
0歳を彩った10冊。
昨日、0〜1歳までの一年間にお世話になったものを個人的に表彰した。
この中で「絵本部門」として3冊の絵本を選んだのだけれど、これでは足りない気持ちが強く、改めて0歳時代を彩った10冊を選んでみることにした。いつもはランキング形式だけれど、今回は順位をつけずに紹介していく。
📖 にこにこ (絵・文・デザイン: LaZoo)
わが家ではじめて購入した絵本。来た時はぴかぴかだったけれど、舐められ、かじられ、いまでは相当使いこんだ見た目に変わっている。最近になって「めくる」ことに興味が出はじめたため、ページが厚いこの本を再び重宝するようになった。「本」という物と仲良くなるのを助けてくれた一冊。
📖 ごぶごぶ ごぼごぼ (作:駒形克己)
はじめて図書館に本を借りに行ったときに妻が最初に手に取った一冊。まだちいさかった赤ちゃんの最初のお気に入りになった。その後、わが家の定番絵本になったので、彼女には先見の明があったといえる。言葉に意味をもたせないオノマトペ系の本をたくさん読むきっかけにもなったし、後に妻がいろんな本を検索して借りてきてくれるきっかけにもなったありがたい一冊だ。
📖 ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ (絵:おかざきけんじろう/文:谷川俊太郎)
『ごぶごぶごぼごぼ』から派生して、オノマトペで書かれた本はたくさん読んだけれど、これが一番印象に残っている。言葉に意味がないから違いなんてなさそうなものだけれど、やっぱり好みってある。強烈なナンセンスに触れた最初の一冊だったというのもあるかもしれない。意味がありそうでない。なさそうでありそう。「絵本ってこんなに自由なんだ」と思った本でもある。
📖 おつきさまこんばんは (作:林明子)
読んだ後に夜の静かな余韻が残る一冊。どの書店でも目立つところに置いてあるが、ベストセラーになるのもうなずける。一年間たくさんの絵本を読んできたけれど、この本のもつ読後感は独特だ。色のきれいさなのか、言葉のシンプルさなのか、理由はわからないけれど、魔法がかかっていると思わせる本。
📖 もうねんね (文:松谷みよ子/絵:瀬川康男)
松谷みよ子さんの絵本も書店で目立つところに置かれる大定番。わが家にも何冊かやってきて、この『もうねんね』と次の『のせてのせて』が定番になった。『もうねんね』は、とにかく寝てほしかった当時のわれわれの気持ちを伝えるため、何度も読み聞かせたけれど、いまだに「ひとりでねんね」にはなっていない。でも、振り返ると「これを読んでいた頃もあったなあ」ともうなつかしい気持ちになる。そうやって絵本には思い出が結びついていくのかもしれない。
📖 のせてのせて(文:松谷みよ子、絵:東光寺啓)
わが家には車がないので「じどうしゃ」が分かるはずもないのに、なぜか赤ちゃんが気に入っていた一冊。言葉と音と展開が何度読んでも心地いい。ほとんどの絵本が数回読むと飽きてしまう中、この本は何度でも読める。絵もとてもかわいいし、最後の心に風が通るような読後感も爽快だ。
📖 わんわん わんわん (作:高畠純)
高畠純さんにはじめて出会った一冊。「くすくす絵本」とあるけれど、最初に読んだときには大笑いしてしまった。純さんの本は後半盛り上がるので、カロリーをとても消費する。だからいつも「よし、いくぞ」と気合いを入れて読む。時には「疲れているからパス」となるときもあった。でも読むとやっぱり楽しい気持ちになる。この一年、たくさんの絵本を読んだけれど、純さんの絵本と似た絵本は一つもなかった。本当にすごいことだと思う。
📖 ぽんぽんポコポコ (作:長谷川義史)
テレビ西日本さんがやっている「はじめてばこ」の中に入っていた一冊。最初はどうかな?と思ったけれど、赤ちゃんには相当ハマった。「ぽんぽんポコポコ」というリズムがいいのかもしれない。最後のほうのページでおとうさんと赤ちゃんがふれあう場面があるのがうれしい。でも、赤ちゃんは最近、このページにさしかかると他の本に目移りするようになった。照れているのかな?
※ 以下は昨日の表彰で挙げた3冊だけれど、改めて。
📖 きらきら (文:谷川俊太郎、写真:吉田六郎)
美しい雪の結晶の写真と谷川俊太郎さんの言葉が載せられた一冊。赤ちゃんは自ら手にとって開いて、雪の結晶をじっと見ている。そのときのまなざしがとてもきれいで「あ、いいな」と思う。すっかり忘れてしまっても、脳の奥の奥のほうにとてもきれいなものとして残るといいな。これからもたくさんの美しいものを目に焼きつけてほしい。この本がその最初のきっかけとなってくれたらうれしい。
📖 ボボンバボンボン (作:高畠純)
先に紹介した『わんわんわんわん』は初期の作品だけれど、こちらは最新作。緩急が大きく、リズムとユーモアに磨きがかかっている気がする。読んでいてとても楽しい。本をめくれるようになった赤ちゃんは動物たちがはげしく踊り出すページばかり開くので、読み手としてはアスリートのように早口で読むことになる。めちゃくちゃ疲れるけど楽しい。
📖 かにこちゃん (文:きしだ えりこ、絵: ほりうち そういち)
絵本の絵で「わっ」と声をあげたのはこの本がはじめて。後半のクライマックス、夕日を描いたページがそれだ。このページだけどーんと大きくなったように感じる。そこに至るまでの「すこすこすこ」という擬音を用いながらのお話の展開も心地よくて楽しい。僕たちは海のそばに住んでいるので、散歩にいくたび、つい、かにこちゃんを探してしまう。
***
こうして振り返ってみると、毎月ランキングをつくっているのに、すでになつかしい気持ちになる本が何冊かあることに気がついた。
ちいさな赤ちゃんを抱えて、わかっているはずのない絵本を読み聞かせる。本人は忘れてしまっても、親の僕たちにとってはずっと残る。そんな思い出が絵本の方にも刻まれているのかもしれない。
この一年ははじめてのことだらけで夢中で駆け抜けてきた感じだったけれど、それでも確かに残っているものがあるんだなあと思った。
さて、一歳になった赤ちゃんと僕たちは、どんな絵本と出会うのかな。
いいなと思ったら応援しよう!
