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南畑初ライブ。

ひょんなことから、南畑で早速、弾き語りで歌うことになった。

僕は音楽家と自称してるくせにライブをしたがらない。人前で歌うのがなんだか恥ずかしいからだ。でも、そんな引っ込み思案な自分でも、ここぞというときにはやっぱり歌うことになる。

ひょんなことというのは、本当にひょんなわけで、個人的にはもっとこの土地になじんでから「実は歌なんか唄ってるんです……」とおずおずと開陳しようと思っていたのに、いきなり人前で歌うことになった。

それは風呂場で大事なところを隠そうと思っていたタオルを「さっさと裸になりんしゃい!」と剥がれるのに似ていた。

そういえば、僕は小学生の頃、プールの授業のときに女の子の使う胸まですっぽり覆うバスタオルで着替えていた子どもだった。なにを見せたくなかったのか、いまとなってはわからないが「隠せている」ことが安心だったのだ。

で、今日の弾き語りの話に戻ると、歌う前、近年ないほど緊張した。しぬかと思った。心臓はバクバクだし、おなかの調子もおかしい。「こわいー」と人に言ってみたら落ち着くかと思ったが、ぜんぜん落ち着かない。

でも、すごく喜んでもらえた。やってよかったな、と思った。
終わったあとは、この機会に感謝すらした。ゲンキンなものだ。

仮に「しぬかと思った」がなく、ただ歌がすきというだけでドンドン歌えるひとだったらどんなにいいだろう。そんなことを何度か想像したことがあるが、僕はそうならなそうだし、「しぬかと思った」のスパイスがなかったら、こんなにうまくいかなかったんじゃないかと思う。

そんなわけで「ああ、ひと山こえた」と思い、精魂使い果たした状態でいる。小学生男子のように「こわかったー」と言って奥さんに慰められたりして、さぁ、これからおいしい夕ごはんだ。

(ちなみに初ライブの様子は、後日、動画になって公開される予定。)

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