後には椅子のある台に移動し、なんとか記入を終えて票を投じる。妻によると、選挙管理のスタッフの一人が思わず笑ってしまっていたそうだ。

この後、20時で投票は締め切りとなり、今夜未明には大勢が判明するという。ありがちな締め方だけれど、どんな結果になるとしても、抱っこひもの中の赤ちゃんのよろこびが増える未来につながるといいなと思う。そういうことを実感をもって思えるようになった選挙は、やっぱりはじめてだった。

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澤 祐典
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