好きなものは独り占めしていたい
こんにちはゴトー日。15日の更新です。
推しって昨今では日常的に使われていますが、最近の傾向だと食べ物をシェアだったり感動をシェアだったりと何かと共有するのが当たり前になっているので、推しも共有したいものなんでしょうか。
私は私自身特徴のない人間で、特に面白みがあるとも思えないんですけど。曰く感性がちょっと人よりズレている事が多々ありまして、可愛いなと思うものが「なんでそれ?」と言われるものであったり、「それ恥ずかしくないの?」と言われるものに全く共感出来なかったり。だからと言って社会的な常識がないわけではないので、多分それはいわゆる個性に該当するものではあるんですけど。
まあでもその少し”一般的でない”(らしい)個性はものの好き嫌いに出る事もありまして、アニメや漫画等のキャラクターも一番人気のキャラクターってあまり魅力を感じない代わりに、俗に言う”不人気”キャラに大層な魅力を感じてしまう。
それがその作品内の推しになるわけですが、なかなか賛同を得る機会も少ないので市民権がかろうじてある程度。そもそも作品自体は好きな同士の集まりだったら迫害されはしないけれど、そのキャラクターが好きな人だけで集まるのであれば見事なまでに少数精鋭になる事間違いなし。じゃあその少数精鋭の中で自分の”推し”キャラクターについて、素晴らしいところを共有し合いたいかと言われたらNOなんですよね(少なくとも私は)。
よくあるインディーズバンドを応援していて、メジャーデビューしてファンが増えたり曲のテイストが変わったりして「前は違ったのにな」感を出してしまう厄介な古参ファンみたいなのの気持ちに近いのかもしれません。
このバンドの良さは自分だけが知っていればいい!という感覚が強いので、もし自分の推しキャラが何かのきっかけで大人気になったとしても「前々から私はこのキャラクターいいって言ってたし」ってなってしまいますし、なんならブレイクしなくたっていいくらいの心意気でいますが、今のシェア必須に近い状態だとそれってちょっと変な感覚なんでしょうかね。
いいものだと自分で思っているので推しているしそれがたくさんの人に理解されて人気が出る、売れるっていうのはその対象にとってはとても嬉しい事であり、活動を続けていく原動力にもなるので結果的には自分のためにもなるのはわかっているんですけどね。
ひょっとしたら私が何かを特別視する事はもしかして推しっていう言葉には該当しないのかもしれない、という仮説がふんわり湧いてきますね。
推し(おし)とは、主にアイドルや俳優について用いられる日本語の俗語であり、人に薦めたいと思うほどに好感を持っている人物のことをいう。
wikipediaさんを見てみるとこのようにありますし、人に薦めたいという感覚がないからやっぱり推しではないんでしょうね。多分。
以前読んだ本に、推しという言葉を使うのは便利というような事が書いてあったような記憶。
例えばこのバンドを好き、と言った場合過去作を遡って調べたりそのバンドの生い立ちだったりメンバーの名前は当然、どういう性格だとかなんとかのパーソナルな情報を知ってて当たり前に思われるから、そのバンドを好きなコミュニティに真っ新な状態で入ろうものなら「そんな事も知らないで好きとか言ってんの?」という目に晒されるかもしれない。それが怖いから推してるというふんわりとした好意を持ってる体でいる方が、ある意味安全にそのバンドを好きでいられるというような話だったんですけど。
まあ確かにその意見もわからなくもないなというところですね。
今は娯楽がたくさんあって刺激が多すぎるから、何かを好きになったとしてもそれらの情報を追い求めるには時間が足りなすぎる。
だから変に攻撃されないための防衛策も必要なのでしょうけど、なんかそれもまた寂しいというか殺伐としているような。好きっていう気持ちは同じなのに熱量が違うと欲しい情報もまた変わってきますし、聞きたくない情報だって同じく違いますし好きなもの同士なのに相容れない世界は、その好きなものの好きな形ですら個人差という個性を必要とするのかもしれませんね。
個人的には特にこちらが興味ないにも関わらず、「絶対いいから!」という謎の自信によりその対象に一度だけでも触れさせるみたいな押し付けさえなければ、何でもいいような気もするんだけどなあ。
興味が湧かないならどんなにいいものであってもその瞬間は雑音にしかならないわけで、興味が湧いた時におすすめしてくれる人が良きファンで良き推しさんなのかなと、私の中で思ったり思わなかったり。
話は逸れましたが、共有したいものがない私は推しというものはいないのかもしれませんね。
私が好きなものは私が好きでいればいいので、仮にTwitter等で対象の何かを見つけてもRTするのは「見て見て私の推し!」というアピールではなく、単純に私自身のリマインダーでありメモであるためで拡散したい意図はなく。
好きなものが不人気だと知ったところで「私の推しこんなに人気ないなんておかしい!」と憤慨するわけでもなければ「推しの良さをもっとみんなに教えたい!」と躍起になるわけでもなく、そうか人気ないんだ…こんなにいいものなのに世の中は見る目がないんだなと感じるだけ。
こういうのって古式ゆかしきオタクの有様なような気がするんですけども、自分が最近オタクではないような気がすると思ってきているのは、そういうものにあまり触れる事が少なくなったからなのかもしれない。
では今回はこの辺で。