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空き家1,000万戸の時代の”新築持ち家”は不利 〜人生100年の資産運用の考え方〜

日本の住宅建設のピークは、団塊の世代の、新規の住宅需要が旺盛だった、1987年の167万戸/年でした。

36年経った現在は半分の85万戸/年です。

空き家は2023年848万9千戸、空き家率13.6%です。

空き家率が高い都道府県は山梨県、愛媛県、高知県で、空き家率が低い都道府県は宮城県、沖縄県、山形県です。

野村総合研究所の調査によると、2030年(7年後)には空き家率が30%になり、住宅10戸中3戸が空き家になってしまうとのことです。

凄い数字です。

固定資産税は、家が立っていれば安くなるので、売る意思がなければ空き家のままにしておくことになります。

都市から地方への移住については、明確な統計データがありません。

地方移住希望のデータを見ると、地方出身者の半分ぐらいは、地方へ移住を希望している。

地方の空き家事情からすると、実現可能と思われます。

地方移住は、圧倒的に生活コストがかからない。

ある記事によると、「築30年の家屋の価格が49%になる」
たとえば、3,000万円で購入した築30年の空き家を売却する場合は、以下の価格になります。3,000万円 × 49% = 1,470万円。

これは実態とは全くかけ離れています。

7年後、住宅10戸中3戸が空き家になるのに、こんなに高額であるはずがありません。

特に、建物(上物)は、30年では価値ゼロ(実際は20年)ですから、土地代しか価値はいない。

その土地も、税法上高止まりした固定資産税で実勢価格を評価するのは、実態と乖離しずきています。

実際に、若い世帯が空き家を購入するのは、ゼロ円からです。

「ゼロ円物件」というサイトも実在しています。(厳密には諸費用がかかりますが)

市町村により様々な”移住手当”もあります。

一般サイトで検索してみても、地方では高い中古物件(1,000万円以上)だけが売れ残っていることは明白です。

30%の空き家率は、全体の相場が大暴落する率です。

ゼロ円で購入すると、リフォームも購入者自らが行うことも多くみられます。

全面リフォームでも、材料費だけだと200万円から可能です。

1,000万戸が空き家となり、新築住宅建設は85万戸/年は更に減少します。

その新築住宅建設のうち、人生100年となったことにより、戸建ての住み替え需要も多くなっています。

この場合、長期ローンは組めない年齢ですから、キャッシュで払う資金が必要です。

住宅構造によって寿命が異なり、一戸建てに多く用いられる木造の場合は30年~80年です。

また、鉄骨構造の場合30年~60年、鉄筋コンクリート(RC)構造の場合40年~90年。

国土交通省によると、注文住宅を購入した世帯主のうち最も多い年代は30代で、その割合は38.6%、購入の平均年齢は44歳です。

そうすると、住宅寿命30年と仮定するなら、100年人生では、住み替える、立て替える、全面リフォーム の必要が出てきます。

60年から90年耐久性のある持ち家が最良(しかし高額)であることは間違いありません。

耐久性の高い家は、4つの特徴があります。

  • 耐震性:地震に強い家づくり

  • 耐久性:気候変動に強い家づくり

  • 維持管理容易性:メンテナンスしやすい家づくり

  • 可変性:リフォームしやすい家づくり

最後に、元も子もない話をします。

サラリーマンとしての”投資の視点”からは、明らかに賃貸で住み替えることが最良の時代です。

家族構成の変化、離婚のリスク、失業・転職の可能性、下がり続ける地価・賃料、地域の衰退による住宅事情(便利さ)変化、リモートのさらなる普及、都会から地方への移住選択、経済沈滞・増税による給与の不安定化、インフレ・金利の上昇のリスク、住宅の想定外の老朽化、病による高齢者施設への転居、海外移住の選択、100年人生(先では120年)での人生観の変化 などなど

様々な時代の大変化やリスクを考慮すれば、”生涯の持ち家定住”という選択も困難になるのですから当然の結論でしょう。

「家賃払うなら持ち家を」という昭和のハウスメーカーの標語は、70年前53歳寿命、100年前43歳寿命の時代において有利であった考え方で、100年寿命の、生活環境が歴史的変革期に入った令和以降では死語と思えます。

住み替え、家賃交渉により、下がっていく家賃を払い続け、人生の変化に柔軟に対処しながら、余力(カネ)を金融投資(長期)に回す時代かと考えます。

格安中古物件でもいいでしょう。

一般世帯の”相続”でも、すでに税務署は”物納”を許してくれない時代であり、現金の相続の方が有利という事情もあります。

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