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ふとん

昔からベットに憧れがあった。
今じゃもうそんな昔みたいにベットに対する憧れなんてないし、そんなこと忘れて日々睡眠をとるために何も考えずベットへ潜る。

小さい頃、中学2年生くらいまではずっと床に引くタイプの布団で眠っていた。
3姉妹で川の字になって、同室だから一番最初に寝る人に合わせて電気を消して、眠るのが決まりだった。
でも、大体寝る時間は決まっていて、電波の悪いからあんまりよく聞こえない「school of rock」を聴きながら宿題をやって、その後に始まる大沢たかおの「jet stream」が始まったらそろそろおやすみの時間で3人がふとんに入り始める。15分番組だからそれが終わったら消灯。

「電気誰が消す?」
「お前がやってよ」
「寒いからやだ」
「しかたないな」

しぶしぶ電気を消すのは大体末っ子の妹の役目。
電気が消えたら、天井を見つめながらしょうない作り話を考えて話したり、ふとんが地続きだから冷えた足を入れたりちょっかい入れて遊んだり、
明日が一番近いのに明日のことなんか考えず、笑い声と外の川の流れる音だけが部屋に響く時間が心地よかった。

他の家の子はほとんどがベットで寝ていた。
当時、十数年を敷布団で過ごしている私にとってはベッドは敷布団より高貴でおしゃれなものだった。
たまに行く家族力で泊まった部屋にベッドがあるとこぞってベッドに寝たがった記憶がある。
ここで問題が、ベッドで寝るたびに鼻血がでる。大量に。
たぶん、憧れのベッドに寝れる興奮でおかしくなっちゃってるんだろう。
笑える話。

そんなベッドに憧れる気持ちと、敷布団で眠った兄弟の思い出をこの間、友人の家に泊まった時にふと思い出した。
子供の頃って不思議に自分の持っていないもにびっくりするくらい憧れるし、キラキラして見える。 
年齢を重ねて知識が増えるたびに子供の頃のキラキラは見えなくなって行くように思える。
これが大人になるってことなのか。

来年また引っ越すからそのときは、今寝てるベッドをやめて床に布団を敷いてみようかななんて、わくわくしている。

とろろ