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ここまでわかった「新型コロナ」抜粋②
京都大学大学院特定教授 上久保靖彦 小川榮太郎 文芸評論家
【2024年10月からXBBワクチン(新型コロナ)の接種が始まる。私はコロナがまだ高みの見物という段階の時、ダイヤモンドプリンセス号が横浜港に入港して来た時、新聞・テレビなどのマスコミで言われているコロナ論の真実をこの本から学びました。一挙に5回に分けて投稿します。(PDFを変換したので行や段落が乱れて読みにくいかも知れません。申し訳ないです。また図や表はカットしました】。
上久保:夏風邪とか言われているものはコロナです。それ以外に、冬のお腹にくるものはロタウイルスとか、ノロウイルスとか、下痢を起こすようなものがありますね。しかし、一般的に風邪の上気道症状のケースは、コロナが多いです。でも誰もPCRして来なかったんですから正確なことは分かりようがありません。言うまでもなくワクチンもしてない。
小川:冬の風邪ですと、インフルエンザと一般の風邪に分けて考えますね。
上久保:一般の風邪では、代表がコロナウイルス、他にライノウイルスやRSウイルスなどがあります。こうした風邪でも特別な検査はなく、インフルエンザだけ検査をしますよね。しかし、インフルエンザもPCRはしていません。PCRは時間もかかりますし、インフルエンザの場合は、イムノクロマト法といって、抗原抗体反応といった免疫的な迅速の検査法が確立しています。
*65歳以上のコロナ死亡率は1万人につき0.3人
上久保:申し上げたいことは、今、日本での新型コロナでの死亡者の数が約1300人くらいとした場合に、日本の人口は、1億2700万人ぐらいです。死亡者の多くの比率を占めている65歳以上の人口は、だいたい3580万人です。
では、その3580万人のうち、今回の新型コロナウイルスの死亡率はどの位かというと、これが1万人中の0.3人です。ですから、われわれ、病院で当直とかしますと、極めて稀な死因と言うほかないのですよ。
小川:先生はラボの研究者であると同時に血液内科の臨床医師で、ここは大切なポイントですね。ウイルスや感染症だけの専門家だと臨床経験がない。その場合、どうしても病気の実態を知らない。そこで、先生の議論に対する根強い反発には、私から見ると、大きな議論の土俵の食い違いがある気がするのです。
個人の中の免疫機能だけを見ますと、それなりに化学的に還元できますね。抗体は検出できますし、T細胞やB細胞についても、測定が全く不可能というわけではない。でも、集団免疫と言う考え方は、生命システムのマクロ現象を見るわけでしょう。
上久保:パンデミックのこの世界の動態を解明できる専門家というのは、誰もいないんです。誰もエヴィデンス本位で正確なことは分からない。分かりようがない現象なのです。
小川:疫学というのは病理学で明確な答えを出るのを待っていては、社会政策を決定できない中で出てきた。いわば政策医学でしょう。
それを可能な限りち密な数値モデルとして先生と高橋先生が出した時、仮説だからダメだ、病理学的に証明しろというのは、議論の土俵が違うんですよ。しかも体内の免疫、抗体を調べれば全部事態が解明できるのか。
上久保:マクロの現象としてのパンデミックは分からないですよ。
*ウイルスと人間の間にはシステムが存在する
上久保:夏風邪とか言われているものはコロナです。それ以外に、冬のお腹にくるものはロタウイルスとか、ノロウイルスとか、下痢を起こすようなものがありますね。
しかし、ピークアウトした国ではほとんど死亡者は出なくなります。アメリカは、3月から5月上旬までに12万人が亡くなりました。通常、アメリカでは、インフルエンザで、ひと冬、2万から多くて8万人ぐらい。ですから3ヶ月かそこらで12万人亡くなったら、これは大変な死亡者数ですね。それだけの人間を2ヶ月で殺すようなウイルスがいたわけです。
ところが、その後の同じ期間で死者は35000人、これでも多いけれど、死因の数え方に疑問がありますし、保険診療のないアメリカで貧困層で死者がなかな減らないと言う問題があるでしょうが、それも今やほぼ収束しました。
上久保:そうですね。
小川:そうすると、私が、多くの科学者が、議論の土俵を間違えている気がするのは、集団免疫について証拠を出せと。
しかしね、数ヶ月前には人をあれだけ殺していたのに、 今、ほとんど人が亡くならない。しかしウイルスはいる。PCRをやれば出てくる。すると今もウイルスがいるのに人は殆んど亡くならない。
そうしたら、ここに何かウイルスと人類の間でのシステムがなければ、こんな現象が生じるはずがない。
上久保:システムがあるんです。
小川:私はマクロで見た場合には、この感染カーブ(流行曲線)の死亡者推移こそがエ ヴィデンスではないかと考えます。
ところが、死者・重症者の感染カーブを病理的に確定診断を付けて公表することもせずに、陽性者の数だけ強調して、秋からまた第二波が起こるかも知れないとマスコミで危機を煽り続けている専門家がいる。
【素人ながらも現在の陽性者の数を毎日報道するのはどういう意味があるのか分からない。検査を拡げたら陽性者を見つけ出す確率は高くなるのは当然である。ましてや累計で何人の陽性者がいるといっても累計が必要なのか、知りたい情報ではない。陽性になったらとにかく死なないで生還するのが目標になるなら、肝心なのは死者数ではないかと思う。完治した人にはマスコミは興味ないのかな】。
上久保:そちらにこそ何の根拠もありません。
小川:逆にそんなこと言ったら、永久に言い続けられる。コロナはエボラと違って消えないのですから。
上久保:その方たちがなぜそれを第二波と言っているのかというと、スペイン風邪で、第二波がありました。第一波が大きく来て、第二波はやや小さい、それが又第三波で大きくボーンと来たというのがあったから、第二波が来ると思っている。でも、そこに解析の理論がない方ばかりです。「感じ」で言っておられるだけですね。
小川:先生の場合、エピカーブをデータ解析で予測して来られたのを私は三月から良く知っていますし、今後も予測が可能だと言う。
上久保:計算できます。それは高橋先生が精力的になさっていますが、どれだけで収まるかというのは、かなりのレベルで予測できる。
小川:その辺り、いつまで経っても来ないウイルスの危険を叫びながら、失業者を増やし、倒産を増やし続ける事態を止められない専門家の「科学」とは何だろうと思ってしまいます。
上久保:ええ、彼らにとっては、私が楽観的に見通しを申し上げるのが無責任なのかも分かりませんが、逆に、死者がほとんど増えていないのに、死ぬかも分からないじゃないかと言う方が、よほど無責任だと思いますね。
中小企業が倒産し、観光産業は壊滅、地方経済がどん底になる。GDPが1%下がると自殺者が2400万人出るとされている。それに対して責任を捨てるのか。
第3章
上久保ー高橋 「集団免疫説」とは
*ピークを過ぎると死者数はつるべ落としに。
小川:先生と高橋先生の結論から言うと、集団免疫が達成されて、初めてコロナウイルスも感染拡大、重症者・死者が殆どいなくなるんだという考えですね。
上久保:そうです。まずは7月14日時点での、ヨーロッパの人口百万当たり新型コロナウイルス死者数推移のグラフを見て頂きましょう。(カラー図1。札幌医科大学フロン ティア医学研究所ゲノム医科学部門のトラジェクトリー解析を、ナチュラル心療内科竹林直紀医師が再解析、上久保靖彦に提供 略)。
これを見るとヨーロッパでは全ての国がピークアウトして、現在収束に向かっています。最初の死者が出てからの約1~3週間は、ロックダウンの時期に関係なく、このグラフに出ている欧州の全ての国(ロックダウンしていないスウェーデンも含め)が、ほぼ同じような弾道軌跡(トラジェクトリー)で増え続けています。
グラフに含まれていませんが、北米のアメリカとカナダも同じようなパターンです。最初の1~3週間で人口百万当たり約10人の死者数に達した後は、早期にロックダウンした国から順に収束に向かい、1週間毎の死者総数も少なくなる傾向が認められます。
例外として、ベルギーはオランダより早くロックダウンしていますが、人口百万人当たりの死者総数は最も多くなっています。(図表6 略)
最も遅くロックダウンしたアイルランドは、比較的早くにロックダウンしたオランダとほぼ同じ弾道軌跡をたどっています。ロックダウンをしていないスウェーデンも他の国と同様に収束しつつありますが、人口百万人当たりの死者総数はイタリアと同じぐらいになっています。
ロックダウンするしないに関係なく、ウイルスの感染拡大と収束パターンが決まっていて、ピークアウトします。
人口百万人当たりの1週間毎の死者数が最大になるまでの日数は、1ヶ月から1ヵ月半です(図表6)。最初の死者が出てから1~3週間の初期の死者数の急速な増加パターン は、一部を除き他の地域の国々では日本同様、ヨーロッパ諸国ほど高い山になっていません。
「抗体依存性感染増強(ADE)」のような特殊な免疫反応が、欧米の死亡者数の増加に関与している可能性が高いと私は考えています。
小川:カラー図Ⅰは、結論を一言で言うなら、今回の新型コロナウイルスは世界各国において、死者の数に大きな差がありますが、あるピークまで行くと、必ず突然、つるべ落としのようにパタッとなくなるということを示している。
最後は90度のようにバーンと消えていく。アジア諸国ではより小さな死者数で、同じようにつるべ落としのパターンが見られます。
上久保:ヨーロッパだけを見ても収束するまでの期間に大きな差がありますね。それは世界各国でロックダウンして、「flatten the curve」(曲線を平たくする)と言いますが、医療のキャパシティーを越えないように、感染伝播を緩やかにしようとするわけです。平たい山になる代わりに、感染伝播期間は長引き、死亡者がなくなるまでの期間も長期化します。
小川:8月になっても死者数が落ちず、増加が止まらなかった国もあります。南米諸国のブラジル、メキシコや後になってから急増しているインドなどですが、それはどうご覧になられますか?
上久保:国によってはまだ集団免疫に達していないのだと思います。もしくは達していて も、ECMO(体外式膜型人工肺)や人工呼吸器の数が足らなくてなくなっているなど、各国別の詳細は検討しないとまだわかりにくいですね。また、院内感染などが続出している可能性も否定できない。これらは実際に検証しないと分かりません。
小川:確かに、日本でも6月16日付で厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部が、陽性反応が出た人は、病理所見で他の死因とされる方でも全て新型コロナウイルスの死亡者に加算しろと指示していたり、医師会から病理所見についての圧力がかかったりと、新型コロナについては情報が非常に怪しい状態に置かれたままですからね。
世界でも冷静な議論が出来る状況にまだなっていないと言えるのでしょう。
さて、確認しておきたいことが二点あります。まず、どの国を見ても、ある段階で急激にピークアウトしているということ。ここにはメカニズムがあるのではないか。次に、同じパターンは踏んでいるものの死者数に非常に大きな差が出ているということ。
アメリカやブラジル、ヨーロッパではイタリア、スペイン、フランス、イギリスなどが軒並み多数の死者を出していますが、発祥の中国を始め、日本、韓国、オーストラリア、ASEANなどの死者は明らかに少ない。
このメカニズムはなぜ生じたのか。第一章で取り上げたファクターXですが、それを山勘やあてずっぽうではなく、数理モデルとして解析したのが上久保―高橋理論ですね。
*コロナのウイルス干渉でインフルエンザが激減
上久保:まず、結論から申し上げますと、日本はもう大半が感染し終わっていて免疫を持っているという状況になって久しい、と私どもは考えています。
なぜそう言えるのか。
前にご紹介したGISAIDを解析して、変異が世界でどういう風に展開して行くかを明らかにしました。これは学術誌に投稿しています。『Nature』への1回目が2020年の 3月19日、2回目が4月15日、『medRxiv』は3月22日の投稿です。4月16日に改訂しました。『NEJM』でUSAが危ないと書いたのは3月24日、Cambridge Open Engageは5月2日に最初のバージョン、6月20日に改訂版を投稿している。
当初、中国の研究者が、祖先型のSと発展型のLという変異を指摘していました。ゲノムの情報がない段階でそれを信じて議論を組み立てる他なかったのですが、GISAIDで詳細が明らかになったので、我々は、それを解析して、S型からK型へのより明確な展開を明らかにしました。
小川:それは先生方が遺伝子情報の変異に対してSとかKとか名称を付けられたということですか。
上久保:はい、変異の表記に関して記載法が幾つかあるのですが、我々はインフルエンザ流行カーブの解析によって、世界で初めてパンデミックを解明したという自負から、通称を名付けたわけです。初期型を先駆け(sakigake)=通称S型、
日本のインフルエンザ流行曲線が大きく欠ける事態を生じた為(kakeru)=通称K型
世界に拡大した変異を(global)=通称G型
と命名し、少しオリジナリティを出した。変異の記述法については、論文に詳細が記載されています。(アドレス、略)
変異の展開をこれからご説明します。中国や日本などは、すべてS型とK型でまず集団免疫に達していたのですが、そこで武漢にG異変が起こった。武漢ではパニックが起きたのは武漢のG変異です。
そこから欧米でも変異が入りまして、欧米のG型になります。だから順番としては、S型、K型、武漢G型、欧米のG型となる。
日本では、海外からの渡航者が途切れないまま、段階的にすべて感染者が上がって行って集団免疫に達したため、被害が少なかった。逆に欧米ではこのうちのK型が入らなかったため、免疫の達成に大きな問題が生じて、被害が拡大した。
小川:なぜ、そうしたメカニズムを明らかにできたのですか?
