東京に、泊まるということ
この前仕事で、谷中にある”hanare”というホテルに一泊しました。
詳細は、後日アップされるhalettoの記事で紹介させていただくので割愛しますが、この「東京に泊まる」という体験が、なかなかに楽しかったのです。
hanareのHPにはこう記されています。
「単に一つの建物に完結したホテルではなく、まち全体を一つの大きなホテルに見立てることで、地域と一体になったホテルです」
hanareには、部屋が数室あるだけで、飲食スペースも、お風呂もありません。
食べるのは谷中の街で、お風呂は谷中の銭湯を利用してください、ということです。
そうして街を歩いて、hanareに泊まることで谷中の街を知ってください。というメッセージ。
そんなわたしは早速谷中の夜を楽しもうと、チェックインを済ませて夜の街へ繰り出します。
宿泊したのが日曜だったので、谷中の街はあまり飲食店が開いていなかったこともあり、夕飯は谷根千ヘビーユーザーの友人の勧めで、千代田線で数駅先の湯島へ。
駅近くにあるタイ料理屋で、食べきれないほどのごはんをお腹に詰め、タイビールでほろ酔い気分に。ここは在日のタイ人の方も通う、人気店のよう。(ここだけは日曜でもとても賑やかで混んでいた)
千駄木駅に戻ってから、銭湯へ。小さな街の銭湯ですが、お風呂上がりのおばちゃまたちが井戸端会議をしていたり、先に帰る人に、「またあしたね」なんて声を掛け合っていて、この銭湯が街の人にとっては当たり前の存在であることをかんじます。
コーヒー牛乳を一気飲みして、ホクホクしながら夜の街を歩いてhanareに戻ろうとしていると、目の前にすこし怖めのお兄さんが歩いています。そんな彼は身軽な格好でタオルをブンブン振り回していて。こんな怖めにいちゃんにとっても、銭湯は当たり前に日常なんだなって、やっぱりホクホクした。
hanareに戻って1日を振り返りながら、そして翌朝の朝ごはんをイメージしながら眠りにつく。自分の拠点から30分もしない距離で、友達の家以外でお泊まりするなんて、なかなか貴重な経験です。
その思いを明確にしたのは翌朝のこと。
顔を洗い、身支度を整え、約束の時間まで窓を開けてぼーっと、外を眺めていたのです。
すると、
自転車で行き交う学生
外に水を撒くお母さん
誰も歩かない静かな時間...
なんか、特に目立ったことはなにもないのだけれど、だからこそ、これぞわたしが求めていた街の雰囲気!とドンピシャな感じで。
千駄木は、地域の人から見たらどうか分からないけど、よそ者のわたしから見たらとても魅力的だ。今でこそ昼間は、観光目当ての方々で商店街などはごった返しだけど、一夜明け、その街の本来の姿を取り戻したこの場所は、東北の実家を思い起こすような、静かで穏やかで、暖かさに包まれた街だった。
少なくとも、わたしにはそう思えた。
街を知るには、一緒に寝ないと分からない。
自分の拠点がありながら、わざわざ都内で泊まること。
それは、予想以上に大きな発見をわたしに授けてくれました。
2017.4.12