雨森小夜さんの学園祭ボイスがとても良かったので感想文を書いてみましたというお話
度々noteの話題に出させていただいているVtuber集団・にじさんじ。
にじさんじライバーさんの主な仕事といえばやはりまずは生配信。雑談したりゲームをしたり複数人で企画ものをやったりと色々な配信をしておりまして、そこで得られる広告収入やスーパーチャットの一部がおそらくライバーさん達のお給料のメインになっております。
それからメディアやイベント、ライブですかね。文化放送で『だいたいにじさんじのラジオ』やら『りぜるるリッスン』などの冠番組を持っておりまして、あとは複数の音楽会社と契約して歌を出したり、今はパンデミックでやれてませんがライブなんかも行ったり、各地方でイベントなんかもやったりと幅広く展開してるんですよね。僕が10代の頃は声優さんがラジオやったり歌を出すのを物珍しく感じていたものですが、時代って変わるんですね(笑)
あとはにじさんじという、いわゆる"箱"で活動していらっしゃるライバーさん達にはそれとは別の収入源がございまして、運営会社のいちからがライバーさんのグッズなんかも出してるんですよね。
例えばTシャツであったりとか帽子や香水みたいな実用品からその時期の期間限定グッズであるとか、缶バッジなどのオタグッズも売っておりますし、そしてなんと言っても今日の話題である、ボイスも売っておるわけです。
ボイスとはなにか?
まあボイスドラマですね。にじさんじはこれを月一くらいの頻度で販売しておりまして、好きなライバーさんの声が聴けるわけですから僕らは毎月まんまと買わされるわけです(笑)
ドラマCDとかと違うのは、脚本も演出もライバーさん自身でやられている事でしょうか。自分でストーリーを考えたり、あるいは仲間で脚本書ける人に依頼して書いてもらったりしたものをおそらく自室で録音しいちからに送ると。それをいちからが編集してるのかわかりませんが売りにかけるわけですね。
いちからなにもしてねぇじゃん(笑)
というのはさておきまして。
僕もにじさんじファンであり推しもいるので、毎月まんまと買わされてるわけであります。買ってるボイスは一人だけで、まあタイトルにもある通り雨森小夜さんなんですが。
雨森小夜
雨森さんのは出る度買わせていただいております。ボイスの値段は一個につき1000円で、長さはだいたい10分程度。EXボイスという、特別編みたいなのもたまにありましてそれは別売りで500円。ただこれは基本価格でありまして、ファンがもっとお金を出したい!と思えば確か上限10000円くらいまで吊り上げられるシステムになってるんですよね。
ファンでない人からしたらぼっt…あんまり安くないなと感じるかもしれないですが、ファンからしたらありがたい代物なわけです。
今回は9月に雨森さんが出された学園祭ボイスの出来があまりにも良かったので、こうして書かせていただこうと思った次第であります。
ゴリゴリにネタバレする部分もありますので、まだ聴いてなくてネタバレ嫌だよ~という方は聴いてからお読みいただければ幸いです。
それでは感想文始めさせていただきます!
まず学園祭ボイスとは何か?
にじさんじが月一程度でボイスを販売している事は前述しましたが、1月から12月までそれぞれ季節も違えばイベントも違うわけです。
例えば12月ならクリスマスがテーマのボイスが出ますし、春ならお花見ボイス、夏なら夏祭りボイスと当たり前ですがその時期にあったボイスが出るわけですね。今月は9月で学園祭の時期(というにはいささか早い気もしますが)なので、学園祭ボイスが出たと。
内容はといえば、一番ありそうなのがライバーさんと二人で出かけたりしながらイチャイチャする話でしょうね。ドラマの中で推しライバーさんと二人の空間を想像する事で心が満たされるわけでありますな。
今回の雨森さんのボイスもこの王道に外れず、雨森さんと"あなた"の二人で学園祭を楽しむストーリーとなっておりました。
変な話まずここに感動しましたね(笑)今まで雨森さんのボイスを買った事ある方ならわかると思うんですが、雨森さんって王道を外れたがるんですよ。大抵二人の漫才みたいな掛け合い中心の組み立てでイチャイチャもなく、ナンセンスなワードなども出しながらメインテーマであるイベントはほとんど出ないまま終わるのが彼女の基本線でありまして。
これは僕の意見なんで全然否定してもらって大丈夫なんですが、彼女って悪い癖が2つあるんですよね。
1つはさきほど書いたように王道を外れたがる事。彼女って配信見てたらわかると思うんですが、媚びるのが不得意じゃないですか。女性でVtuberやっててファンに媚びるのが下手ってわりと珍しいと思うんですがそこが彼女の魅力の1つでもあるわけです。ファンもそれを楽しんでいる節があると思うんですよ。
ただこれが配信ではなくボイスになると少し感じ方も違ってきてですね、なんと言いますか…ラーメン屋に行ったらラーメン食いたいじゃないですか(笑)ラーメンでも例えば二郎系ラーメン食いてえなあと思ってそういう系の店に行って、金払ってまで出てきたのがあっさり系のラーメンだったら「違うんだよなあ」って感じちゃうわけです。
ファンとのイチャイチャだったり、甘い展開だったり、恥ずかしいと感じるのはわかるのですがボイスというのはオープンな場ではないのでむしろこちら側としてはそういったものを望みたいわけですよ。