上久保:インフルエンザの流行カーブとの相関性を見だしたのがきっかけなんです。日本では2019年から今年の春にかけてインフルエンザ感染が例年に比べ圧倒的に少なかった(図7 略)。なぜ、こんなに例年に較べてインフルエンザの感染が少なかったのか。
上久保:図表8を見ていただくと分かりますが、くびれがあります。
【通常のインフルの感染グラフは暮れから春にかけてのきれいな山型のグラフになるが、ここで教授が説明しているグラフ2019・2020では、二回のくびれがあり、へっこんでいる】
このインフルエンザの流行カーブが12月23日の週に小さくくびれていますね。これは S型が入って来たときのウイルス干渉だと考えます。
小川:ウイルス干渉とはどういうものでしょうか?
上久保:ウイルスにおける干渉(interference)とは、複数のウイルスが同じ人、細胞に感染しようとした時に、ウイルスの増殖を互いに抑制しようとする現象を指します。
いずれかのウイルスが吸着に必要なレセプター(受容体)を占領したり、破壊することで、それ以外のウイルスが吸着することが出来なくなることもあります。
また、どちらか一方のウイルスが感染して、それによって獲得されたT細胞免疫によりサイトカインが放出され、他方が感染できずに排除されるということもあります。そうした一連の仕組み、メカニズムが「干渉」です。
小川:それは定説ですか。新しいお説なんでしょうか。
上久保:インフルエンザとコロナのウイルス干渉については既にマウスでは知られています。また、インフルエンザと非インフルエンザ呼吸器系ウイルスとして、RSV(呼吸器の感染症の原因であるRSウイルス)とライノウイルス等のウイルス干渉は知られています。
ただ、インフルエンザとヒトのコロナウイルスの間でのウイルス干渉はまだ報告がありません。我々が初めて疫学的に証明していると思います。
小川:なるほど。ウイルス干渉自体は既に知られているが、今回のケースをそう見たのは先生方が初めてという訳ですね。確かに、今年のインフルエンザの流行カーブを見ると、各県で驚くほど同じパターンのくびれが、全く同じ週に生じていますね(図表8 略)。
こんな奇妙な現象が各県でばらつきなく生じるのは確かに強力な原因がなければならないとは、私のような素人でも感じます。
それで、この小さい方のくびれがS型が中国から入った影響だとすると大きくカーブを止めてしまう方はどういうことになりますか?
上久保:この大きくインフルエンザの流行を止めた方はK型が中国から入った時期を示すと考えます。
インフルエンザのカーブが強く抑制されていればいるほど、K型が充分に
入ったことを表わすのです。
私たちは、いつS型が上陸して、いつK型が入り、インフルエンザを抑制したかを、インフルエンザの流行カーブを解析することによって捉えました。
(図表9 略)
小川:このインフルエンザのくびれがウイルス干渉であること、そうした相関性が新型コロナとの間で生じているというのは、仮説にすぎないという批判があります。その点についてはどうお考えになりますか。
上久保:そうした批判は度々頂戴します。確かに、これは世界中誰も試みたことがない。しかし、コロナウイルスは、その多くが無症候者間の感染ですから、いつ上陸してどう展開したかは、他の方法では追跡しようがありません。
そうした全く暗中模索の状況に対して、インフルエンザとの相関性を利用して、一定の手がかりを与えようとしたのが私たちの方法論です。
小川:なるほど。コロナウイルスは無症候が大半だというお話は前章で伺っていますね。確かに、そうすると、感染の状況を実際問題として把握することは不可能なわけだ。
上久保:ええ、今回の拡大期にはPCRも抗体キットも何もなかったわけですから調べようがありません。
小川:そこで、先生方が着目したのは、実は毎年、世界中でインフルエンザについては、定点観測がある。
それぞれの国で精度や基準に差はあるでしょうが、これはまず大きな意味で安定的に使用できる指標だ、と。日本でも各都道府県で定点観測をしているし、世界中、各国がやっている。
上久保:そうです。実は感染症は発展途上国においては、先進国よりもずっと深刻な問題なので、インフルエンザのサーベイランス(発生動向調査)は、全世界、どんなところもでもやっています。
インフルエンザの流行カーブは、どこの発展途上国も統計学的につ くっています。だから、日本はもとより世界中のインフルエンザ感染曲線が利用できました。
小川:その定点観測をしているインフルエンザの感染カーブに異変があったかどうかを見てみたわけですね。
上久保:すると、確かに世界中で興味深い変化が起こっていたんです。
小川:なるほど。無症候感染者の追跡に世界中で定点観測の存在するインフルエンザの感染曲線を利用するーそこに着目しただけでも、私のような素人目には大きな科学的前進のように思えますね。
それで先生方の調べたところ、日本のインフルエンザ曲線は二度、このくびれが起こっている。
上久保:ええ、図が示している通り、二つのくびれを感知することが可能です。S型が1 2月23日の週に多く入ったことが分かります。小さなくびれがそれに当たります。
その次に、1月10日、13日の週に大きく抑制されているというパターンに、どの都道府県もなっていますね。
充分にこのS型が入って、最初からインフルエンザの山が低く抑えられて、そこにK型が入ったら、感染拡大を示す面積は最も小さくなります。逆に最も多 かったのは北海道です。北海道は当初コロナが抑制されにくかったですね。
小川:インフルエンザの感染曲線は、通常ですとこういうくびれは無いのですか?
上久保:はい、通常はこうなりません。ただし、今回のようなパターンは恐らく約10年に一度の頻度で起きていると考えられます。コロナに感染した人はインフルエンザに感染できない。
小川:このインフルエンザの数値は信頼できるのですか。
上久保:日本のインフルエンザレベルマップは、厚生労働省・感染症サーベイランス事業により、全国約5000のインフルエンザ定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数が週ごとに把握されています。
過去の患者発生状況をもとに基準値を設け、保健所ごとにその基準値を超えると注意報や警報が発生する仕組みになっています。
しかし、各国で基準や精度が異なりますし、日本でも定点観測拠点は各都道府県が病院を選定してやっているのですが、数がまちまちです。単純に足し算しても何の意味もない。罹患者の絶対数は分かりません。
そこで私たちは人口比や注意報と警報の差などを推計した独自の計算式を考案し、山の抑制率を見るという方法をとりました。
小川:なるほど、抑制率に換算すれば、確かに精度や基準のばらつきは均されますね。いずれにしろ、2019年は、2017、18年に較べますと、三分の一ぐらいの山になっている。
元々、山が低いというより、明らかにインフルエンザが中途で消えてしまったように見えます。
小川:その辺りのメカニズムをもう少し詳しくご説明いただけますか。
上久保:はい、皆さん、風邪をひくと熱が出ますね。なぜ熱が出るかというと、T細胞からインターフェロンガンマ(IFN-γ)、IL-2、TNF-βなどというサイトカインが出るからです。
小川:サイトカインとは何ですか。
上久保:サイトカイン(cytokine)は、細胞から分泌される低分子のタンパク質のことです。生理活性物質、生理活性タンパク質とも呼ばれます。インフルエンザに感染すると、我々の持っているTリンパ球がそれを認識して、サイトカインを放出します。
このサイトカインがウイルスをやっつけるのです。反対に、コロナウイルスに感染した場合でも、それを認識して、サイトカインが出る。その場合、コロナで既にサイトカインが出ていると、インフルエンザが体内に入って来ようと思っても入って来れない。
だから今回起こったことは、コロナ感染した人はインフルエンザに感染できない。 で、インフルエンザに感染した人は、T細胞免疫が起こって、ワァーと熱が出る。そうするとそこにはコロナが入って来れない。
これは実は人間では言われていないけども、マウスのコロナとインフルエンザはそういう関係にあるということは論文があります。
小川:なぜ人間では言われてこなかったのでしょうか。
上久保:調べようと思っても、例年並みの状況の時には、人間がコロナに感染しているからインフルエンザに感染しないなんて、どうやって調べるか。調べられない。動物だったら調べられるでしょうけれど。
小川:人間を実験材料に出来ないということですか。
上久保:それもそうですが、そもそもパンデミックという巨大な現象については疫学でしか証明できないですよ。実験室で個体を見ても、世界で展開している現象は想像が全くつかないです。
小川:そして、コロナの状況を把握するのにインフルエンザとの相関性からアプローチできるのは、インフルエンザは、症状がハッキリしているからですね。
しかも、世界中で定点観測がある。その感染カーブに異変が起きた。
そうすると、それは推論として、何かそこに原因があるが、先生方はそれがコロナではないかというふうに想定されたわけですね。
上久保:大体10年サイクルで変異による感染者増があると考えてますが、かって誰も調べていなかった。
小川:大問題になる手前で済んでいるから、研究者も着目をしたことがなかったんですね。
上久保:たまたま今回は武漢でパニックが起きたから、気がつきましたが、気がつかないまま、何となく終わっているということは多数あります。おおよそ10年サイクルであるのではないかと想像しています。
今回の山と同様、例年に比べ、非常に低い山が2010年にもあります(カラー図Ⅳ 略)。だから、可能な限り、今後過去に遡って全部検証していくべきと思いますね。
*専門家会議の図々しさ
小川:そうしたインフルエンザとのウイルス干渉からコロナの変異型を疫学的―仮定的に先生方が見出された。しかし、全く物証の裏付けがないわけではないのでしょう?
上久保:ええ、勿論です。既にご紹介したがあります(カラー図Ⅴ 略)。その遺伝データを解析して変異が起こっていることも、我々は論文で証明している。
小川:スパイクに変異が入るのですよね。それはGISAIDをどう見ると分かるんですか。これはネットで世界中のウイルスがどんどん変異していることを示すデータバンクですね。色を付けたのは先生ですか?
上久保:いや、これはGISAIDが付けています。変異型の種類で色が違い、欧米型とか、アメリカ型とかいうことで、彼らが色を付けるんです。薄い黄色やオレンジ色のところが、武漢とアセアン地域のS型とK型。
このサイトではゲノム解析によってORF( Open reading flame)、それからスパイク(Spike: S)で、変異がどう起きているか、遺伝子情報が全部分かっている。クリックしたらすぐ分かる。
小川:大きな枠で、だいたい類似した感じがK型というように括るのですか。
上久保:一つひとつ違います。でも、どういう経路で行ったという流れや変異のレベルでグルーピングできます。恐らく可能性があるのは、武漢から上海に行った。そこからイタリアで欧米型のGに変異した。
それからアメリカに行ったんだろうということは追って行けば、分かります。
小川:その、変異になっているということを先生がパターン解析したのですね。
上久保:スパイクの遺伝子配列が分かっているんです。だからここに変異が来て、次ぎ、ここに変異が来てというパターンが読めるんです。
小川:他の科学者たちが、これを検証するときに、変異の仕方の先生の解析を見れば理解できますか?
