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日記 2024.9.18(水) 太陽が背中を押してくれる。

安心して眠って1時ごろに目が覚めた。今日は寺尾紗穂さんの新しいアルバムの発売日。YouTubeを開いてみると新しい曲の音源と歌詞がアップされていた。寝転んだまま少し聴いてみる。

3時過ぎにまた眠って起きたら7時過ぎ。今日も暑くなりそうな気配。

さて今日は寺尾さんのレコードを買いに新宿へ行く。ついでに世界堂へも寄ってパステルを買おう。ベージュや茶色のすてきな色がないので買い足したいのだ。

顔を洗ってひんやりとした酵素液を顔に置いて朝の準備に取り掛かる。午後から雨の予報なので洗濯はしないでおこう。干しているイチヂクはギリギリまで外に出しておきたい。雨が降る前にきっと帰ってこよう。

出かける前に何故か玄関のほこりが気になり掃除した。元住人が教えてくれた塗装用のハケで靴のほこりを払う。気持ちいいくらいに細かいところまでほこりが取れる。彼はわたしの知らないことを知っていて、時々そっと教えてくれる。

いつも通る道は日陰もあるので日傘を出さなかったけれど首にはジリジリと暑さを感じた。ここへきてまっくろに日焼けしそう。

新宿へ着いてまずは世界堂へ。パステルのコーナーは3階。ケースを眺めながら欲しい色みを探していくのは楽しい作業。ベージュ系と濃い茶、キャメルのパステルをいくつか選ぶ。こういう色が欲しかったんだ。

今日買った色たち。

ゴンドラのパステルが欲しかったけれどしっくりくる色がなくてホルベインにしたので1本176円で安くついた。こちらはいい色が揃っていてついついたくさん欲しくなってしまった。

水彩紙のコーナーで店員さんに説明を聞く年配のご夫婦らしき人。女性の方が絵を描くらしいのだが、アルシュの紙を勧められて値段を見て躊躇しておられた。
アルシュの水彩紙ブロックの値段は本当にびっくりするくらい高い。店員さんはこの紙は最高級ですと説明するが女性はなかなか首を縦にふることができないでいた。
話を聞いて男性の方が先に決心して女性を説得し始める。「せっかく来たのだし、今日は3万円持ってきていますから大丈夫ですよ。」男性の説得に負けるような形で女性はアルシュの水彩紙ブロックを買うことに納得した。

一連のやり取りをわたしは親しみを持って聞いていた。なんでかと思ったら元住人とわたしの会話に似ていたからだ。高い画材を買うのに躊躇するわたしにいつも彼は買った方がいいと言ってくれていたことを思い出す。わたしはなんせ飽きっぽい性格なので買ってもすぐに使わなくなることが多い。それでも彼はいい道具を買うことに意味はあると言い続けていた。
買ってもすぐには使わなかったこともある。すぐに飽きてしまったこともある。パステルだってそうだ。買ってきてすぐ試してみたが、あまりにも描けなくてすぐにやめて棚の奥にしまってしまっていたのだ。それでもまた引っ張り出して描こうと思えたのは、ちゃんといいものを買っていたから。いい紙、いい画材は飽きるわたしをちょっと待てよと立ち止まらせる。値段も知っているからそう簡単には捨てられない。わたしのことだから家にあればまた気が向いた時に引っ張り出して使ってみるのだ。彼のことばはすぐには響かなくても後々本当にそうだったということが多い。彼には未来が見えてるようだとも思ったが、彼の生き方がそうなのだろう。彼が経験したことをわたしにそのまま教えてくれていたのだ。

HMVへ移動して寺尾紗穂さんのアルバムのレコードを買う。かわいいジャケット。レコードのいいところはジャケットの写真や絵が大きいこと。持っているとそれだけで嬉しくなる。大好きな寺尾さんのレコードを手にしたのは初めて。きっとデジタルとは全然違ってもっともっとやわらかく寺尾さんの声を感じることができるだろう。楽しみ。

おにぎり屋さんでお昼を食べて、宮崎のアンテナショップでパイン味のヨーグルッペを買ってベンチでひと休み。じめっとして風がない。さっきコスメキッチンに寄っていろいろと試したから手がベタベタする。早く家に帰りたい。雨が降る前には帰るぞ。

駅から家に帰っていると空がごろごろと音を立ててきた。雨の前に家に着いてほっとした。いやぁでも今日ははあはあ言ってしまうくらい変に暑い。

干していたイチヂクはもちろん無事だった。順調に乾いて水分がとんでいく姿をよだれをたらしながらながめる。
実家で毎年たくさん実をつけていたイチヂク。確かじいちゃんが大好きだった気がする。今でも実家にたくさん木がある。わたしは昔、イチヂクが好きではなかったのでじいちゃんが木からもいで美味しそうに食べている姿を見てもうらやましく思わなかった。東京に出てきてからいつのまにか懐かしいイチヂクの味が好きになっていた。イチヂクを見るといつもじいちゃんを思い出す。

