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洗礼。

【注】本日は「うんち」についての記事です。赤ちゃんと暮らすようになると「おっぱい」や「うんち」が自然に会話に出てくるようになっていて、その気分のまま、書いています。不快にさせたらすいません。

夕方、仕事から帰ってきて、赤ちゃんをあやしていた時、おしりを支えている手もとに「ぷりぷりぷり」と感触がした。うんちだ。

うちの赤ちゃんは自力で出せず、綿棒で浣腸することも多いので「よかった」と思いながら、オムツを替えに行った。すると、見慣れないものがジーパンについている。うんちだ。

最近のオムツはよくできていて、横から漏れないようギャザーという羽根が付いている。今日はそれが機能しなかったらしい。

こんなことは今までなかった。夕飯をつくっていた奥さんに「助けて」と声をかけ、まわりに付かないように、そっと赤ちゃんを置く。残念ながら服のすそにもうんちが付き、奥さんに指摘されて振り返ると、横漏れの被害は床にまで及んでいた。

最初にうんちを触ってしまったのは、うまれてすぐの頃。胎便といって、真っ黒なうんちをしていた時期に、ごま粒みたいな丸いものが手について「おお」と思った。四児の母である妹に自慢したところ「そんなもんじゃないよ。どんどん触るよ」と言われた。

その後はオムツ替えのときに何度か触った。替えている最中に「ライブ」で用を足したときには「うわっ、待って!」とパニックになり、オムツを何枚もダメにした上に、服も思いっきり汚してしまい、奥さんから白い目で見られた(以来、この現象をわが家では「うんちパニック」と呼んでいる)。

ところが今日、うんちがジーンズにはっきりと付き、過去最大規模に広がったにもかかわらず、心はおだやかだった。あわてず騒がず奥さんを呼び、粛々と処理をする。ついに僕も妹の「そんなもんじゃないよ」の境地に達したのかもしれない。

それに、これは僕がおかしいのかもしれないけれど、毎回、うんちの”洗礼”を受けるたびに、なんだか赤ちゃんと距離が近くなる気がしている。

【洗礼】
1. キリスト教徒となるために教会が執行する儀式。全身を水にひたすか、または頭部に水を注ぐことによって罪を洗い清め、神の子として新しい生命を与えられるあかしとする。バプテスマ。

2. その後に影響を与えるようなことについて初めての経験をすること。また、ある集団の一員となるためなどに、避けて通れない試練。「新思想の—を受ける」「新入部員が特訓の—を受ける」

小学館『デジタル大辞泉』より

「ある集団の一員となるためなどに、避けて通れない試練」。
まさにそんな感じで、うんちに触れることで、僕は赤ちゃんと「家族」になっていくような気がしていた。

そして今日、うんちを「浴びる」ことで、僕たち親子の絆はさらに深まったのだ。

そんな話をしたら、奥さんは呆れたように笑っていた。その前にはちょっと気分が落ち込んでいたようだったけれど、これで一気に持ち直した。

そんなふうになるんなら、うんちを浴びるのも悪くないよね。

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澤 祐典
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