上久保:見れば分かりますよ。
小川:先生の場合、変異がS,K,Gと来ていると。で、別の科学者が遺伝子解析を自分もやったけど、上久保―高橋説が正しいとか、あるいは自分がやったら違う解析になったとか、あまりそういう議論を見かけない気がするのですが、どうなっているのでしょう か。
上久保:感染研究所が4月27日になって欧米での変異があったことを公表しているんですけども、我々がそれを論文で示した3月には欧米の変異型があるということ自体、ご存じなかったと思います。
小川:今は、欧米の変異型ということを政府系の専門家会議も言っているけど、内輪話をすると、先生の知見で必要だと私が思う情報は、極力政権に伝えてきた。
で、3月26日の段階で、先生が欧米で変異が起こって、これは、R0値が従来の武漢のものよりも。。。
上久保:全く違います。高いですね。
小川:高い。ちなみにR0とは何かもご解説していただけますか。
上久保: 。RO値は日本語では、「基本再生産数」と言います。
あるウイルスに対して誰も免疫を持たず、ワクチンなどの感染予防もない場合、一人の感染者が平均何人に伝染させるかを示す推定値で、ウイルスの人に対する感染力の指標となる。大変重要な数値です。
(図表10 略)【図によるとコロナウイルスは1.4~6.6, インフルエンザは2~3 麻疹は12~18】
小川:先生は、3月26日に、そのR0が従来の武漢型よりずっと大きな欧米変異型が日本に入って来た。だから日本でこれから感染拡大し新たな死者が出るということを強く言われた訳です。
上久保:はい、GISAIDが丁度その頃に出てきたのです。それを解析して分かりました。
*新型コロナも例年通り大量に入って来ていた
小川:3月26日に先生が、「もう感染が収束すると考えていたけど、小川先生、すみません、新しい変異が見つかったから、欧米からの渡航はすぐに遮断して下さい」と言われたんですね。で、外務省に伝えたら即断して渡航の遮断をしてくれた。
でもその時、専門家会議は何も言っていないですよ。それどころか、その時に彼らが言ったのは、麻布や六本木のクラブで夜飲んでいるからクラスターが拡大しているので、欧米の変異は関係ないと、はっきり否定するレクチャーを加藤勝信厚労大臣にしている。
その頃は総理もしきりに「麻布や六本木が原因で増えているらしいね」と仰っていたから相当仕込んでいたのでしょう。ところが、その時、欧米変異型で感染が拡大し、死者も拡大すると先生が逸早く進言してくれた。今伺うとこのGISAIDを見て解析されていたんですね、解析でR0値が違うことまで分かるんですか?
上久保:分かります。GISAIDで分かるのは変異の種類だけでなく、系統樹が作られているので、どちらの変異が伝播力が強いかも分かるのです。
小川:遺伝子情報の解析から分かるんですか。
上久保:そうではなくて、どの変異が伝播力が強いかが分かるだけです。R0は2月から 3月の流行時のPCRの陽性率などで割り出しました。そのときのPCRの陽性率は正しかったんですよ。
小川:日本の検査の数値ですね。
上久保:そう。死亡者数も実は、ある時点から急激に発表データの信憑性が落ちるのですが、3月までは正しいことが反映されていました。
だからそれに基づいて、我々はR0値を計測して、情報にアクセスしたら、S型とK型だと分かった。
小川:国立感染研や専門家会議は、3月下旬には欧米変異なんて認めなかったのが、5月に入ってからの専門家会議の報告書には「欧米変異をいち早く見つけたために被害を最小限にとどめた」と総括している。
内情を知っている私は仰天しましたね。しかし、逆を言えば、武漢タイプと欧米での変異タイプと、そういう変異がこのコロナにおいて存在しているということまでは、日本の主流派学者も5月の段階で認めたことになります。
ところが、具体的な変異についての議論が深まりませんね。論文査読でも、なかなか先生方の論文がアクセプトされません。
上久保:実際は、3月19日から『Nature』などに投稿していましたが、査読にも回してもらえず、編集者の段階で分からないと言われました。理屈が分からないとダメです。
全部、プレプリント(査読前論文)を出していますけども、実はレビューしている人が分からないんです。
小川:それは内容が新しいからですか?
上久保:『medRxiv』ですらなかなかプレプリントを掲載してくれず、結局3月28日になっています。
分からないという理由だけでもないような気がしました。
小川:疫学の学問としての積み上げは、過去、別の感染症でいろいろな方がしているわけでしょ。
上久保:やってきています。
ただ、疫学的アプローチと遺伝子解析は専門分野が違うんです。疫学的考え方と実証科学としての遺伝子解析とを組み上げている。疫学的考え方は高橋先生に教示してもらっています。
小川:遺伝子の解析は実証なんですね。
上久保:そうです。そちらは実証科学で、インフルエンザ曲線との相関関数の方は疫学的思考なんです。
③に続く
。
上久保:そうですね。
小川:そうすると、私が、多くの科学者が、議論の土俵を間違えている気がするのは、集団免疫について証拠を出せと。
しかしね、数ヶ月前には人をあれだけ殺していたのに、 今、ほとんど人が亡くならない。しかしウイルスはいる。PCRをやれば出てくる。すると今もウイルスがいるのに人は殆んど亡くならない。そうしたら、ここに何かウイルスと人類の間でのシステムがなければ、こんな現象が生じるはずがない。
上久保:システムがあるんです。
小川:私はマクロで見た場合には、この感染カーブ(流行曲線)の死亡者推移こそがエ ヴィデンスではないかと考えます。ところが、死者・重症者の感染カーブを病理的に確定診断を付けて公表することもせずに、陽性者の数だけ強調して、秋からまた第二波が起こるかも知れないとマスコミで危機を煽り続けている専門家がいる。
【素人ながらも現在の陽性者の数を毎日報道するのはどういう意味があるのか分からない。検査を拡げたら陽性者を見つけ出す確率は高くなるのは当然である。ましてや累計で何人の陽性者がいるといっても累計が必要なのか、知りたい情報ではない。陽性になったらとにかく死なないで生還するのが目標になるなら、肝心なのは死者数ではないかと思う。完治した人にはマスコミは興味ないのかな】。
上久保:そちらにこそ何の根拠もありません。
小川:逆にそんなこと言ったら、永久に言い続けられる。コロナはエボラと違って消えないのですから。
上久保:その方たちがなぜそれを第二波と言っているのかというと、スペイン風邪で、第二波がありました。第一波が大きく来て、第二波はやや小さい、それが又第三波で大きくボーンと来たというのがあったから、第二波が来ると思っている。でも、そこに解析の理論がない方ばかりです。「感じ」で言っておられるだけですね。
小川:先生の場合、エピカーブをデータ解析で予測して来られたのを私は三月から良く知っていますし、今後も予測が可能だと言う。
上久保:計算できます。それは高橋先生が精力的になさっていますが、どれだけで収まるかというのは、かなりのレベルで予測できる。
小川:その辺り、いつまで経っても来ないウイルスの危険を叫びながら、失業者を増やし、倒産を増やし続ける事態を止められない専門家の「科学」とは何だろうと思ってしまいます。
上久保:ええ、彼らにとっては、私が楽観的に見通しを申し上げるのが無責任なのかも分かりませんが、逆に、死者がほとんど増えていないのに、死ぬかも分からないじゃないかと言う方が、よほど無責任だと思いますね。中小企業が倒産し、観光産業は壊滅、地方経済がどん底になる。GDPが1%下がると自殺者が2400万人出るとされている。それに対して責任を捨てるのか。
第3章 上久保ー高橋 「集団免疫説」とは
ピークを過ぎると死者数はつるべ落としに。
小川:先生と高橋先生の結論から言うと、集団免疫が達成されて、初めてコロナウイルスも感染拡大、重症者・死者が殆どいなくなるんだという考えですね。
上久保:そうです。まずは7月14日時点での、ヨーロッパの人口百万当たり新型コロナウイルス死者数推移のグラフを見て頂きましょう。(カラー図1。札幌医科大学フロン ティア医学研究所ゲノム医科学部門のトラジェクトリー解析を、ナチュラル心療内科竹林直紀医師が再解析、上久保靖彦に提供 略)。これを見るとヨーロッパでは全ての国がピークアウトして、現在収束に向かっています。最初の死者が出てからの約1~3週間は、ロックダウンの時期に関係なく、このグラフに出ている欧州の全ての国(ロックダウンしていないスウェーデンも含め)が、ほぼ同じような弾道軌跡(トラジェクトリー)で増え続けています。グラフに含まれていませんが、北米のアメリカとカナダも同じようなパターンです。最初の1~3週間で人口百万当たり約10人の死者数に達した後は、早期にロックダウンした国から順に収束に向かい、1週間毎の死者総数も少なくなる傾向が認められます。例外として、ベルギーはオランダより早くロックダウンしていますが、人口百万人当たりの死者総数は最も多くなっています。(図表6 略)
最も遅くロックダウンしたアイルランドは、比較的早くにロックダウンしたオランダとほぼ同じ弾道軌跡をたどっています。ロックダウンをしていないスウェーデンも他の国と同様に収束しつつありますが、人口百万人当たりの死者総数はイタリアと同じぐらいになっています。ロックダウンするしないに関係なく、ウイルスの感染拡大と収束パターンが決まっていて、ピークアウトします。
人口百万人当たりの1週間毎の死者数が最大になるまでの日数は、1ヶ月から1ヵ月半です(図表6)。最初の死者が出てから1~3週間の初期の死者数の急速な増加パターン は、一部を除き他の地域の国々では日本同様、ヨーロッパ諸国ほど高い山になっていません。「抗体依存性感染増強(ADE)」のような特殊な免疫反応が、欧米の死亡者数の増加に関与している可能性が高いと私は考えています。
小川:カラー図Ⅰは、結論を一言で言うなら、今回の新型コロナウイルスは世界各国において、死者の数に大きな差がありますが、あるピークまで行くと、必ず突然、つるべ落としのようにパタッとなくなるということを示している。
最後は90度のようにバーンと消えていく。アジア諸国ではより小さな死者数で、同じようにつるべ落としのパターンが見られます。
上久保:ヨーロッパだけを見ても収束するまでの期間に大きな差がありますね。それは世界各国でロックダウンして、「flatten the curve」(曲線を平たくする)と言いますが、医療のキャパシティーを越えないように、感染伝播を緩やかにしようとするわけです。平たい山になる代わりに、感染伝播期間は長引き、死亡者がなくなるまでの期間も長期化します。
小川:8月になっても死者数が落ちず、増加が止まらなかった国もあります。南米諸国のブラジル、メキシコや後になってから急増しているインドなどですが、それはどうご覧になられますか?
上久保:国によってはまだ集団免疫に達していないのだと思います。もしくは達していて も、ECMO(体外式膜型人工肺)や人工呼吸器の数が足らなくてなくなっているなど、各国別の詳細は検討しないとまだわかりにくいですね。また、院内感染などが続出している可能性も否定できない。これらは実際に検証しないと分かりません。
小川:確かに、日本でも6月16日付で厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部が、陽性反応が出た人は、病理所見で他の死因とされる方でも全て新型コロナウイルスの死亡者に加算しろと指示していたり、医師会から病理所見についての圧力がかかったりと、新型コロナについては情報が非常に怪しい状態に置かれたままですからね。世界でも冷静な議論が出来る状況にまだなっていないと言えるのでしょう。
さて、確認しておきたいことが二点あります。まず、どの国を見ても、ある段階で急激にピークアウトしているということ。ここにはメカニズムがあるのではないか。次に、同じパターンは踏んでいるものの死者数に非常に大きな差が出ているということ。アメリカやブラジル、ヨーロッパではイタリア、スペイン、フランス、イギリスなどが軒並み多数の死者を出していますが、発祥の中国を始め、日本、韓国、オーストラリア、ASEANなどの死者は明らかに少ない。このメカニズムはなぜ生じたのか。第一章で取り上げたファクターXですが、それを山勘やあてずっぽうではなく、数理モデルとして解析したのが上久保―高橋理論ですね。
コロナのウイルス干渉でインフルエンザが激減
上久保:まず、結論から申し上げますと、日本はもう大半が感染し終わっていて免疫を持っているという状況になって久しい、と私どもは考えています。
なぜそう言えるのか。
前にご紹介したGISAIDを解析して、変異が世界でどういう風に展開して行くかを明らかにしました。これは学術誌に投稿しています。『Nature』への1回目が2020年の 3月19日、2回目が4月15日、『medRxiv』は3月22日の投稿です。4月16日に改訂しました。『NEJM』でUSAが危ないと書いたのは3月24日、Cambridge Open Engageは5月2日に最初のバージョン、6月20日に改訂版を投稿している。
当初、中国の研究者が、祖先型のSと発展型のLという変異を指摘していました。ゲノムの情報がない段階でそれを信じて議論を組み立てる他なかったのですが、GISAIDで詳細が明らかになったので、我々は、それを解析して、S型からK型へのより明確な展開を明らかにしました。
小川:それは先生方が遺伝子情報の変異に対してSとかKとか名称を付けられたということですか。
上久保:はい、変異の表記に関して記載法が幾つかあるのですが、我々はインフルエンザ流行カーブの解析によって、世界で初めてパンでミックを解明したという自負から、通称を名付けたわけです。初期型を先駆け(sakigake)=通称S型、
、日本のインフルエンザ流行曲線が大きく欠ける事態を生じた為(kakeru)=通称K型
、世界に拡大した変異を(global)=通称G型
と命名し、少しオリジナリティを出した。変異の記述法については、論文に詳細が記載されています。(アドレス、略)
変異の展開をこれからご説明します。中国や日本などは、すべてS型とK型でまず集団免疫に達していたのですが、そこで武漢にG異変が起こった。武漢ではパニックが起きたのは武漢のG変異です。そこから欧米でも変異が入りまして、欧米のG型になります。だから順番としては、S型、K型、武漢G型、欧米のG型となる。日本では、海外からの渡航者が途切れないまま、段階的にすべて感染者が上がって行って集団免疫に達したため、被害が少なかった。逆に欧米ではこのうちのK型が入らなかったため、免疫の達成に大きな問題が生じて、被害が拡大した。
小川:なぜ、そうしたメカニズムを明らかにできたのですか?
