焼きおむすびを握ったら
休日の朝。久しぶりに焼きおむすびが食べたくなった。
おむすび!?おにぎりじゃないの?よく言われていた。
そう。わが家では、おにぎりではなくおむすび。
「おにぎりは ”おに“ ”ぎり” で鬼をきるという意味なんだよ。鬼は神様。だから、神さまである鬼をきらないようにおむすびと言うんだよ 」
と教えられたのは、今でも覚えている。
焼きおむすび。
実家で小腹が空いたとき、よく母が作ってくれていったけ。うちの定番はバター醤油味。硬めに握ったおむすびに醤油をつけ、バターでほんのり焦げ目がつくくらいまで焼いて出来上がり。キッチンからバター醤油のいい匂いがして、焼けるのを今か今かと心待ちにしていた。表面にほんのり焦げ目がついた焼きおむすびは、ふつうのおむすびとは一味違う、ちょっぴり贅沢気分を味わえる稀なごちそうだ。そんな焼きおむすびも、実家を出てから一度も食べていなかった。
わたしと君と二人分。どうやって作るんだ?と調べながら、某メーカーの混ぜ込み高菜バージョン、しょうゆとみりんバージョンの2種類を作ることにした。崩れないように指に力を込め、硬めに握る。こんなに丁寧に握ったのはいつ以来だろうか。フライパンにごま油をいれ、焦がし焼く。このひと手間でおむすびに特別感が増す。いい匂いだ。最後にのりをまいたバージョンも作り、バリエーションを増やす。これでさらに特別感がます。
熱いものは熱いうちに。出来たてをいただきたい
なつかしいなあ 昔の記憶がよみがえる、、、、
一粒一粒味わっていたら
「この味。忘れてた味だ~。原点に戻る気がする。おむすびって最高だね」
とつぶやきが聞こえた。
その言葉を聞いた瞬間、食べる前まで君に感じていた、もやもややわだかまりがあっという間にどこかへ飛んでいった。相手を変えることはできない。自分が変わるしかない。わかってはいるけど、、、これがなかなか難しい。でも、丁寧に作った”焼きおむすび”が、自分も相手もいやしてくれる、気持ちを変えるきっかけを与えてくれた。食ってすごい。食のありがたさをさらに実感した。
あなたの笑顔がみたっくて。幸せずっと感じていたくて。
そんな思いでまた、心を込めておむすびを作ろうと思う。