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宇宙遊泳。

昨日、友だちに協力してもらい、「オンライン円坐」というのをやってみた。普段は会って集って行う円坐をオンラインの、ビデオ通話の機能を使ってやってみたらどうなるかという試みだ。時間を区切り言葉をたどる「守人」の役割は僕が担った。

結果的に、会って行うそれとはまるで違う体験になった。
中でも面白かったのが、開始直後の

「ふわふわする」
「宇宙遊泳みたい」
「落ち着かない」

という感想。参加してくれた三人それぞれがなんらかの、いままでに感じたことのないような落ち着かなさを感じていたようだった。守人をしている僕の脇からは、いやな汗が流れた。

彼女たちの語ることを聞きながらふと思いついて、こう言った。

「ふだんの円坐は同じ場所で地続きで円になって座るけれど、今回の場合はそれぞれのいる場所を囲んだ大きな円になるのかもしれないね」

この日は東京と名古屋をつないで通話していたから、その中心は静岡の、富士山のあたりになる。これを言った後、不思議なことにそれまであった落ち着かなさが消えていった。

それから一時間。語られたことの多くはオンラインとオフラインの質の違いについてだった。目で見ている画面と実際にいる場所、映像と音声の微妙な遅れ、そうしたズレへの違和感が表明された。便利だからと僕たちが採用してきた技術に身体はまだ追いついていないのかもしれない、そんなふうに感じた。

それにしても「宇宙遊泳みたい」という感想は、興味が惹かれる。僕らの中に宇宙飛行士はいないから、それはもちろん例えだけれど、そう言われるとちょっと体験してみたかった気がする。

「円坐です。」と言った途端、東京と名古屋を通る大きな円が現れ、富士山に向かう求心力が生まれる。そして僕たちは肉体の境界をこえて、富士のあたりで出会い、またそれぞれの場所に帰る。

確かめようもないけれど、そんな長距離の行き来をしていたのだとしたら面白い。それはたしかに宇宙遊泳と言いたくなるかもなー。

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