上久保:インフルエンザの流行カーブとの相関性を見だしたのがきっかけなんです。日本では2019年から今年の春にかけてインフルエンザ感染が例年に比べ圧倒的に少なかった(図7 略)。なぜ、こんなに例年に較べてインフルエンザの感染が少なかったのか。
上久保:図表8を見ていただくと分かりますが、くびれがあります。
【通常のインフルの感染グラフは暮れから春にかけてのきれいな山型のグラフになるが、ここで教授が説明しているグラフ2019・2020では、二回のくびれがあり、へっこんでいる】
このインフルエンザの流行カーブが12月23日の週に小さくくびれていますね。これは S型が入って来たときのウイルス干渉だと考えます。
小川:ウイルス干渉とはどういうものでしょうか?
上久保:ウイルスにおける干渉(interference)とは、複数のウイルスが同じ人、細胞に感染しようとした時に、ウイルスの増殖を互いに抑制しようとする現象を指します。いずれかのウイルスが吸着に必要なレセプター(受容体)を占領したり、破壊することで、それ以外のウイルスが吸着することが出来なくなることもあります。また、どちらか一方のウイルスが感染して、それによって獲得されたT細胞免疫によりサイトカインが放出され、他方が感染できずに排除されるということもあります。そうした一連の仕組み、メカニズムが「干渉」です。
小川:それは定説ですか。新しいお説なんでしょうか。
上久保:インフルエンザとコロナのウイルス干渉については既にマウスでは知られています。また、インフルエンザと非インフルエンザ呼吸器系ウイルスとして、RSV(呼吸器の感染症の原因であるRSウイルス)とライノウイルス等のウイルス干渉は知られています。ただ、インフルエンザとヒトのコロナウイルスの間でのウイルス干渉はまだ報告がありません。我々が初めて疫学的に証明していると思います。
小川:なるほど。ウイルス干渉自体は既に知られているが、今回のケースをそう見たのは先生方が初めてという訳ですね。確かに、今年のインフルエンザの流行カーブを見ると、各県で驚くほど同じパターンのくびれが、全く同じ週に生じていますね(図表8 略)。こんな奇妙な現象が各県でばらつきなく生じるのは確かに強力な原因がなければならないとは、私のような素人でも感じます。それで、この小さい方のくびれがS型が中国から入った影響だとすると大きくカーブを止めてしまう方はどういうことになりますか?
上久保:この大きくインフルエンザの流行を止めた方はK型が中国から入った時期を示すと考えます。
インフルエンザのカーブが強く抑制されていればいるほど、K型が充分に
入ったことを表わすのです。私たちは、いつS型が上陸して、いつK型が入り、インフルエンザを抑制したかを、インフルエンザの流行カーブを解析することによって捉えました。
(図表9 略)
小川:このインフルエンザのくびれがウイルス干渉であること、そうした相関性が新型コロナとの間で生じているというのは、仮説にすぎないという批判があります。その点についてはどうお考えになりますか。
上久保:そうした批判は度々頂戴します。確かに、これは世界中誰も試みたことがない。しかし、コロナウイルスは、その多くが無症候者間の感染ですから、いつ上陸してどう展開したかは、他の方法では追跡しようがありません。そうした全く暗中模索の状況に対して、インフルエンザとの相関性を利用して、一定の手がかりを与えようとしたのが私たちの方法論です。
小川:なるほど。コロナウイルスは無症候が大半だというお話は前章で伺っていますね。確かに、そうすると、感染の状況を実際問題として把握することは不可能なわけだ。
上久保:ええ、今回の拡大期にはPCRも抗体キットも何もなかったわけですから調べようがありません。
小川:そこで、先生方が着目したのは、実は毎年、世界中でインフルエンザについては、定点観測がある。それぞれの国で精度や基準に差はあるでしょうが、これはまず大きな意味で安定的に使用できる指標だ、と。日本でも各都道府県で定点観測をしているし、世界中、各国がやっている。
上久保:そうです。実は感染症は発展途上国においては、先進国よりもずっと深刻な問題なので、インフルエンザのサーベイランス(発生動向調査)は、全世界、どんなところもでもやっています。インフルエンザの流行カーブは、どこの発展途上国も統計学的につ くっています。だから、日本はもとより世界中のインフルエンザ感染曲線が利用できました。
小川:その定点観測をしているインフルエンザの感染カーブに異変があったかどうかを見てみたわけですね。
上久保:すると、確かに世界中で興味深い変化が起こっていたんです。
小川:なるほど。無症候感染者の追跡に世界中で定点観測の存在するインフルエンザの感染曲線を利用するーそこに着目しただけでも、私のような素人目には大きな科学的前進のように思えますね。それで先生方の調べたところ、日本のインフルエンザ曲線は二度、このくびれが起こっている。
上久保:ええ、図が示している通り、二つのくびれを感知することが可能です。S型が1 2月23日の週に多く入ったことが分かります。小さなくびれがそれに当たります。その次に、1月10日、13日の週に大きく抑制されているというパターンに、どの都道府県もなっていますね。充分にこのS型が入って、最初からインフルエンザの山が低く抑えられて、そこにK型が入ったら、感染拡大を示す面積は最も小さくなります。逆に最も多 かったのは北海道です。北海道は当初コロナが抑制されにくかったですね。
小川:インフルエンザの感染曲線は、通常ですとこういうくびれは無いのですか?
上久保:はい、通常はこうなりません。ただし、今回のようなパターンは恐らく約10年に一度の頻度で起きていると考えられます。コロナに感染した人はインフルエンザに感染できない。
小川:このインフルエンザの数値は信頼できるのですか。
上久保:日本のインフルエンザレベルマップは、厚生労働省・感染症サーベイランス事業により、全国約5000のインフルエンザ定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数が週ごとに把握されています。過去の患者発生状況をもとに基準値を設け、保健所ごとにその基準値を超えると注意報や警報が発生する仕組みになっています。
しかし、各国で基準や精度が異なりますし、日本でも定点観測拠点は各都道府県が病院を選定してやっているのですが、数がまちまちです。単純に足し算しても何の意味もない。罹患者の絶対数は分かりません。そこで私たちは人口比や注意報と警報の差などを推計した独自の計算式を考案し、山の抑制率を見るという方法をとりました。
小川:なるほど、抑制率に換算すれば、確かに精度や基準のばらつきは均されますね。いずれにしろ、2019年は、2017、18年に較べますと、三分の一ぐらいの山になっている。元々、山が低いというより、明らかにインフルエンザが中途で消えてしまったように見えます。
小川:その辺りのメカニズムをもう少し詳しくご説明いただけますか。
上久保:はい、皆さん、風邪をひくと熱が出ますね。なぜ熱が出るかというと、T細胞からインターフェロンガンマ(IFN-γ)、IL-2、TNF-βなどというサイトカインが出るからです。
小川:サイトカインとは何ですか。
上久保:サイトカイン(cytokine)は、細胞から分泌される低分子のタンパク質のことです。生理活性物質、生理活性タンパク質とも呼ばれます。インフルエンザに感染すると、我々の持っているTリンパ球がそれを認識して、サイトカインを放出します。このサイトカインがウイルスをやっつけるのです。反対に、コロナウイルスに感染した場合でも、それを認識して、サイトカインが出る。その場合、コロナで既にサイトカインが出ていると、インフルエンザが体内に入って来ようと思っても入って来れない。
だから今回起こったことは、コロナ感染した人はインフルエンザに感染できない。 で、インフルエンザに感染した人は、T細胞免疫が起こって、ワァーと熱が出る。そうするとそこにはコロナが入って来れない。これは実は人間では言われていないけども、マウスのコロナとインフルエンザはそういう関係にあるということは論文があります。
小川:なぜ人間では言われてこなかったのでしょうか。
上久保:調べようと思っても、例年並みの状況の時には、人間がコロナに感染しているからインフルエンザに感染しないなんて、どうやって調べるか。調べられない。動物だった調べられるでしょうけれど。
小川:人間を実験材料に出来ないということですか。
上久保:それもそうですが、そもそもパンデミックという巨大な現象については疫学でしか証明できないですよ。実験室で個体を見ても、世界で展開している現象は想像が全くつかないです。
小川:そして、コロナの状況を把握するのにインフルエンザとの相関性からアプローチできるのは、インフルエンザは、症状がハッキリしているからですね。しかも、世界中で定点観測がある。その感染カーブに異変が起きた。そうすると、それは推論として、何かそこに原因があるが、先生方はそれがコロナではないかというふうに想定されたわけですね。
上久保:大体10年サイクルで変異による感染者増があると考えてますが、かって誰も調べていなかった。
小川:大問題になる手前で済んでいるから、研究者も着目をしたことがなかったんですね。
上久保:たまたま今回は武漢でパニックが起きたから、気がつきましたが、気がつかないまま、何となく終わっているということは多数あります。おおよそ10年サイクルであるのではないかと想像しています。今回の山と同様、例年に比べ、非常に低い山が2010年にもあります(カラー図Ⅳ 略)。だから、可能な限り、今後過去に遡って全部検証していくべきと思いますね。
専門家会議の図々しさ
小川:そうしたインフルエンザとのウイルス干渉からコロナの変異型を疫学的―仮定的に先生方が見出された。しかし、全く物証の裏付けがないわけではないのでしょう?
上久保:ええ、勿論です。既にご紹介したがあります(カラー図Ⅴ 略)。その遺伝データを解析して変異が起こっていることも、我々は論文で証明している。
小川:スパイクに変異が入るのですよね。それはGISAIDをどう見ると分かるんですか。これはネットで世界中のウイルスがどんどん変異していることを示すデータバンクですね。色を付けたのは先生ですか?
上久保:いや、これはGISAIDが付けています。変異型の種類で色が違い、欧米型とか、アメリカ型とかいうことで、彼らが色を付けるんです。薄い黄色やオレンジ色のところが、武漢とアセアン地域のS型とK型。このサイトではゲノム解析によってORF( Open reading flame)、それからスパイク(Spike: S)で、変異がどう起きているか、遺伝子情報が全部分かっている。クリックしたらすぐ分かる。
小川:大きな枠で、だいたい類似した感じがK型というように括るのですか。
上久保:一つひとつ違います。でも、どういう経路で行ったという流れや変異のレベルでグルーピングできます。恐らく可能性があるのは、武漢から上海に行った。そこからイタリアで欧米型のGに変異した。それからアメリカに行ったんだろうということは追って行けば、分かります。
小川:その、変異になっているということを先生がパターン解析したのですね。
上久保:スパイクの遺伝子配列が分かっているんです。だからここに変異が来て、次ぎ、ここに変異が来てというパターンが読めるんです。
小川:他の科学者たちが、これを検証するときに、変異の仕方の先生の解析を見れば理解できますか?
上久保:見れば分かりますよ。
小川:先生の場合、変異がS,K,Gと来ていると。で、別の科学者が遺伝子解析を自分もやったけど、上久保―高橋説が正しいとか、あるいは自分がやったら違う解析になったとか、あまりそういう議論を見かけない気がするのですが、どうなっているのでしょう か。
上久保:感染研究所が4月27日になって欧米での変異があったことを公表しているんですけども、我々がそれを論文で示した3月には欧米の変異型があるということ自体、ご存じなかったと思います。
小川:今は、欧米の変異型ということを政府系の専門家会議も言っているけど、内輪話をすると、先生の知見で必要だと私が思う情報は、極力政権に伝えてきた。で、3月26日の段階で、先生が欧米で変異が起こって、これは、R0値が従来の武漢のものより
も。。。
上久保:全く違います。高いですね。
小川:高い。ちなみにR0とは何かもご解説していただけますか。
上久保: 。RO値は日本語では、「基本再生産数」と言います。あるウイルスに対して誰も免疫を持たず、ワクチンなどの感染予防もない場合、一人の感染者が平均何人に伝染させるかを示す推定値で、ウイルスの人に対する感染力の指標となる。大変重要な数値です。
(図表10 略)【図によるとコロナウイルスは1.4~6.6, インフルエンザは2~3 麻疹は12~18】
小川:先生は、3月26日に、そのROが従来の武漢型よりずっと大きな欧米変異型が日本に入って来た。だから日本でこれから感染拡大し新たな死者が出るということを強く言われた訳です。
上久保:はい、GISAIDが丁度その頃に出てきたのです。それを解析して分かりました。
新型コロナも例年通り大量に入って来ていた
小川:3月26日に先生が、「もう感染が収束すると考えていたけど、小川先生、すみません、新しい変異が見つかったから、欧米からの渡航はすぐに遮断して下さい」と言われたんですね。で、外務省に伝えたら即断して渡航の遮断をしてくれた。
でもその時、専門家会議は何も言っていないですよ。それどころか、その時に彼らが言ったのは、麻布や六本木のクラブで夜飲んでいるからクラスターが拡大しているので、欧米の変異は関係ないと、はっきり否定するレクチャーを加藤勝信厚労大臣にしている。
その頃は総理もしきりに「麻布や六本木が原因で増えているらしいね」と仰っていたから相当仕込んでいたのでしょう。ところが、その時、欧米変異型で感染が拡大し、死者も拡大すると先生が逸早く進言してくれた。今伺うとこのGISAIDを見て解析されていたんですね、解析でR0値が違うことまで分かるんですか?