個人的に雨森さんのボイスで満足したのって王道に沿った回ばかりでして、例えば6月に出した雨模様ボイスでは雨森さんが梅雨の季節に"あなた"となかなか会えなくてモヤモヤしている様を日記という形で表現されていたのですが、これが凄く良かった。梅雨といえばあまりポジティブなイメージがなく、そこで「なかなか会えない」というネガティブな展開をアンニュイな気持ちで綴るところに「雨森さんは"あなた"がいないところでこんな事を考えているんだ」というカタルシスを得られたんですね。
逆に次に出した夏祭りボイスはまぁ~本当にですね、推しに対して言う事じゃないんですがふざけるなと(笑)内容は雨森さんが"あなた"の部屋に不法侵入したら日記が置いてあり、それを読むというものだったんですが申し訳ないけどこれ手抜きなんですよ。
まず日記役を雨森さんから"あなた"へと入れ換えただけであり、夏祭りがテーマなのに肝心の夏祭りにはサラッと触れるだけ。更には甘い展開が皆無という、雨森さん書いてた時期よほど忙しかったのかなと思わせられるようなほどに酷い内容だったんですよね(笑)
そしてこの夏祭りボイスにはもう1つの悪癖が出てまして、それが「ワードで笑わそうとする」というやつですね。
夏祭りボイス買った人はまだ覚えていらっしゃると思うんですが、雨森さんは"あなた"の部屋に不法侵入する為に鉤爪を使って壁づたいに入ってきて窓をガスバーナーかなんかで開けて侵入したわけなんですが、正直ここで少し冷めてしまいまして。
雨森さんがそういうのを好きなのはわかるんですよ。そしてボイスドラマですから表現方法が声しかなく、その中で笑わそうとするならナンセンスなワードを使うしかないという気持ちも理解できるのですが、これが面白いもので。
ワードギャグって声や文章だと、ナンセンスであればあるほど違和感が強くなるんですよ。
僕も10年以上小説家を目指してたものでよくわかるんですが、突拍子もないワードって実は映像ありきなんですよね。雨森さんの夏祭りボイスで言えば鉤爪で壁を上ってるシーンだったり窓をバーナーで焼いて入るシーンだったりを映像やBGM付きで見せて、彼女が何をやってるか、何の目的があって行動してるのかを真っ先に視覚情報で伝える事によって見ている側にわかりやすく認識させ、笑いに変えるわけです。
それが声や文章だけだと、どうしても言葉で説明しなきゃいけないんですよね。お笑い芸人が一発ギャグの意味をわざわざ説明しないじゃないですか。彼女はそういう事をしてしまったわけです。
もちろん「俺はあれで大笑いしたぞ」という方を否定するつもりはありませんし、こうやって主張している以上は僕を叩いていただいて大丈夫なんですが、ボイスってあくまで有料コンテンツなので安易な方法を取るべきではないと思うんですよね。
…という個人的に感じる雨森さんの悪癖が両方出てしまったのが前回の夏祭りボイスだったのですが、それを踏まえて。
では学園祭ボイスのどこが良かったのか?
ネタバレで申し訳ないんですが内容を細かく書きますと、まず"あなた"が雨森さんのクラスでやっている武士喫茶に行きます。そこから二人で抜け出して他の教室でやっている嘘発見器を試してみると。そこで嘘発見器を取り付けた"あなた"に雨森さんがいろいろ質問しまして、ちょっとイチャイチャすると。
EXボイスではそれが終わった後に雨森さんが耳打ちでこしょこしょ喋ってくれるという、とんでもないご褒美があるわけですね(笑)
雨森さんのファンの方々、他のライバーファンの方でもそうだと思うんですが、普段配信で漫才みたいな事やっててもボイスぐらいでは甘々でいきたいじゃないですか。だって他に誰も聴いてないんだから。今回は心の中で持っている願望を雨森さんが叶えてくれたわけです。
まさにこれなわけです(笑)
そして学園祭ボイスの最初の方で雨森さんが矢文を使うシーンがあるじゃないですか。あれで最初「またか?」と思ったのですが(笑)その後に彼女のクラスが武士喫茶をやっているという設定が説明された事で僕は納得しました。
突拍子もないワードって、突拍子もなさ故に物語とは完全に関係ないものになりがちなのですが、学園祭ボイスでは雨森さんが「矢文を射ったのは武士喫茶でコスプレしてるからだ」と矛盾ないように繋げる事に成功してるわけです。
武士喫茶もナンセンスだろと思われる方もいらっしゃるでしょうが、確かにそうなのですがそれを言ったらメイド喫茶だって突拍子もない。でもちゃんと受け入れられてるわけじゃないですか。つまり既に突拍子もない喫茶店が存在している以上武士喫茶も頭の中で受け入れやすいわけですね。
そして武士喫茶が受け入れられる事で初めて矢文がギャグとして成立するわけであります。ここらへんの使い方が今回上手かった。
でさっきも書きましたがEXが本当に良かった(笑)ここの内容はネタバレしませんので是非ご自分の耳で、イヤホンで聴くかスマホを耳に当てるかしてお確かめください。
最後に
彼女の悪癖とかを指摘しましたが、雨森さんがそれを自覚しているかわかりませんしわかっていたとしてそれを悪癖だと感じてるかもわかりません。あくまで僕の個人的な感想でありますので、悪癖と感じているのが僕だけかもわかりません。
ですがあくまで物語としてのカタルシス、声のみの表現の限界という視点に於いてはそんなに的外れな考えとも思っておりませんし、雨森さんご本人がどう思われているにせよ今回のボイスが理想的であったのは間違いないです。
まあ本音を言えば雨森さんの声を聴けるだけで満足なんですが(笑)
そしてもっと本音を言えば、どんな感想を持ったにせよ雨森さんが作り手という事実は変わらないものでございますので、これからもお好きなように作っていただくのが一番良いと思います。
その上でもし1mmでもボイス制作の参考にしていただけるのであれば嬉しいですし、これからもちょくちょく感想文を書かせていただきたいと思います!
それでは今回はこの辺で。さようなら。