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”卵巣セラピー”に至るまで
私は現在、”卵巣セラピー”ということを、「不妊ルーム」で多くの女性に行っており、とても良い成績を上げています。
卵巣セラピーは、ある日突然に思いついたわけではなく、数年間の時間をかけて、結果的に卵巣セラピーと言う結論に至ったように思います。
そのいきさつを振り返ってみます。
不妊治療とかつての糖尿病の治療が、とても似ていると感じたのが、そもそもの出発点でした。
糖尿病とは一言で言えば、「膵臓が疲弊して、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌能力が低下している状態」です。
そしてこの糖尿病の治療ですが、長い間膵臓からのインスリン分泌を促進させるクスリを使うというのが主流でした。
しかしこれは、よく考えてみればおかしなことです。
膵臓が弱ってインスリンを十分に分泌できないのに、薬でムチを打つことによって、さらにインスリンの分泌を促しているわけです。
こうした治療を続けていけば、そのうち膵臓はダウンしてしまい、インスリンを分泌できなくなります。
そしてインスリンを外から自己注射で補うというインスリン療法へと移行していったわけです。
不妊治療も似たように私は感じました。
排卵誘発剤を用いてとにかく卵巣を刺激して、たくさんの卵を育てるのが、不妊治療のメインストリームです。
タイミング法においては、多くの卵の排卵を期待して妊娠率を高める。体外受精にあたっては、さらに大量の排卵誘発剤を使用して、より多くの卵子を採取しようとするわけです。
こうした治療を続ければ、当然卵巣の中の卵子は急速に減少していきます。
魚の乱獲にも似ている状況だと思います。
そこに私は疑問を持っていたのです。
そして、「妊活・不妊治療とは、卵巣をいたわること」ではないかと考えるようになりました。
卵子は言うまでもなく卵巣の中で育ちます。
卵子のゆりかごとも言える卵巣を、優しくいたわることで、結果的に良い卵が育ち、妊娠に至りやすいと考えるのは極めて自然なことでしょう。
そうした観点に立って、いろいろ調べてみると、甲状腺ホルモン、DHEA、ビタミンDなどが、卵子の生育にとても大切なことがわかってきました。
そうしたことに注意して、サプリメントをすすめたり、甲状腺ホルモン製剤などを投与しながらフォローアップを続けたところ、妊娠される方が少しずつ増えてきました。
そして、2019年に衝撃的ともいえることがありました。
ノベルジンというウィルソン病という先天性疾患にしか認められていなかったお薬が、「低亜鉛血症を伴う不妊症」に保険適用が拡大したのです。
そこで、私は早速「不妊ルーム」に通院されている方の、亜鉛の値を調べてみたのですが、低亜鉛血症、すなわち亜鉛が欠乏している女性がとても多いことに大変驚きました。
そしてそうした方々に、ノベルジンというお薬を投与してみたところ、驚くほど妊娠される方が増えたのです。
そして、話はここでストップしませんでした。
当院から体外受精の医療機関に紹介した方の亜鉛の値をチェックしてみたところ、低亜鉛血症の方がとても多かったので、そうした方々にノベルジンを服用して体外受精を行うよう勧めました。
そうしたところ、40歳以上で妊娠される方も増えてきたのです。
50歳の女性の妊娠(採卵した卵は44歳の時のものですが)には本当に驚きました。
こうした卵巣に足りない微量物質を補充するといった一連の治療を行うことによって、「卵巣を優しく守ることが妊娠に通じる」という思いを私は深めていきました。
つまるところ、”妊活とは卵巣をいたわること”という信念を持つに至ったのです。
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