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青空、吹雪、青空。

最強寒波と暮らす二日目。
カーテンを開けると雪は降っていないし、積もっていない。ただのめちゃ寒い日である。

もしかしたら雪が降って、バスが止まって、仕事も休みになって、そうしたらああしてこうして……と構えていた体が「なぁんだ」という感じで脱力する。妻も赤ちゃんも起きて、いつものように支度して出かける。

雲の上から朝日がさしてきた。なんだ、ほんとにいい天気じゃないか。保育園まで自転車で行くか迷うが、やっぱりバスにする。

赤ちゃんはきょうもげんき。咳や鼻水が出ていてもこんなに生きててたのしそうなのは素晴らしいなと思う。昨日につづき、バスの降車ボタンを押したがり、右足の靴下を脱ごうとしているのを制し、知らないうちに脱いだ左足の靴下を回収した。昨日はこの3つめの隠し技にやられたのだ。

バスを降りて保育園まで歩く。川沿いの道は今日もきれいだ。空は晴天と黒い雲が混ざっている。自転車でもよかったかな、と思いながら歩く。先生に渡すときにも赤ちゃんは泣かず、すんなり別れた。

ところが、帰りのバス停に行く途中から雪が舞いはじめた。「わぁ、きれいだな」と思っていたのもつかの間、雪はどんどん勢いを増し、バス停のベンチに座った頃には吹雪になっていた。自転車じゃなくてよかったと心から思う。

雪はびゅうびゅうと激しさを増している。持っていた折りたたみ傘をさすが防ぎきれない。バスアプリによるとお目当てのバスは数分遅れているらしい。まいったな。真横に飛ぶ大量の雪がダウンジャケットに積もる。いま『岳』という山の漫画を読んでいるけれど、雪山で遭難するときってこんな感じかなと思う。いや、こんなに甘くはないか。でもさっぶい。

バスが来た。着席してホッとする。耳にはイヤホン。今日も『オールナイトニッポン』。昨日はオードリーだったけど、今日は星野源さんだ。

家に着いて餅を煮る。昨日のように煮すぎてブヨブヨにしないよう鍋を見張る。できたらコーンポタージュに餅を入れ、携帯で漫画を読みながら食べる。至福。

それから洗濯物をかついでコインランドリーにやって来た。昨日もそうだったけれど、今日も青空。悔しいけれど、仕事から帰ってきて「乾いてない…」になるのはいやなので、がんばって運ぶ。そして、今日もコインランドリーでこの文章を書いている。

案外ふつうの日になったなぁ。大雪の混乱に備えていた頭と体が拍子抜けする。このまま仕事に行くのもつまらないなと思ってしまう。なにを期待していたというのだろう。

一方、赤ちゃんは晴れても雨でも、暑くても寒くても、雪が降っても風邪ひいても、いつもたのしそうにしている。どんな日だってニコニコだ。まるで生きるお手本のよう。保育園ではうなずくのがかわいくて、先生たちにたくさん話しかけられているという。ほんと、いい子が来てくれたよなあと思う。

そんなただのめちゃ寒い日。こうなったらこのまま何事もなく、ふつうの一日になるがいい。もうちょっとあったかくなってもいいけど。

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澤 祐典
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