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幸せは薄れてゆく。
新月の今日は、大阪と奈良の境目にある石切に行き、「円坐」や「家族」についての場に参加してきた。
いま、その帰りで鶴橋駅から出発する近鉄アーバンライナーに乗り、距離が離れるごとにそこで語られたことやいくつかの場面のディテールが余韻を残して薄れていくのを感じている。
世の中には実にさまざまな人がいて、実にさまざまな家族がある。それぞれがさまざまな成り行きで出会い、火花のようにさまざまな出来事が起こる。
今日の内容を言葉にすれば、たったそれだけのような気がする。「参加目的」に近い動機もあったはずなのに、みんなが一堂に介して場がはじまるとどうでもよくなってしまった。
でも豊かだった。たのしかった。
場の主催者の一人、橋本久仁彦さんが「幸せなことは安心して忘れるんだ」と言っていた。
ほんとそうだよな。朝ごはん食べて「おいしいね」とか、くだらないこと言って笑ったりとか、そういう取るに足らない幸せって、すぐに記憶から消えて、いまの悩ましいことが濾過されるみたいに残る。
でも、残った悩ましさだけが人生じゃない。
薄れて忘れていった幸せだって、たくさんあったのだ。
いまこれだけのスピードで今日の印象が薄れていっているのも幸せに過ごした証拠かもしれない。僕としても消えていく印象を握っていたいとは思わない。
たぶんいつか、なにかの拍子に「あの時、あの人がこんなことを言っていてね」と思い出す。今日見聞きしたことはそういう類いのものだったからだ。
かくして、幸せに安心して僕は僕の人生に戻っていく。もうちょっといたかったな、という小さなさみしさと、また会いたいな、というホクホクした気持ちを感じながら。
そうそう、印象といえば、今日食べた「まぐろ専門店の鉄火巻」はすごかった。
むちゃくちゃおいしかったし、みんなでわーわー言いながら食べたのもよかった。
でも、これも幸せだったからすぐに忘れちゃうんだろうなー。
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