ロマンス

キャーキャー言わせていいんだぜ。

帰ってから家内を抱き締めることができました。
ちょっと驚いてましたが、喜んでくれました。

読んだ瞬間、映画のワンシーンがぱっと頭に思い浮かんだ。

ロバート・デニーロか、いや、ショーン・コネリーかな、とにかくやたら渋い男が帰宅するなり、間髪入れずに女を抱き締める。

羽交い締めにされて、驚いた表情を浮かべながらも歓喜にくたっと力が抜けて、そのまま身を委ねていく妻。

僕にとって、男の『魂うた®️』と言えば、これだ。

以前、名古屋で『魂と繋がる歌の唄い方』(魂うた)に参加してくださった五十代の方のご感想。

読んで、僕自身が「キャーッ」と女になってしまった。

「こ、これ、アップしてもいいですか?」と興奮して尋ねたところ「匿名であれば」と答えたところも渋かった。

もう一つの感想は、また印象が異なる。

ワークショップ自体の感想は、
どう言葉で言い表して良いか
わからない。

とにかく、あの日僕は出し切った。
出し切れたのは、澤ちゃんが
(いつものあの感じで)
さり気なく出してくれる、
アドバイスのおかげだ。

そして、唄い終わった後、

ずっと押し隠していたけど、
実は僕が一番欲しかった
予想外の評価と感想の言葉を、
メンバーからもらえた時に、

見える世界が
少し変わったというか、
久しぶりに、本当に久しぶりに
自分で自分を誇らしいと
感じることができて、

自分をさらけ出すことが、
以前よりは怖くなくなった

というか、
むしろ、さらけ出せる場を
心のどこかで求めていたんだな
と気づかされた。

友人、安川享志のエッセイ。
これはまるっきり僕自身だな、と思う。

「ずっと押し隠していたけど、実は一番僕が欲しかったもの」

僕にとって、それは女性からの好意と歓声だった。
ええ、キャーキャー言われたかったです。

でも、アンタだってそうだろ?

B’z の稲葉さんに憧れた思春期、なんで歌うかって、そりゃあ「うまい」とか「カッコいい」って言われたかったんだよ。

っていうか、小学生の時からそうだった。
テストで点数がいいとさ、こう、グッてガッツポーズして「どうだ!」って見せてたわけ。

その頃は頭がいいか、足が早いか、スポーツができるかがモテる条件だったから、テストの点がいいっていうのは、格好のセックスアピールだったわけよ。孔雀の羽、みたいな。それでわりとキャーキャー言われてたよ、実際。

でもさ、それをずーっと、中学生になっても続けてちゃダメだよな。
ちょうど面長になって、アゴもしゃくれてきてさ、ニキビまで出てきて、散々だったよ。それでも「テストでガッツポーズ」でいけると思ってたんだから、イタすぎた。

高校一年の時にね、もう大好きで大好きで一年想い続けた人に振られたんだよ。終業式の日にさ、ピロティに呼んで。

なに言ったか覚えてないよ。「付き合ってください」とは言ったと思う。なんて断られたかは、もっと覚えてない。でも、コジマってヤツが好きだったんだ、その子は。

頭真っ白でさ。

勉強したよ、それからは。することもなかったからね。
それが有名大学進学の理由。大したことないでしょ、ただぽっかり空いたものを勉強で埋めてたってだけさ。取り柄がそれしかなかったから。

もう一生ムリだと思ってたよ。
脚光を浴びたり、キャーキャー言われるなんて。

『魂うた®️』で最初に唄った時、オレ以外みんな女子でさ、正直ビビったよ。

でも、その頃は「やさしい人」として女子に同化できたからさ、なんていうの? スケベ心みたいなトゲをシャッて丸くして「あなたたちと同類です。安全です」みたいな顔してさ、溶け込もうとしたんだよ。

「さわちゃん」なんて呼ばれてね、それはうまく行ったはずだった。

でも、いま思えば見破られてたんだよ。そんときだって「男を出せ」ってファシリテーションされてたわけだから。

女を前にして「ワルくなれ」「誘惑しろ」って促されたときには、やっぱりビビった。

でもさ、思い切ってやってみたら、

キャーキャー言うんだ、女たちが。

そりゃあ、うれしかったよ。
信じられなかったけど。

「どうだー!」って思った。

久しぶりに、本当に久しぶりに
自分で自分を誇らしいと
感じることができて、
自分をさらけ出すことが、
以前よりは怖くなくなった
というか、
むしろ、さらけ出せる場を
心のどこかで求めていたんだな
と気づかされた。

そうそう、まんま、こんな感じ。

オレにもこんなことができるのかってね、めちゃくちゃうれしかった。

でも、信じなかったよ、そんなこと。
あれはワークショップっていう特殊な空間だからできたことで、普段のオレはそれなりに「やさしい」で通ってる、まあまあふつうの男。

会場の女神山を降りてからは、そんなふうに過ごしてた。そりゃ、そうだろ。

でもさ、何回行っても「キャーキャー」言われるんだ。お世辞じゃなくて。

しかもさ、「もっとくれ!」って言ってんだよ、女たちが。

え、怖くないの?
気持ち悪がったりしないの?

毎回そう思ったんだよ、実際。

だから、ふつうならやらないけど、やっていいならやってやるさ。

そんなふうにしたら、キャーキャー言ってんだよ、女たちが。

なんだよ、それって思った。
っていうか、いまでも慣れない。

でも、本当だったんだ。
最初はうれしかったけど、いまとなっては悔しいぐらいだよ。

なんでだよ、あそこならできるのに!って。

めちゃくちゃ嬉しいんだよ。
めちゃくちゃ気持ちいいわけ。

そりゃそうさ、それが「ずっと押し隠していたけど、実は一番僕が欲しかったもの」だったんだから。

でさ、オレ、すげえこと聞いちゃったよ。

女はさ、

男にキャーキャー言いたいんだって。

知ってた?
アンタにガッてされて、キャーッて言いたいんだよ。

マジかよって思っちゃうよな。

だからさ、マジでアンタに言っとくわ。

その女は、アンタにキャーッて言わされたがってる。

いいか、男よ。

キャーキャー言わせていいんだぜ。

それが一番、女を喜ばす方法なんだ。

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