レコードプレーヤーの電源を久しぶりにつける。新品のレコードに針を落とすのは特に緊張する。盤面に傷をつけないようにゆっくり慎重に。最初は音が出なくて焦ったけれど、スピーカーのコードの差し込みが甘かっただけだった。

気を取り直してもう一度一曲目から。しゅー・しゃいんが流れる。この曲、サントリーホールで初めて聴いた時からずっと心に残っている。
寺尾さんの声はレコードから聴くとすごくすごく気持ちがいい。レコードの針を通して聴く寺尾さんの声は、やわらかくじんわりとあたたかくわたしに届く。寺尾さんとおんなじ空間にいて、わたしにそっと語りかけてくれているよう。

いい気持ちのまま机に向かい、買ってきたパステルをひとつずつ使ってみる。紙に色をのせるのが気持ちがいい。どこまでも伸びる。描いている間にすーっと気分が晴れていくのを感じる。

なぜか料理がしたくなってきた。冷蔵庫にたくさんある野菜とにらめっこ。思いつくままに手を動かしてみよう。まずはそうめん瓜を湯掻いていく。熱湯に入れてて10分茹でると何かで見たのでそのようにやってみる。実家で茹でた時に湯掻き過ぎてやわらかくなり過ぎてしまったので気をつける。レンコンがしわしわになりつつあるのですりおろして汁ごとハンバーグみたいに形成する。焼く時にすこし塩をふる。

ぬか床のオクラを出してつまんでみる。穴を開けて漬ければよかったのか、ちょっと浅漬けだけれどねばっとして美味しいな。ぬか漬けの風味とよく合う。ズッキーニはもう少しこのまま漬けておこう。

お味噌汁はごぼうとズッキーニとお揚げと小松菜。スライスして干しておいた椎茸もお出汁がわりに入れる。具材を小さく刻むのが最近のお気に入り。
ごぼうがちょっと多かったのですりおろして、しょうがのすりおろし、玄米味噌、根昆布の粉末と混ぜ合わせてごぼう味噌も作っておいた。

ナスはぷりぷりつやつやのうちに使ってあげたい。どーんと大きい2本を使って味噌炒めにする。皮をところどころピーラーで剥ぐ。工程をしっかりと踏めばナスが味をしっかり吸って美味しい味噌炒めにできる気がする。乱切りにしたナスをこの間フライドポテトをした残りの米油とごま油半々で炒める。しっかりとナス全体に油が行き渡るようフライパンを揺らしてナスを転がす。皮を下にして焼き目がしっかりつくくらいに焼いていく。心配になるくらい放っておいても大丈夫だった。焼いている間にピーラーでところどころひいたナスの皮を細切りにして塩揉みする。

香ばしく焼き色のついたナスをひっくり返しながら焼いていく。塩揉みした茄子の皮、出た水分を絞って捨てる。梅干し、しょうがの千切りと混ぜて梅酢もすこし入れる。なんちゃってしば漬けにしてみる。大葉とみょうががあったら高山なおみさんの即席しば漬けになるのだけれど、どちらも今はないのでアレンジ。昔は料理にアレンジなんてできなかったのでずいぶん頭の中がやわらかくなってきたなぁと感じる。

寺尾さんの声にのって料理はどんどん進む。焼き色のついたナスにしょうゆとみりん、きび砂糖も少し入れて味をつける。ナスに下味をつけるようなイメージ。美味しそうになってきた。ここへ水でゆるめた玄米味噌をまわし入れて絡めたらもう完成。おネギとかあったらいいけれどないな。そんな時は千切りのしょうがでいこう。

レシピにある調味料がないことが多い我が家だけれど、そんな時にどうするかを考えて試すのが料理で一番楽しいところ。しょうゆとみりんとお塩ときび砂糖、それからお味噌。今はお酢もなくて梅酢だけでやっているけれど全然なんとかなる。そうめん瓜はオクラとトマトと合わせて梅酢で和えた。やさしい酸味にしゃきしゃきのそうめん瓜の食感が楽しい。
あー、頭の中にあったレシピを一気に吐き出すことができて満足だ。

今夜は寺尾さんナイト。19時半からのライブに備えて夕飯もちゃちゃっと食べてお風呂に入っておいた。布団も敷いてiPadをセットしてクマたちと一緒に待機する。

今日ばかりは寺尾さん一色でいきたい。4時間くらいずっと寺尾さんの歌に、声に、お話に浸ることができてしあわせだった。色々と自分の中に感じるもの、新しいか発見があった。ひとつずつ、少しずつ、わたしなりに考えながら実践してみたい、そう思った。

わたしには太陽のようにいつも背中を押してくれる人がいる。彼らは静かにじんわりとわたしの心と体を温めてくれる。安心、安全とはまたちょっと違うエネルギーを与えてくれる。
自身が経験してきたことをわたしに見せてくれる大きな存在を大切にしたい。わたしは彼らの姿にいつも力をもらっている。あなたならどうする、いつも問いかけられているような気がする。

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