上久保:分かります。GISAIDで分かるのは変異の種類だけでなく、系統樹が作られているので、どちらの変異が伝播力が強いかも分かるのです。
小川:遺伝子情報の解析から分かるんですか。
上久保:そうではなくて、どの変異が伝播力が強いかが分かるだけです。R0は2月から 3月の流行時のPCRの陽性率などで割り出しました。そのときのPCRの陽性率は正しかったんですよ。
小川:日本の検査の数値ですね。
上久保:そう。死亡者数も実は、ある時点から急激に発表データの信憑性が落ちるのですが、3月までは正しいことが反映されていました。だからそれに基づいて、我々はR0値を計測して、情報にアクセスしたら、S型とK型だと分かった。
小川:国立感染研や専門家会議は、3月下旬には欧米変異なんて認めなかったのが、5月に入ってからの専門家会議の報告書には「欧米変異をいち早く見つけたために被害を最小限にとどめた」と総括している。
内情を知っている私は仰天しましたね。しかし、逆を言えば、武漢タイプと欧米での変異タイプと、そういう変異がこのコロナにおいて存在しているということまでは、日本の主流派学者も5月の段階で認めたことになります。
ところが、具体的な変異についての議論が深まりませんね。論文査読でも、なかなか先生方の論文がアクセプトされません。
上久保:実際は、3月19日から『Nature』などに投稿していましたが、査読にも回してもらえず、編集者の段階で分からないと言われました。理屈が分からないとダメです。全部、プレプリント(査読前論文)を出していますけども、実はレビューしている人が分からないんです。
小川:それは内容が新しいからですか?
上久保:『medRxiv』ですらなかなかプレプリントを掲載してくれず、結局3月28日になっています。分からないという理由だけでもないような気がしました。
小川:疫学の学問としての積み上げは、過去、別の感染症でいろいろな方がしているわけでしょ。
上久保:やってきています。ただ、疫学的アプローチと遺伝子解析は専門分野が違うんです。疫学的考え方と実証科学としての遺伝子解析とを組み上げている。疫学的考え方は高橋先生に教示してもらっています。
小川:遺伝子の解析は実証なんですね。
上久保:そうです。そちらは実証科学で、インフルエンザ曲線との相関関数の方は疫学的思考なんです。
危ない国はリストマップで分かっていた
小川:インフルエンザから統計的にこうなるというのを割り出したのが疫学。一方でGI SAIDからの遺伝子の変異は実証科学であると。
上久保:で、何月何日に入って来ているということは実証ですね。小川:そうすると、理解に幾つかの段階があると思うんですね。まず変異があるという理解。そして、変異をきちんと遺伝子情報から追跡できるという理解。それが集団免疫の形成とどう関わるかという理解。
そして変異については、最近日本独自の変異を公表した国立感染研だけでなく、先生も日本独自の変異に言及されて久しいですね。【最後の変異の部分は皮肉ですね】
上久保:日本独自の変異が生じていて、しかもそれももう終わっています。あと、どれだけ残っているか、どこで終わるかということも把握できています。
小川:カラー図Ⅱ、Ⅲの欧米リスクスコアを3月の下旬に出されていますね。【Ⅱはヨーロッパの図でイタリアやスペインはリスク高いと示されている。Ⅲはアメリカでカリフォルニアはハイリスクですね】
上久保:これは『Nature』に3月19日に投稿したスコアですね。その時点でここまで分かっている。勿論修正していません。
小川:これは先程お話いただいたインフルエンザ感染状況から割り出された新型コロナのリスクマップですね。
上久保:そうです。発表当初は、当然この通りになるかどうか不明でした。でも今は、どの程度リスクスコアが正しいか、外れているか検証できますから。中国も、アジア各国のリスクスコアも算定しています。
小川:三月の段階で先生が出したのは、リスク度の高い国は、イタリアとスペイン、イギリスがハイリスク。次いでフランス、ドイツですね。
上久保:ちなみに集団免疫を達成するという手法は、失敗しているんじゃないかと言う私への批判に、しばしばスウェーデンが挙げられます。「集団免疫」の獲得を目指して緩い対策をとって来ました。その結果被害が拡大したのではないか、と。しかし、最悪期に1 15人に達した一日の死者数も、その後ゼロになる日もあり、死者はトータル5700人くらいですが、収束が見えています。ただね、スウェーデンはリスクスコアでご覧になると分かるように、実はノルウェーやフィンランドなど周辺国よりリスクが高かったのです。
だから私が当初助言するとしたら、スウェーデンは、ノルウェーやフィンランドよりも、ロックダウンを厳しくしなさいと申し上げたと思います。
ロックダウンは感染するスピードを抑制します。スウェーデンは抑制することによって医療破綻しないようにする必要があったのです。逆にノルウェーとフィンランドはロックダウンする必要はなかった。リスクスコアはそういう判断に使えるので、私たちは公表したのです。
小川:この図によりますと、ポルトガルも非常に安全で、実際の死者数も1700人くらい。隣国なのにスペインに較べて。。。
上久保:圧倒的に違います。10万人当たり死者数にきちんと反映してますでしょ。アメリカの州ごとのリスクスコアについても、相関性は凄く高いです。例えば、カリフォルニアは、死者が少ないから大丈夫と言われていたけど、今、ここに来て増えています。
小川:先生は3月初旬にアメリカは、第二、第三、第四の武漢が多発するだろうと言っておられた。
上久保:ADEがプラスされたから、こうなりましたね。
小川:ADEとは何を意味するのでしょうか。
上久保:「抗体依存性感染増強」のことです。本来ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞へのウイルスの感染を逆に促進してしまう怖ろしい現象です。急激に症状が悪化し、死に至ります。欧米を中心に凄まじい劇症化例が多数報道され、世界を恐怖に陥れましたね。あれはADEによるものでしょう。ADEの詳細になメカニズムについては明らかになっていないことも多いのですが、複数のウイルス感染症でADEに関連する報告が上がっています。
例えば、SARSやMERSに対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、ADEが原因と考えられています。
小川:今回、非常に多くの死者を出した国では、医療崩壊による超過死亡のみならず、そのADEが生じていたのではないかと先生は推測されるわけですね。
小川:それにしても、ここまで的中率が高いスコアを3月に既に出している。インフルエンザとの相関性から割り出した数式があるわけでしょう?
上久保:そうです。数式があります。新日本科学というCRO(Contracted Research Organization)にその計算式を、高橋先生が登録しています。インフルエンザの流行カーブの計算が分からないというご質問が時々あるのですが、計算は単純ではありませんの で、詳細については、新日本科学にある計算式を見て解析していただく必要があります
(アドレス 略)。
小川:単なる仮説だと言っておられる方は、先生が数式を出しているのに見ていないように見受けられます。
上久保:理論疫学者自体が理解できていないようですからね。
小川:それは理論疫学のどういう点が問題だとお考えになりますか。
上久保:例えば、理論疫学者たちは、今回コロナのROを2.5と計算していますね。
小川:クラスター班の西浦正教授などそう計算していましたね。
上久保:ええ、でも西浦さんだけでなく世界中の学者がそうなんですよ。それはなぜかと言うと、既に感染していることに気付かずに、今、これから上陸して来ると思ったからです。しかし、何度も申し上げているようにそうじゃない。新型コロナと名付けると特別な存在と思ってしまいますが、そもそもコロナウイルスなのです。変異が入っているだけで。だから例年通り無症状で大量に入って来ていたのです。武漢G型のROは、5.2、欧米G型は6.99ということを、我々は疫学的に計算しました。
小川:非常に高い値何ですね。そこまで感染力が高ければ無症候のまま大勢に移るわけだ。しかし、そうすると、クラスター追跡で感染を防ぐなんてどっちみち不可能じゃないですか。感染力が強すぎて。勿論、感染者を特定する方法としては、のべつ幕なしにPCRをやるよりも、クラスターの範囲内で追っていく方が合理的だとは思いますが、コロナウイルスに置いて、クラスターを追跡していれば、感染自体をストップできるというのは、あり得ないでしょう。
上久保:それは無理ですね。押谷教授や西浦教授は、8割以上の感染者が濃厚接触者のの誰にも移していない(RO≒0)一方で、三密の条件が重なったところで3~5人以上うつす感染者がいて、クラスターが生じたと捉えています。Re(実行再生産数)は、ある集団でのある時点において、一人の感染者から平均何人に伝染させるかを示す推定値を指します。クラスター以外のの感染者は放置していても自然収束するので、クラスター発見と隔離に集中する方が効果的に感染仰止できるという理論建てですが、例えばROが2.5でも追跡が可能とは考えられません。それ程ウイルスの展開は迅速です。無症候が軸となるウイルスは、感染カーブが上昇するはるか前に感染爆発を起こしているものだからです。
しかも、RO=2.5の仮定がそもそも間違いで、それに先立つS型とK型の流行に気付いておられなかった。そしてまた、8割以上の感染者が誰にも移していないというのは、その周囲の人たちには免疫があったからだと考えるのが免疫学の常識です。他に考えようがない。そこで、私と高橋先生は、3月25日~26日、小川先生にお願いして厚労省から西浦先生にコンタクトを取り、私どもの論文をお送りもしました。共同研究を申し込もうと思ったのですが、西浦先生からは拝読し、厚労省と論文を共有しますとの返信があっただけで、その後はなしのつぶて。
小川:ええ、卒直に言って彼の反応を見て、クラスター理論は状況の説明としても対処法としても破綻していると考えましたね。現実にもその後西浦教授が煽動に近いような発言を繰り返され、日本の新型コロナ対策迷走の大きな原因となったので、これは大変残念なことでした。
K型が1月13日に入って来た証拠
上久保:考えてみて下さい。武漢閉鎖は1月23日です。武漢の人口は約1100万人です。武官閉鎖の噂が流れた途端に、500万人が武漢から中国、世界全土に出て行って、おまけにその日には、成田に9000人が移動したと武漢市長が言っています。また、武漢市閉鎖までの4日間で、武漢市から直行便で1700人が日本に入国しています。更に申し上げれば、外務省に調べて頂いたところ、11月から2月28日までの中国からの訪日人数は184万人だった。
小川:つまり、変異初期のS型の段階で、中国から100万人単位で人が来てしかも銀座から心斎橋、京都、福岡。。。どこでも繁華街では濃厚接触している。中国人は結構声が大きいですから、唾液の飛沫も日本人の比ではないでしょう。11月から1月までにS型の曝露もすごい数がいて、K型が入る1月中旬からも制限していないからフリーで入って来たわけですね。インフルエンザ曲線が日本中で1月13日近辺の週で急減してますから、K型はそこに入った。
上久保:クラスター班が何人で追跡しているか存じ上げませんが、数百万人もの中国からの旅行者が訪日されている。それを2月下旬から少人数で追跡して効果があるかどうか、考えて頂ければ分かるでしょう。でもクラスター追跡法は使いようではあると思います よ。エボラ出血熱などには使ったらいいんです。
では新型インフルエンザに関してクラスター追跡は有効かどうか。この辺りは今研究中です。私と共同研究者の高橋先生の間でも意見が違います。
小川:インフルエンザの場合、症状がはっきりしているからコロナとは違いますね。
上久保:ええ、誰に感染するかということが分かるから、クラスター追跡法も感染抑止に効果があるかも知れません。
小川:しかし先生。インフルエンザだったら、クラスターで追跡しなくても、自分が40度の熱になって、ぶっ倒れちゃうんだから。で、家族も「近寄らないで!」となる訳でしょう。
上久保:ただ、インフルエンザの場合でも、免疫を持っていたら移らないし、無症候の人も結構いるのです。そこはコロナと近い感覚というのはある。
小川:そう言えば、聞きそびれたことがあります。12月23日、S型の入った時は、あまりくびれがありませんでした。ところが、K型で、インフルエンザが突如日本から消える。何でこんなに大きな差が出るんですか。
上久保:これはT細胞の免疫を起こす力なんです。S型ウイルスで出来たT細胞免疫では、サイトカインが弱いんです。なのでインフルエンザの感染カーブの抑え方が弱い。一方、K型で出来たT細胞免疫は充分な量のサイトカインを出すと考えられる。だから充分にインフルエンザの感染を抑えられたのではないかと我々は考えた。しかし、それを実験室の中で調べろと言われたら、今、検体が無ければ調べられません。
小川:要するにウイルス干渉の強さから逆算したということですね。そこが仮説とされる所以なんですね。しかし、それにもかかわらず私が先生の説に強い妥当性を感じた理由は簡単です。今回のインフルエンザは、例年より流行が早くて強いと思われていた。それが例年の三分の一で収束しました。
コロナに用心したからインフルエンザが流行らなかった?
