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なんと福岡マラソン。

肌寒くなったからか、赤ちゃんが起きる時間が遅くなった。以前は7時か8時、早いときには6時台だったのに、最近は9時すぎに起きている。まだ寝ている妻の上半身にのしかかり、おっぱいを吸っている間に眠ってしまうこともある。季節の変化は確実に赤ちゃんに影響を与えている。

それからいつも通り、身支度をして朝の散歩に向かう。昨日は猫がけんかしていたけれど、今日は平穏であってほしい。

そんなことを思いながら歩いていると、海に向かう道の手前が通行止めになっていた。今日は福岡マラソンの日で、いつもの散歩道がランナーの走るコースになっていたのだ。

ここに四年住んでいるけれど、はじめて遭遇した。息を切らせて走るランナーの列は途切れることなく流れ続けていた。どう見ても海岸には行けそうにない。こんなに多くの人が参加していることに驚いたし、なにより「がんばれー」と沿道から声をかける応援の人の多さに驚いた。一日のある時間を沿道から声をかけて過ごすなんて想像したこともなかった。「しょうがないか」と赤ちゃんに言い聞かせ、元来た道を戻る。赤ちゃんは何も気にせず、高いところを飛んでいる知らない鳥を眺めていた。

家に戻り、朝食を済ませ、赤ちゃんが昼寝をして、昼食を済ませた後の夕方、赤ちゃんと二人で天神に買い物に出かけた。最寄り駅で地下鉄の到着を待っていると、日曜日のこの時間なら空いているはずの車内が人でぎっしり。変だなと思って中をのぞくと、ランニングウェアや雨ガッパを着た人たちが大勢乗車していた。

え?まだ福岡マラソンやってたの!?と驚いて調べてみると、僕たちが朝の散歩で見たのは 10km地点で、ランナーたちはそこからさらに 32.195kmも走っていたらしい。赤ちゃんが朝食と昼寝と昼食をとり、ひとしきり遊んでいる間、走り続けていたのだ。

ホームページによると、最後尾の人は15時すぎまで走ると書いてあったから、僕たちは走りはじめたランナーと走り終えて帰るランナーの両方に鉢会ったことになる。つくづく福岡マラソンと縁のある今日だった。

12,682人出走、12,212人完走。完走率 96.3%。
僕らが見たほとんどの人は完走したんだな。8時20分スタートで、だいたい6時間とか7時間走りっぱなしか。しかも昼過ぎからは雨が降っていたのだ。本当にすごい。でも見た感じ、ほとんどの人は僕と特に変わらない普通の人に見えた。

ちょっとだけマラソンを走ってみたい気持ちがあったけれど、僕が道の向こうのあの人たちになる日は遠いように思えた。赤ちゃんはなにも気にせず、地下鉄の中でランナーの人たちに手を振り、微笑みを配っていた。

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澤 祐典
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