無防備への階段4

無防備への階段。

「ていねいな誘導があると、人は無防備になれるんだな」
と、まったく毛色の違った二つのことについて思った。

一つは、おととい参加した「自然の中で寝転ぶコンサート」。

こんな感じで、木のそばに寝ころがって歌を聴く。
いい感じで「構え」がとれて、音の聴こえかたも変わってくる。
鳥の鳴き声、風の音などもよく聴こえる。

主催は、森のシンガーソングライター、山田 証さん。

証さんと公園を散策して、食べられる野草を教わったり、生態系の話を聞いたりするうちに、ずいぶん自然と仲良くなった感じがした。

よくある森林公園のそこここが、証さんのガイドで、突然、天然のステージになった。

なによりすごかったのは、最後の桜の木のステージだ。

こんな枝ぶりの桜の木の下で、寝ころんだり、座ったりしながら証さんの歌をきいた。

ついでに僕も歌わせてもらった。

この日は風邪をひいて声がボソボソだったが、それ以上に無防備になりきれなかったという悔いが残った。

寝ころがって歌をきいたとき、ひとの声に比べて鳥の声や風の音というのは、なんにも入っていないんだなあと感じた。あんなふうにからっぽで歌えたらなあと思った。

でも実際には、そんなふうにはならなかった。
もっと桜の木と一体になるみたいに歌いたかったから悔しかったけど、でも機会をもらえてよかった。

無防備について考えたもう一つの出来事は、フェイスブックの投稿で知ったルーム・トゥ・リードの寄付集めのパーティーだ。

心屋仁之助さんや、

本郷綜海さんがそのときの様子をブログに書いている。

東京港区の高級正会員クラブで、ミシュランでも星がつく一流シェフの料理を楽しみながら、メインのチャリティオークションでは、100万、200万、300万といった高額の寄付がどんどん集まっていく。

この日一晩で集まった寄付金総額は、なんと 1億9720万円。

NPO関係者は眉をひそめそうだけれど、たった一晩でこれだぜ。
「社会貢献ではお金は稼げない」と言っている人たちの価値観がひっくり返るような記事だと思う。

この日、32万の予算だったところ、111万円の寄付に手を挙げることになった綜海さんは、チャリティオークションについてこんなふうに書かれている。

「なんで手を挙げさせたりするの?」
「黙って、匿名ですればいいことじゃない?」
というご意見もあることだろう。

わざわざ着飾って集まっては
お金を持っていることをひけらかすかのようで
「下品だ」と
思う方もいることだろう。

全くもってごもっとも!!!

そしてこのような素敵な
パーティーに出席しては
ゲーム感覚でオークションしたりすることで
私たちの気分が大きく広がることで
自分の本当の気持ちを
表現しやすくなるんだ、
と私は思うんだ。

通常の意識のままでいたら
このようなプロジェクトがある、
と聞いても
私がお財布から取り出すのは
1万円くらいかも知れない。

でもこうして意識が広がっては
豊かさのバイブレーションの中にいると
恐怖がすっかりとれては
本当にしたいことを
自分にさせてあげられるのだと思う。

そこには他人の目を意識した
自己顕示欲や承認欲求もあるだろう。

だからどうした!

私の未熟な承認欲求で
図書館に本がいっぱいになったり
少しでも教育の機会が
与えられる子供たちがいたとしたら
何を恥じることが
あるだろうか!!!

万歳!!

下品だろうと承認欲求だろうと自己顕示欲だろうと、それがどうした。

そのお金で教育の機会が与えられる子どもたちがいる。
具体的に、確実に実行される、よきことがある。

それを可能にしているのが、ルーム・トゥ・リード創始者であるジョン・ウッドさんの姿勢なんだと思う。

ジョンのこれらの状況を変えることに
賭ける情熱に、
私の魂の深くにある憧憬を
喚び起こしては泣けてしまうのだ。

彼の熱いハートから
こみ上げる奉仕への思いに
共鳴、感動しては
涙が出てしまうのだ。

それは全くセルフレスで
「自分」というものがない。

その純粋さに私は
芯から心打たれるのだ。

誰になんと言われようと「それがどうした」と言えてしまうだけの純粋さが、ジョンさんからは伝わってくるのだろう。へんな言い方だけれど「この人ならば騙されてもいい」というか。

この人ならば騙されてもいい。
危険な橋でも渡ってしまいたい。
本当の気持ちを表現してしまいたい。

そんなふうに思えるような人に、その純粋さに感化される喜び。

実際、記事に出てくるどの人も、とてもうれしそうにお金を支払っていた。
お金を払うのがうれしそうなんて、傍目からはちょっと不思議に思えるけれど、それは「自由にしてもらった」経験のように僕には思われた。

綜海さんもこの記事に出てくる人たちも、ふだんは他の生徒さんやクライエントさんを自由にして本当の翼を広げてもらう仕事をされている方々だ。

その人たちがこぞって大喜びしているんだから、ジョンさんってよっぽどなんだろうなあと思う。

自然の中で寝転ぶコンサートとチャリティオークション。
まるっきり違う二つのことを考えながら、ふっと僕は三宅洋平さんの「選挙フェス」のことを思い出した。

この人の演説を聞いたとき、僕は震えて「この国をよくしたい」と本気で思ったものだ。

そういえば、「自然の中で寝転ぶコンサート」を僕に勧めてくれた友人は、このコンサートについて「ちょっと怖かった」と話していた。

無防備になることは、ちょっと怖い。
そうなったときに、自分がなにをしでかすか、ちょっと怖い。
そういう気持ち、わかる気がする。

もしかしたら、涙が出ちゃうかもしれない。
もしかしたら、32万じゃなくて111万払っちゃうかもしれない。
もしかしたら、日本をよくしたいって言っちゃうかもしれない。

でも、そこに無防備に、純粋に、セルフレスにそうしている人がいてくれることで、僕らは勇気をもって無防備への階段を降りることができるのだと思う。

最近、権威について考えていたけれど、本当の権威っていうのは、人前で無防備になれる人のことなのかもしれないなって、なんかふと思った。

いろんなことがとっ散らかって、ぐちゃぐちゃっととしてきてしまったけれど、いいや。これでアップする。

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澤 祐典
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