小川:コロナでみんなが用心したからインフルエンザも流行らなかったという憶測でした。だけど、コロナで日本中が騒ぎ出したのは2月に入ってからです。インフルエンザ曲線を見ると、1月13日の週で急減しています。コロナで用心したなんて関係ないのです。コロナなんか誰も知らない時に、実はインフルエンザは早くも消えていたのです。
上久保:それに対して、アメリカは、インフルエンザのブームが例年になく大きかったですね。6万人も亡くなっています。
小川:今回ですか?
上久保:そうです。前年も物凄く多かったですね。
小川:つまり日本とは逆に、インフルエンザの方が猛威を振るってしまっていたのです。
上久保:そうです。だからコロナが入りにくかった。
小川:しかし、これだけ相関性があるのにきちんと議論の俎上に二載せない専門家たちって一体どうなっているのでしょうかね。RO2.5にしろ、クラスタ追跡にしろ、検証されないで常識化されてっしまう例が山ほどある。それに対して、上久保ー高橋モデルは、リスクスコアを先回りして公表した。これは危険なことです。もしリスクスコアが大幅に間違っていたら、先生方は恥をかくだけですから。ところがいつまで経っても証拠不十分だという曖昧な批判がなされる。ROが2.5とか何十万人死ぬなんて言っている人が、大手を振って、堂々とメディアに登場する。
上久保:アインシュタインが、EはMCの二乗と言った時に、それを理解できたのは世界で 5人しかいませんでした。EはMCの二乗というのは実験室では証明できないからです。でも、結局、時間が経ってきたら、そうとしか考えられないということで、今は誰も疑わなくなりました。私どもの理論も証明されていくと言うことは必要なんです。時間がある程度経たないと、証明されていかないのは仕方ないかも知れません。後になって分かる。パンデミックはラボでの証明を待っていたら終わってしまいますよ。ではどうしたら良いのか。科学者は必要性がある時には、大胆に踏み込んででも、予測スコアを出すべきと思います。
第4章 新型コロナウイルスの正体
小川:私も含め、一日や半日で症状が消えたり、咳が続くなんて人は、随分たくさんいましたよ。あれ、かなりの方がそのときにPCRしたら陽性だったんでしょうね。そのあたりは、ウイルスと人類の共存という問題と絡んでくると思うんです。人とエボラとは共存できませんね。
上久保:そうですね。そういうウイルスの場合は隔離して完全になくす他ありません。
小川:インフルエンザやコロナは、共存を続けてきた。今回のコロナは確かに変異によって、例年より大きな被害をもたらしたと言え、基本的に、隔離したら制圧できるものではありませんね。
上久保:免疫しか決め手はないんです。本質的に風邪のウイルスなのです。
免疫の仕組みというのは複合的になっていて、非常に強力なものです。既に免疫の基本はお話しました が、人間にはもともと自然免疫がある。新型コロナでは更に獲得免疫が形成されています。抗体がその指標となりますが、短期決戦用の抗体IgM、長期にわたって有効なのがIgGです。病初期には、IgMという免疫グロブリン抗体が上がりますが、それでは十分に抑え込めません。IgMに代わって、あとから出て来るIgGという免疫グロブリン抗体が長期にわたって有効で強い抗体です。
今回の新型コロナウイルスでは、私と高橋先生は、相当な量の抗体が形成されているのではないかと予想していましたが、それを裏付ける研究が最近発表されました。8月13日に記者発表された村上康文東京理科大教授の抗体定量検査がそれでず。村上教授は首都圏382人の検体をサンプル使用して、IgG,IgMを数か所の遺伝子情報から調べておられ、精度が非常に高いデータだと思います。
サンプル例は図表11のようになっています。
(図11 略)。
二人、値の高い方がありますね。これは病院に入院している人でしょう。IgMが先に上がっています。この短期決戦用のIgMが先に強く反応するのは初感染パターンです。初めて感染した時はIgMが先に上がる。ところがそれ以外の多くのサンプル、皆さん量が少ない。しかしきちんと出ている。しかも全例に置いてIgGとIgMとが同時に上がっている。これは免疫学的には既感染パターンです。既に免疫を獲得している人を既感染と言いますが、そういう人にウイルスが再度曝露している。
これは、医師国家試験や検査の教科書に出ていることで、医者や検査技師、免疫学の専門家ならよほど藪医者でない限り誰でも知っています。
初感染の時は、IgMが上がり、その後UgGが上がって来る。そしてウイルス感染がそのUgGで抑え込まれて治ると、次の感染に備えるメモリーB細胞が生成されて、IgG抗体は下がって行きます。なので、入院患者以外のボランティアの方の検体では、IgG抗体も下がります。だから皆さん値が低い。
380例でこうなのですから、検体の数を多くしてもIgGが上がるものばかりだろうと想像されます。だとするならば、日本人の殆どはもう免疫を持っているということになる。無症候のウイルスというのはそういうものなのです。3月9日まで、中国から数百万人が来ていて、街中で会っている。そこから家族にうつる。幼稚園や小学校では子供たちがじゃれ合ったり色々なものとの接触が大人よりずっと激しいでしょ。彼らはスーパースプレッダーになる。無症候のまま気付かずに皆さん移しまくるのが、コロナですから。
小川:一方症状の劇症化などが当初たくさん伝えられ、若い人も亡くなる。これが多くの国民を恐怖に陥れました。
上久保:それは実態を病理学的に検証する必要がありますね。例えば28歳のお相撲さんが亡くなりました。あれはひょっとするとコロナではないかも知れない。
病理所見が公開されていない以上断定できませんが、違う可能性はあります。相撲では皆ぶつかり稽古して極めて接触の機会が多いわけです。うつってないはずがありません。だからPCR検査やったら陽性反応は出る。基礎疾患をお持ちであったという報道があったかと思いますが、コロナやインフルエンザなどに感染しているときに、不整脈や心筋梗塞などで心臓が止まって、突然死されてしまうことはあります。心不全の写真を撮ると肺炎と区別がつかないこともあります。なので、本当にコロナの肺炎か、たまたまPCR陽性だったという減少かもしれません。もしコロナ肺炎であったとしても、1億2600万人強の人口の中で、20歳代の方は一人ということだと思います。
女優の岡江久美子さんの場合はわかりませんね。乳癌でおられ、抗がん剤や放射線の治療をなさっておられたとニュースで拝見しました。そういう場合、60歳代で免疫が落ち て、肺炎を起こす場合があり、不幸にも亡くなる場合はあります。60代はお若いですけど。志村けんさんもそうですね。70歳で、タバコを長年ものすごく吸っておられたとかで、それで肺気腫でおられた。
なぜ感染者が突然倒れたのか
小川:突然意識不明になって短時間で手遅れになるのは普通の肺炎より怖ろしいですからね。それで新型コロナへの恐怖が一気に高まったのも事実です。この症状の激しさについてはどうお考えですか?
上久保:それは先ほどお話したADEを起こした場合でしょう。もしかしたら、日本においてもK型に感染していない場合がり、インフルエンザに昨年末に感染した上、重い基礎疾患を持っていたり、ウイルスに濃厚に曝露したりするなど、個別例では劇症化もあったと思います。しかし、新型コロナウイルスが世界的なパニックになっている今、落ち着いて、事柄をマクロで考えて頂きたいのです。
日本には、65歳以上の方が3588万人おられます。今回新型コロナでは約1000人亡くなっています。一万人当たりで計算すると0.3人以下の死亡者です。厚労省の人口動態統計では、2019年の日本の死亡者数は、137万6000人です。死亡原因別では、癌が37万4000人で一日当たり1000人、月に3万人。心疾患が約20万人で一日当たり約550人が亡くなっています。不慮の事故が約4万、自殺が2万人、インフルエンザが3000人、肺結核が2000人ですね。
こうした中に新型コロナウイルスを置いて見れば、大変マイナーな死因という他ありません。病院で例年と異なった特殊な対応をとる必要はないのではないでしょうか。(図表12略)インフルエンザにも決定的な治療法があると言い難いです。抗インフルエンザ薬はありますが、病気を一日から数日短くするだけです。癌の治療法が確立していると言えるでしょうか。種類によっては、未だにステージⅣでは手術も出来ず、副作用の激しい抗癌剤で余命を数か月伸ばすのが精一杯のことも多いのが現実です。
寝たきりになっている方に面会制限して会いにいけない。コロナをうつしてはあかんか ら、会いに行かないですと言うけれど、会ったらいいじゃにですかと言う話です。透析の患者さんも、ここ数ヶ月でコロナとされている死亡者数は、約100人です。透析に来る方は、電車やバスに乗って、必ず週三回透析クリニックや病院にお通いになる。だから市中感染している。免疫をお持ちなんです。【日本は公共交通機関を利用している人が多いが、これが市中感染を起こして免疫になったのだろうか?】
小川:その免疫についてもう少し伺いたいのですが、なぜ感染が収束するのか、私のような素人から見ると、二つの可能性を感じます。一つは人間側が十分に免疫を持った結果、感染が収まるという説明。もう一つは、ウイルスが変異によって弱毒化して感染が収まるという説明です。
上久保:ウイルス自体は変わっていないですね。では何が変化するかというとROなのです。ROが変わると集団免疫達成に必要な率が変わります。これには簡単な計算式があるんです。集団免疫値(H)は H=(1ー1/RO)X100%とされている。例えばROが10になったら、集団免疫に必要な率というのは、1引く10分の1で90%に感染することが必要ということになりますね。欧米のG型のROは6.99でした。1引く7分の1は84%です。武漢のG型は5.44で、この場合は集団免疫の達成に80%の方の感染が必要です。
小川:つまり、ウイルスの側の毒性が変わるのではなくて、、、
上久保:伝播力が変わる。変異があるとROが上がって行き、最後は集団免疫に必要な感染者数に差が出て来ないから収束する。
小川:毒性の差が出るのではないのですね。例えばエボラウイルスが体内に入ると、強烈なサイトカインストームを起こすのですね。凄い出血をして、瞬間に死にます。これはウイルスそのものの毒性が強い。
免疫があれば発症しても重症化しない
上久保:毒性が強い。でも免疫を持っている人は、そのウイルスに当たっても、何も起こらない。エボラでもそうです。その免疫を持っていたら、ほぼ何も起こらない。どんな強いものが来ても、免疫を持っていたら大丈夫です。
小川:今回なかなかパニックが収まらない理由の一つは、日本だけを見たら死者が1000でしかも平均で70歳ぐらい。マイナーな疾病として収まったけれど、アメリカであれ、イタリアやスペインであれ、極端な死亡者が出たという事実が一方にある。そうすると、普通のコロナに比べて、毒性が大変強いのではないか。免疫不全を起こすのではないか。或いは抗体がすぐに消えるのではないかなど。強毒性、危険性を指摘する議論がありました。アメリカの場合インフルエンザの倍以上亡くなりました。
上久保:でも、反対に言いますと、実はそれだけで収束しているんですよ、マクロで見れば、アメリカの人口は3億2500万人ですからコロナの死亡者数2000人に1人です。大騒ぎになっていますが、これは数値として決してパニックを生じるような桁違いの死者数ではありません。
小川:日本では毎月10万人以上が亡くなるので、日本人全体としては、このコロナ禍は半年以上続いているのですから、その間、だいたい70万人が亡くなっているはずです。そのうちで、コロナが1000人です。
上久保:非常に稀な死因と言えますね。日本ではインフルエンザに年間1000万人罹っています。多い時には、2000万人ぐらい感染しているのが分かっています。ワクチンを打っておまけにタミフルを飲んで、それでも例年3000人ぐらい亡くなる。超過死亡(インフルエンザの影響で増加した死亡数)を入れると平均年に約1万人です。
小川:世界にインフルエンザでの死者は、数え方によりますが、29万から64万人、今回コロナで現時点で80万人が亡くなっている。しかしこれはかなり水増しの数値でしょう。何度も指摘しましたが、日本でも6月18日に、厚労省の指示でPCRで陽性になった人は、他の死因であっても全部コロナで死亡と数えるように各都道府県に通知していま す。私が聞いた某大学病院では8月上旬の新型コロナ重症者の内訳は、体重150キロの方、90歳の方、末期癌の方。いずれも新型コロナと言うより別の疾病に分類されるべきでしょう。
これはWHOの通達と関係あるので、世界中で片っ端から新型コロナを死因に勘定しているはずです。そうすると、実態において、世界でも実はインフルエンザと同規模で収束したことになるかも知れない。
上久保:そうです。病理所見の実態が世界中で明らかになると例年とさして変わらないと言うことになるかも分からない。
小川:インフルエンザにおいて、集団免疫というのは、どう機能しているのでしょうかね。
上久保:インフルエンザは症状が強いので、集団免疫という考え方じゃないんですね。実は。ですから、ちょっと誤解してしまうんです。集団免疫と言うと、全員罹っているみたいに聞こえますね。例年だいたい、1000万人デテクトしている。それはインフルエンザ・キットで陽性と分かります。
