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モンテッソーリのかたつむり。

ひさしぶりに保育園の見学に行った。
前回行ったのは、新年明けてすぐの頃。

今日行ったのは、この記事に書いた保育園と同じモンテッソーリの施設。
中に入るとなにもかもが子どもサイズの部屋があり、そこに20人くらいの子どもたちがひしめき合っていた。

彼らは僕たちの到着と同じタイミングでお散歩から帰ってきた。部屋に入ると、めいめい着替えたりトイレを済ませたりシャワーを浴びたりしはじめている。着替えをたたんでいる子たちまでいて早速驚いてしまう。

「シャワー浴びなくていい?」汗をかいている子に先生が聞くと「うん、いい」とこたえる。こんな場面でも本人たちの意志が尊重されているんだ、と思った(もっとも、風邪をひかないように着替えは促されていたけれど)。

部屋の隅には「おやつ」として炊いたお米が用意されていた。中にごはんを入れて振ると丸いおにぎりがつくれる道具もあって、子どもたちは自分でおにぎりをつくって食べていた。

20人近い子どもに対し、おやつスペースには4人ほどしか座れない。けれど、子どもたちはどこで見ているのか、席が空いたタイミングですっとやってきて、自分のランチョンマット(お皿やコップを置くところが示されている)を置いて食べて、去っていく。自分が食べられないからと荒れている子は見た限り一人もいなかった。

おやつを食べていない子どもたちは、それぞれ自分がしたいことをしていた。一人の男の子が先生に水槽を持ってきてもらっていた。開けてみると、中にはかたつむり。「かたつむり、かっこいい!」その子が僕のほうを見て言うので「かっこいいね」と返して、隣にしゃがんだ。

かたつむりは大小さまざまな大きさで五匹ほどいた。「ねてる子がいる」と男の子が指さすと、たしかに動きのにぶいかたつむりがいる。「ねてるね」と返すと満足そう。

そんなやりとりをしていると、まわりから子どもたちがわらわらと近づいてきた。「このかたつむり、おおきいよ」「この子、かわいいね」かたつむりの目をつんと指でさわると、しゅるしゅると小さくなり、しばらく立つとじゅわ〜っと出てくる。「ひいー」と言いながら笑う女の子のとなりで僕も「すごいね」と笑った。その頃にはぜんぜんかたつむりに興味のないニコニコ顔の坊やにバンバンTシャツを叩かれる歓迎を受けていて、僕の周囲にはちょっとした人だかりができていた。

一月に訪れたときにも思ったけれど、どの子も荒れた感じがしない。元気ではあるけれど、奥底に「静けさ」がある。だからたくさんいてもとても付き合いやすかったし、素直にかわいいと思えた。

そして、一人一人が自分の思うとおりのことをしている環境は、見えない秩序が無数に張り巡らされているような、不思議なうねりを起こしていた。静かだけれど活発で、いきいきとしている。

前に見学したときには、赤ちゃんは4ヶ月でほぼ動かなかったから、そこまで思わなかったのだけれど「あれをしてはダメ」「ここに行ってはダメ」と伝えることが増えたいま、子どもたちが自分のしたいことをしたいようにできているモンテッソーリの環境はより理想的に映った。

「やっぱ、いいよねー」見学を終えてすぐに、二人でそう言い合った。1歳を過ぎたいまだからこそ分かるよさがあった。

赤ちゃんが行くようになるのは、いつになるのか分からない。
でもきっといまよりもっと羽を広げて、いろんなことができるようになるんだろうな、と楽しい想像をした。その日がますます楽しみになった。

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澤 祐典
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