日記 2025.3.26(火) もやもや/黄金柑/びしょ濡れになる/自分を助ける
毛布があたたかすぎて6時前に目が覚める。ちょうど外が明るくなってくる直前で気持ちがいい。布団の中で携帯をみながら片目ずつ起こしていく。上のヒートテックはもうそろそろ着納めかな。少しくらい肌寒くてもヒートテックを脱ぐと肩から力が抜けてすっとする。春が来たことをより感じられて気持ちも軽くなる。
今日はみさこの会社にもう一度お邪魔してみる。お昼ご飯は食べていこう。カレーにはニンニクを使ってしまったので、昨日買ったパンを食べてからいこうかな。残ったカレーは夕飯に食べよう。今夜もカレーが食べられるかと思うと嬉しい気持ちで1日を過ごせそうだ。
朝ごはんはバナナと一欠片の玄米パン。玄米パンがものすごくふんわり香ばしくて美味しい。ハーフサイズにしたけれど、普通に一個買えばよかった。黄金柑が目に入りよだれがでる。食べることにする。包丁で上下を切り落としワタの部分にぎゅっと爪を立てる。中の果肉をつぶさないようにやさしく皮をはいでいく。柑橘の皮をむくのが大好きだ。美味しさ求めて硬い皮でも諦めないでむく。薄暗い台所では皮からしぶきがあがるのがよく見える。ふわっと新鮮な香りが立ち昇る。もう嬉しい。黄金柑は外側の皮と果肉の色がおんなじで本当にきれいだなとみとれてしまう。さわやかな香りとおだやかな味わいの黄金柑、どんどん引き込まれていく。
今日も雨。時間が経つにつれてどんどん雨が強くなって本降りになってしまった。雨に濡れてもいいような服装を考える。そうするといろいろと制限が出てくる。足元は跳ね返りもあるから白や薄い色のパンツは履けないな、濡れても早く乾く服がいいし、丈の長いコートも大変そう。靴はゴアテックスのワラビーを履くとして、パンツはデニムにしようか。いまの時期にちょうどいい上着とインナーが思い当たらない。縛りがあるとなんだかよくわからない服装になってしまった。
パンを食べて少ししてから出かける。雨はしっかり降っている。駅に着いたらパンツも靴も、上着もしっかり濡れてしまった。雨が弱まることを願って小さい傘で来てしまったのだけれど間違いだった。
電車を降りてみさこの会社の方へ歩き出す。雨と風がすごい。あっという間にまたびしょ濡れになってしまった。遠巻きにみさこがいるか見てみる。それにしてもびしょびしょでどうしよう。少し乾かしてからのほうがいいかな、2回くらい会社の前を通り過ぎてコンビニに一旦避難する。雨を拭ったタオルもびしょびしょだ。なんだか悲しくなってきてしまった。
帰ろう。今日は行けそうだったらいくかもと言っていたので帰ってもいいよ、自分に声をかける。あとで連絡入れておこう。コンビニの鏡でびしょ濡れの自分を見る。顔色がわるい。
なんとか気持ちを落ち着けようと駅の中の食材店に寄ってみることにする。駅の中が複雑でなかなか辿り着けない。同じところを2回くらいぐるぐる回ってしまった。やっとたどり着いた店で量り売りのゴールデンベリーのドライフルーツを買った。途中エスカレーターの脇の休憩スペースを見つけて座ってみる。疲れた。ゴールデンベリーを食べてみる。甘酸っぱくて美味しい。食用のほおずきを乾燥させたものらしい。アプリコットとトマトの間のような雰囲気で絶妙な甘みと酸味があとを引く。21gしか買わなかったけれど、今度はもっと買ってみようと思った。
ゴールデンベリー効果ですこし元気が出て立ち上がる。このまま図書館へ行こうかと思ったのだけれど今日はなんだか気が乗らず家に帰ることにする。最寄りの駅で厚揚げとお菓子を買って帰った。
うちに帰りはぁとため息をつく。安心する場所へ帰ってきた。机の上にフキサチーフをかけて置いておいたわたしの2枚の絵が目に入った。自分の描いた絵にほっとする。こんな体験は初めてだった。
お菓子を食べて横になり少し仮眠をとる。そろそろ生理が来るのだろう。何にもやる気がしない。雨に濡れることを楽しめない。新しい食べ物にもそんなにときめかない。でも、わたしの絵だけはわたしの気持ちを一瞬でも晴れにしてくれた。不思議だなと思いながら寝転んだまま小さく丸くなる。
日曜日も休まず絵を描いたし、今日は絵を描くのもお休みにしようかなと思った。けれどこんな時にこそ絵を描くべきなのかもしれないと思い始める。
外はまだまだ雨が降る。カレーを食べて洗い物を済ませて、お化粧を落として米ぬかで洗顔をする。顔がすっきりしたらまた少し心が晴れてきた。お風呂に入ったら今日のこのもやもやからももう少し解放されるかもしれないと思いお風呂に入る。鏡の前で笑顔をつくる。顔をマッサージしてほぐしてあげる。頭も手でよく揉んでほぐす。お風呂から上がるとさっぱり気持ちが良くて軽くなってきた。まだ外へ出る気持ちにはなれない、ゴミ出しは明日でいいよと自分に言ってあげる。
お風呂上がりのストレッチ、今日は特に呼吸に集中しながらゆっくりやってみる。今日のクセを明日に持ち越さない。
寝る前の準備が全部終わったら大好きな音楽をかけながら白い紙に向かう。その前に描き終わった絵たちが汚れないように紙に挟んでおく。このサイズの絵を保管する袋を買ってこよう。B4サイズくらいの袋だと入るかな。少しずつ思考が戻ってくる。机の上が片付いたので落ち着いてパステルを持つ。今日は黄金柑を描いてみる。袋に入ったままの黄金柑。お店の中でひときわ輝いていて思わず手に取ったのを思い出して描く。前回の河川敷の桜の絵を描いてから何かが変わった。写真に映る机、カーテン、黄金柑を構成する色がはっきり見えてくるようになった感覚がある。色を選ぶスピードもはやくなった。1時間半で絵は完成した。あと5個しかないはずの黄金柑が買ってきたばかりの状態でそこにある。嬉しくなってきた。夢中で描いているうちに、体も心もどんどんと軽くなっていくのを感じた。写真を撮ってお父さんとお母さん、元住人に送る。手を洗いながら鏡に映る自分の顔を見る。頬がほんのり赤くシミも目立たない。元気になった。
今日に満足した。無理してでも机に向かってよかった。そう思えた。
まずは自分を助ける。自分の中に安心をつくるための技術を身につけていく。