小川:なるほど。それに対してコロナウイルスに対しては、日本人は集団免疫を絶えず再生し続けている。しかし大きな変異があると例年より被害が拡大する。今回の新型コロナウイルスでも日本人は順調に集団免疫を獲得できたから、殆ど重症化しないのだということになりますね。
しかし、罹っていない人でも感染しなくなるメカニズムはどうなって
いるのですか。
集団免疫のメカニズム
上久保:ウイルスのRO値が1人から何人に感染するかを示しますね。例えば、それが2.5人ぐらいにしか感染する力がない場合、周りに50何%の人が既に免疫を獲得していると、もうこれ以上、ウイルスは感染してない人に当たれないんですよ。でもROが5というくらい感染力が強くなると80%ぐらいの人が感染するまで免疫のない人に感染し続ける。
小川:免疫を持っていない人に出会うか出会わないかという確率論の話なんですね。感染が弱いと、ウイルスが非感染者に出会えなくなっちゃう。だからその一定の人数で感染が止まるわけですね。
上久保:そういうことです。R0が1以下になると、もう1人にうつせなくなっちゃう。うつせないから、収束してしまうのです。
小川:要するに集団免疫というのは、マクロの議論ですね。52%で止まりますと言っ たって、例えばミクロの話で、私が新型コロナウイルスをたくさん持って、ゴホゴホしている。で、先生は、まだ感染していない。そうしたら、それはやっぱり個人としてはうつるわけですね。確率論としては、もう52%で全体としてはそこで止まるという話ですね。
上久保:だから集団免疫という言葉が誤解を生むなら、何%感染して既に免疫を持っているということで、いいんですけどね。
小川:一定の人数まで移っちゃうと、それから後はウイルスを持っている保有者と、そうじゃない人が出会わなくなってくる訳ですね。出会えないから、その間にウイルスが消えてしまう訳ですね。
上久保:個々人の中でも2週間経って、抗体が出来たら消える。でも、物凄く弱い、90歳ぐらいの人で、寝たきりになっている方のところに、ウイルスを持っていったら、亡くなることはある。
小川:だから、集団免疫があるから、誰にもウイルスが移らないと言う話ではない。マクロと個別例を混同すると、誤解を呼びます。
上久保:ただ、移っても大丈夫な状態が集団免疫なんですよ。免疫を持つ人々の割合が一定の値に達すると、病気が徐々に集団から排除されるようになる。これを集団免疫と言います。例えば、今、重症者や死者が非常に少なくなっていますでしょう。これは既に多くの方が既感染パターンだからです。そしてその方々が免疫の壁となってウイルスの前に立ちはだかっているので、感染させようと思っても、まだ免疫を持っていない人に出会うことが出来ないのです。こうした状態を、個人の免疫ではなくて集団免疫と言います。
小川:なるほど、免疫の壁か。。。ウイルスが拡散しようがない状況が生まれるわけなのですね。同時に、そうした状況を重ねて行く内に、皆、何度も感染を重ねて免疫記憶を持つようになる。
上久保:二度目、三度目、四度目、五度目。ブースター効果と言われています。自然に感染したときや予防接種を受けたときに、再感染、あるいは予防接種を再び受けますと、エンジンがかかって、血中の抗体が前より、より強く、早く、更に高く上がる性質があります。これをブースター(Booster)効果と言います。これは生体の免疫担当細胞が出会った病原体をメモリーとして記憶しているためです。車でいえば、バッテリーが上がらないように時々エンジンをかけるのと似ています。抗体もそうですが、再感染がなければ徐々にレベル以下に低下してしまいます。生ワクチンでは抗体は長期間持続しますが、地域に感染症がなくなれば、抗体はレベル以下に低下し、もう一回接種が必要になります。
小川:既感染と言うことで申しますと、新型コロナの抗体ができる、免疫ができると言うけど、これは旧型の抗体は全然、効かないんですか?
上久保:ウイルスのスパイクではなくN抗原という部分には旧型と新型で一致する抗体ができます。
小川:スパイクに変異が入るのが新型コロナだからN抗原の部分は共通なわけだ。
上久保:N抗原に対する抗体は結構残るのです。S型とK型より前の、スパイクの変異が起きる前の検体でも、残っている。免疫記憶が残っている。
これを交差反応と言います。簡単に言いますと、風邪のコロナウイルスに感染した経験をT細胞が記憶しており、新型コロナウイルスに対しても反応することが報告されています。(米国のCellに掲載の論文)。ある病原体に対して起きる免疫反応が、別の似た病原体でも起こり得る。これを「交差反応」と言います。
小川:「交差反応は」は今回も働いていますか?
上久保:働きますね。
小川:それは興味深いですね。変異に対して旧コロナでの免疫記憶は有効で、更に新型に感染することで新しく対応できる抗体も形成されるという理解でよしいですか。
日本に死者、重症者が少なくなった理由
小川:今回のS型とK型では抗体のでき方に差があるのではないかと言うのが、先生のお説でしたね?
上久保:そうなのです。S型とK型は実は中和抗体ができにくい構造になっています。Sの変異が場所的にそうなのです。
小川:中和抗体というのはどういう意味ですか?
上久保:後退と病原体が体内に侵入して来た時に、その病原体と戦うために体がつくる「武器」です。ところが、抗体は種類により、病原体をやっつけることが出来る場合と出来ない場合があります。」病原体を完全にやっつけることの出来る抗体を「中和抗体」と呼びます。その「中和抗体」が出来るか、病原体をやっつけることの出来ない抗体が出来るかは、病原体によります。「中和抗体」が出来る病原体で有名なのは、麻疹、風疹、ポリオなどです。これらはワクチンを(複数回)打つか、一度罹患すれば、それ以降は罹患することはありません。B型肝炎ウイルスの抗体も一度出来ればほぼ、一生B型肝炎ウイルスに罹ることはありません。
一方「中和抗体」が出来ない病原体もあります。病原体が体内にいることは分かるのですが、病原体をやっつけることが出来ない「役立たない抗体」しか出来ない。この「役に立たない抗体」を「特異抗体」と呼んだりしますが、特異抗体しか出来ない病原体の代表が、HIVやC型肝炎ウイルスです。こうしたものは、ワクチンが出来ませんし、ADEが起こり易い。S型やK型も中和抗体が出来ないのです。そして特異抗体が出来てしまう。特異抗体はコロナだと認識は出来る。でもやっつける力は弱い。ところが、K型は中和抗体は出来ないながら、幸いにもT細胞がサイトカインを非常に強力に出すので、ウイルスを抑制できるのです。それに対してS型はT細胞の反応が弱いんです。だからそこにG型が来た時にADEを起こすのです。
小川:ADEについては既にお話いただきましたね。30
上久保:抗体依存性感染増強というメカニズムのことでしたね。ウイルスに対して、中和抗体ではなくて、特異抗体だけが出来てしまい、逆に、劇症化を呼びます。そのメカニズムを新型コロナに即して申し上げれば次のようになります。S型の特異抗体は、中和抗体ではないので、捕まえたウイルスをやっつけることは出来ません。しかし、捕まえることは出来る。だから、血管内皮や様々な組織の細胞などに出ている受容体、これをFcγ(エフシーガンマ)レセプターと言いますが、それに結合します。こうして、武漢Gや欧米Gなど強毒性のウイルスはFcγレセプターを出した細胞内に入ることが出来るようになります。しかし、特異抗体はウイルスをやっつけることは出来ないから、細胞の中でウイルスが増強してしまう。それがある段階で爆発的に吐き出されると、いきなり劇症化して倒れるような現象を起こす。
小川:そうすると、例えば、S型に罹っていてK型に罹っていない。そこのK型が来るとADEで劇症化してしまう人が沢山出てしまうという理屈になりますね。
上久保:欧米ではそうしたメカニズムで、欧米G型によってADEが大量に発生したのではないかと推定します。
小川:欧米でもS型は入っていたとみるのですか?
上久保:そうです。S型は2019年12月ですから、入っているんでね。小川:11月から1月初旬までの3ヶ月ですね。
上久保:その頃は全然制限も何もないですから、アメリカは1月下旬、武漢の閉鎖になった途端に入国を禁じました。この1月下旬は丁度K型の入り始めです。それを日本は入れたが欧米は入れなかった。その上、アメリカではインフルエンザの流行が強かった。だからなお更、K型が入りにくかったのです。
小川:ヨーロッパでも、先生のリスクスコアの危険度の高い地域は、インフルエンザが流行ったところなんですね。
上久保:そうなんです。それでK型が入れなかったところで、遙かに大きなROを持つ欧米のG型が微量ながら流入して、それが爆発することになったと推定されます。
小川:S型の場合、中和抗体が出来にくいというのは、疫学的な話ですか?上久保:違います。これはスパイクの構造解析で分かるんです。
小川:なるほど。それは実証なんですか。
上久保:ええ、構造解析データを、5月2日のCambridge Open Engageに投稿しています。中和抗体が出来にくく、特異抗体しか出来ないということは、データで出していま す。
小川:K型のほうは?
上久保:これも解析しますと、構造上は中和抗体は出来ないんです。ところが、インフルエンザの流行カーブから見ると、瞬時にインフルエンザを収束させるほどの抑制力があります。ここから、KはT細胞のサイトカインを強力に誘導すると推定されます。だからここが構造解析と疫学の組み合わせとなっているんですよ。
上久保:ただし、GISAIDは変異型がどのように普及しているかの比率は分からないんで す。単に各国から出された検体をそのまま一覧にしているだけですから。今回、日本は GISAIDへの検体の提出が殆んどありません。感染者もいれば変異もあるのに、国立感染研かどこか知らないけど、きちんとデータを出さないからよく分からないのです。ところが、もしそろそろ出そうかなと感染研が判断して、ホストクラブでの5例、今日あたり GISAIDに送ったとします。そしたら、日本で5例出たという話になるでしょ。だから GISAIDで定量制は確保出来ないです。
小川:なるほど。恣意的に出しちゃったら、そこで意味がまるで変わってしまう。
上久保:いろいろな専門家の知識が断片的なのが、話を面倒にしているように感じますね。免疫の人はウイルスの知識がないし、逆もまた然り。だから私らみたいに、全体的に大体わかっていないと、説明しても分かって頂くまでに時間がかかる。例えば僕は、抗体検査キットなんて、カットオフ値は大体、全員陽性に出るくらいにしとけばいいんですと、申し上げて、小川先生をビックリさせましたけど。それはどういう意味かと申しますと、抗体の絶対量を計測するのは無意味でして、代わりに抗体に反応する光シグナルで計測しますので、仮に抗体を充分獲得していても、そのシグナルが低く出ると陰性になってしまう。そういう検査を用いていたら、実際は抗体を持っている若者でも、偽陽性が出て働けなくなってしまいますね。それでは困りますでしょう。検査とは絶対的なものではないんです。簡単に違う結果も出てしまうし、逆の結果にもなる。皆さん、検査を絶対視し過ぎている。
小川:日本人が既に中和抗体やT細胞免疫を獲得していることは、検体の上から出なくとも、疫学から明らかだということですね。そうすると、逆に武漢で大騒ぎにならなかったならば、世界中で無症候のまま多くの人が罹患するだけで、こんな被害を出さずに、忘れ去られて行ったのではないか。
上久保:それが武漢で気がついちゃった。
小川:約4000人亡くなったから。。。
上久保:あれは二つの理由が考えられます。まずは、武漢で武漢G型の変異が発生したとすると、武漢においては、K型が不十分な時に武漢Gの変異が起こった可能性があります。欧米と同じ原理です。しかし、武漢以外の中国全域は、SもKも充分感染した。また、武漢では恐怖をきたして人々が病院に殺到したため、医療崩壊が起こったから、院内感染の連鎖によって約4000人まで亡くなってしまったのかも知れません。これは中国に限りませんが、世界中でもっと実態を公にしてもらわないと病理学的な議論は出来ません。
上久保:正直に言うと、武漢が騒がずに通常医療で対処していたら、世界中でこんな現象は起こらなかったと思いますよ。中国の慌てぶりを見て、世界中も慌ててみんなロックダウンした。だからこんなことが起こってしまった。しなかったら、S型、K型もきっちり入ったんです。そうすればG型の被害も少なかった。結果的には自然の摂理に反することをした国ほど、大きなダメージを受けた。
第5章 これからの人類と新型コロナ
新型コロナはもうすぐ消える
小川:この新型が出るのは、先生は十年に一度ぐらいと推定されていますね。
上久保:10年前、2010年にインフルエンザの流行カーブは抑制されていますので、もしかしたら、十年に一度ぐらい、スパイクに変異が入るのかも知れません。新型インフルエンザも十年サイクルですし、そこには人とウイルス、ウイルスとウイルスの共生関係の何らかの法則があるように感じられます。
小川:では次に2030年に何か変異が起きるということになるのですか。
上久保:今回ロックダウンなど不自然なことをしたので、ずれ込むかもしれませんが、大体十年後ということになるかも知れません。
小川:では十年単位ぐらいに、新型が出てくると、旧型は消えちゃうんですか?
