"不思議"を経由する仕事。
不思議だね 二人が
こうして 会えたこと
そのために 二人こゝへ
生まれて きたのかな
(小田和正『woh woh』より)
15分間うかがったお話から、あなただけの、世界に二つとない歌を立ち上げていく新サービス「あなたのうた」がはじまった。
案内ページをつくりながら、最後の最後まで迷っていたのは、これが「あなた "の" うた」なのか「あなた "との" うた」なのかということだった。
厳密に言うと「あなたのうた」では、うかがったお話の内容がそのまま歌になるわけではない。そこにはある種の飛躍というか、つながっているのかいないのか分からないような "不思議" がはさまっている。
それは、占いにちょっと似ている。
けれど、占いほど人生を指南する要素はない。
ただ、そこに "不思議" が介在していることによって、言葉でやりとりしているコミュニケーション、会話、対話のどれとも違う伝わり方をする。
案内には便宜上「深い」と書いたけれど、それが深いのか浅いのかは分からない。
だけど、じゃあ、どうしてそんなに震えんばかりに泣いているのか。
歌ってる僕も、途中で泣きそうになるのはなんでなのか。
「あなたのうた」は、そういう "不思議" な仕事である。
やってる自分も、なんで曲ができるのか、どうしてその曲なのか、説明できない。
でも、もともと歌というのは、意味も意味不明も、善も悪も、聖も俗も、全部ひっくるめて扱えるだけの器があるのだ。そのどこまでも広い器に自らを投じ、あなたと二人、出逢えたことを言葉で音で祝福する。そんな時間になるのだと思う。
あなたは、だれですか。
なぜ、このとき、この時代に、いっしょにいてくれるのですか。
これほど面白く、難しい問いはない。
その深さで知り合いたい。
この仕事を続けていく中で、どんな出逢いがあるのか、そして、歌の中に自分のどこまでを込められるようになるのか、とても楽しみだ。
結局、タイトルは「あなたのうた」のままにした。
「あなたとのうた」ほど厳密にはしない。そこにちょっとだけ意味が通らない破綻した感じが入っている方が、この仕事にはよく合っていると思えたからだ。