上久保:消えます。例えば、S型の後にK型が入って来たら、S型はなくなる。GISAIDを見ていただいたら、初期型はどこにももうないんです。
小川:では、去年までいたコロナは消えて、今のコロナがこれからは世界のずっと標準のコロナウイルスになるのですか?
上久保:いえ、そうではない。もうすぐこれは消えます。スパイク変異のコロナウイルスは、11月くらいに終わるので、その消失を待って、スパイク変異のないコロナウイルスが出て来ます。例年同様、インフルエンザの流行とコロナの流行は、同じタイミングで始まります。12月はコロナとインフルエンザが混合しています。完全に両方消えるのが来年の3月くらい。これは恐らく高橋先生と一致した考えです。ただし、もしかしたら、変異コロナが終わった途端に、新型インフルエンザが出ないとは限らないと思います。
小川:今年の11月に終わるのですか?
上久保:ええ、大体11月から12月ですね。今年で終わると言うのは私の意見でして、高橋淳先生とは若干異なるかも知れません。私たちの間でもそれぞれ考えが異なります。
上久保:変異が終わると、またコウモリから普通の、スパイクに変異が入っていない旧型が、人間に感染して、例年の状況に戻ると思いますよ。それがずっと九年間続く。そして十年目にスパイクに変異が入ります。
小川:そこまで明確にパターンが読めていた研究論文は今まであるのですか?
上久保:これは、現時点では私の推量、仮説の域を出ていません。研究論文はあるかどうか調べていませんが。
小川:そこまで明確におっしゃる理論的根拠を簡単にお教えいただけますか?
上久保:S型、K型、武漢のG型、欧米のG型、H型と変異してきていることは、既に何度もお話しましたね。変異の数は、12~14.これでスパイクの変異を持ったウイルスに感染し、曝露して、それが我々の免疫で抑え込まれたら、ウイルスを保存しない限りは消えると思います。K型と武漢G型のRO値は、約2と5です。仮に1000人の人を前にして、感染競争を行った場合、1人が2人に感染させていくのと、5人に感染させていくのでは、どんどん5人の方が感染者を獲得していきますね。2X2X2と5X5X5では圧倒的な差が出ますので、K型はG型を前に消えてしまうのです。こうして、ROが小さいウイルスは消滅していきます。そして最後の変異株が、生体の中で免疫が獲得された段階でなくなります。ですから保存しない限りは、地球上から消えることになります。そうしますと、新たに旧型コロナがコウモリなど様々な動物宿主から再び人間に移る、といった感覚です。
小川:では十年後には、今回のように人類全体がパニックを起こさず、やり過ごしたら、ここまでのことは起こらない。
国を閉めたから劇症化した
上久保:コロナに関しては何もしたらダメなんです。肺炎が起こったときは、肺炎に対処していたらいい。コロナの場合は慌てない方がいいのです。慌てないで、コロナであることをまずは見極める。このごろがインターネットにより情報がオープン化したので、世界が同時にパニックになるという弊害が今回顕著に出たと思います。とにかく、ウイルスを見極めることが重要です。コロナか、インフルエンザか、エボラか、非常に凶暴なものなのかを見極める。今となっては、コロナ=風邪への対処として大きな教訓とすべきだと思いますが、根本は、武漢の数々の衝撃映像を見た途端に、世界各国が国を閉めたことが間違いだったのです。国を閉めたら、ロックダウンせざるを得なくなる。
小川:それは何で?
上久保:要するに、免疫が作れなくなるから、むしろ劇症化しやすくなる可能性を考えなくてはならなくなる。ハイリスクになれば、もうロックダウンして、人に移動を制限して、感染が広がるスピードを落とす以外対処しようがなくなるからです。しかし、永遠に無菌室に世界中の人が入っていることは不可能です。
小川:世界の常識とは全く違うんだな、世界の常識は上久保先生の非常識というわけか。
上久保:私も決して大それたことは言えません。非常識とは言えません。みんな必死だったのだから偉そうなことは言えないんですよ。私だってその場になればどう判断したか分からないと思います。しかし我々は、インフルエンザの流行カーブをキャッチして予測理論を立てた。それが相関性の非常に高い結果を出している。今はもう遺伝子解析も出来ていますから、インフルエンザと関連させる必要はないですが。そして次に新型コロナが来るのは2030年かも知れないし、また、その前年の2029年に新型インフルエンザが来るかも知れません。これは更に我々研究者が皆で研究するしかありません。
小川:そうすると、新型コロナで世界が閉鎖したことが大きな間違いであった。しかし、逆にエボラとか、SARSみたいなものであれば、国内に入れないように直ちに空港閉鎖するのは正しいのではないですか。
上久保:その場合、こちらが閉めるのではなく、発生した場所を閉鎖するしかないですね。でもこちらが閉鎖しちゃうとダメですよ。
小川:それは何故なんですか?
上久保:コロナなどの無症候性の多い感染症は、我々の知らない間にほぼ確実に入っているものだからです。エボラの場合は発生した地域を閉鎖します。で、我々は当然そこには行かない。
小川:エボラの常識はコロナの非常識と言いますが、激烈な症状を伴うウイルスは閉じ込める。しかし、無症状のウイルスは平常運転を続けないとむしろ危険だという訳ですね。ただし、十年に一度は、通常の時よりは怖いウイルスになる。
上久保:2030年は特に、インフルエンザの流行カーブを見ておかないとダメですね。ロックダウンしたせいで、10年サイクルとは限らないですから、何をするにしても慎重でないとダメですね。ここでS型が入ったな、K型が入ったなと確認する。でも確認したら何もしない。コロナのような感染症の場合であれば、世界中、絶対何もしない。閉鎖したらダメですよ。インフルエンザの流行カーブの解析は是非、世界中でやるべきです。バイオテロにも対応できるかも知れない。Cambridge Open Engageに書いていますが、スパコンより早く予知できる可能性もあるんですよ。
免疫がなかったイタリアの医者の悲劇
上久保:イタリアは国を閉鎖したので、免疫が正しく形成されなかったからです。そういう国の医者は、お医者さん自身がK型に感染できていなかった可能性があります。そこにコロナの感染者がいっぱい押し寄せてきた。だから極めて大量に曝露して、悲しいことですが、即死に近い形になってしまった。私は、「免疫がない状態での大量曝露」という現象だと推測します。
小川:世界中で、武漢に始まって、どこでも院内感染爆発が大変多かったと思うんです が、それはウイルス自体の毒性が、例えば日本より遥かに強いというより、ウイルスが集中して押し寄せて、量によって変わるんですか。
上久保:ええ、ウイルスの毒性はどちらにしても非常に強いんですよ。免疫がなければひとたまりもありません。変異で毒性が強くなるとか、逆に弱毒化するということはありません。免疫が出来れば移らない。軽症で済む。免疫がなければ重症化するし死ぬんです。免疫がないと肺でウイルスが増殖した可能性があり、そのため陽性になった途端、即死に近い状態になったかも知れない。ウイルス量は当然、重症化や死亡と関係あります。
ただし、免疫が全くなかったり、とても高齢であったり、極めて重篤な基礎疾患がある場合は、ウイルス量が少なくても、倍加時間が長くなるだけで、死んでしまうこともある。更に言いますと、欧米ではADE(抗体依存性感染増強)が起こってしまったことは既にお話しましたね。ADEは極端な症状が出ますから、益々恐怖を掻き立てることになったわけです。
小川:非常に大きなウイルス対人間という関係で、不自然なことをした。中飛びで、K型を飛ばしちゃったのは、不自然なことをしたからだと。
上久保:そうです。たったの1ヶ月の差なんですよ。たったの1ヶ月ちょっとです。へたなことをしたら世界中でとんでもない現象が起きてしまった。
渡航制限で感染爆発が起きた
小川:しかし今も日本では奇妙な自粛モードが抜けきれない。
上久保:閉鎖を続けていると再び感染爆発が起こります閉鎖にしろ行って来た人の責任になります。私どもは4月の終わり、遅くともゴールデンウィーク明けには、科学的には渡航制限を解除できると思うと言って来ましたよね。小川先生から政府にもお伝えして頂いたと思います。
小川:しかし、マスコミや一部学者、小池百合子東京都知事ら一部首長の、移動するな、飲食店に行くな、検査しろというキャンペーンは怖ろしいほど強力で長続きしています。
上久保:日本政府はその圧力に負けずにGo Toも推進し、指定感染症も8月下旬の安倍総理の辞任表明会見で見直しを言明、10月、11月から感染爆発が生じる可能性はだいぶ低くなったと思います。あとは開国です。8月には開かないとダメですね。これ以上閉じていたらえらいことになります。
小川:海外とは渡航制限なしにする。
上久保:なし。日本を開くんです。入って来てもまだ大丈夫だと思います。科学者がそんな断言をすべきではないと、おためごかしに言われますよね。
小川:命が関わっているのに、断言するなど怪しからんと言われますね。
上久保:誰も断言なんてしたくないですよ、でも命がかかっているんです。しかし、国を開かずに、免疫形成に不自然な穴を開けたら、大なり小なり欧米を直撃したのと同じ現象が日本でも起きますよ。あなた、責任を持てますかという話です。永久に閉めていることは出来るのですか。そうすれば益々免疫がなくなっていく。ドンドン大変になっていく。免疫は閉めれば閉めるほど廃れていく。企業は倒産し、自殺者は増える。誰かが開いても大丈夫と言わないと、どうなるんでしょうか。私は科学者です。本来なら、こんな社会問題において断言などしたいはずがない。しかし、小川先生と私は、GW明けには渡航制限解除が可能だと、勇を鼓して意見書を提出していました。
小川:世界がみんな怖がっているから、世界の側がなかなか来ないかもしれませんね。国内の移動はもちろん大丈夫ですね。
上久保:大丈夫です。ただし、先生には4月から一貫して申し上げているように、離島や過疎地、非常に厳格に隔離された老人施設だけは、免疫形成が不十分なので、慎重に見極める必要があります。
PCR検査を煽った狂気の洗脳
小川:7月11日の段階で、新型コロナ問題は、小池都知事の政策判断、いや政治ショーであって、感染症問題ではないと菅さんははっきり言った。そして菅長官【当時】はGo to運動を主導した。ところが、マスコミの凄まじいGoTo非難が始まる。PCRで感染者増を煽って日本を萎縮させる狂気の洗脳が7月から途方もない勢いで開始されました。その結果、政府はGo To運動を進めているのに、大企業などが大幅に出張を控えて、新幹線ががら空きという異常な状況が続きます。政府の方針を信じないで、マスコミの煽りを大企業の経営者らが信じる。この県を跨ぐ移動の制限と並んで、もう一つ根強くターゲットにされ続けたのは、夜の街です。陽性率も非常に高いと、ホストクラブなどひどく批判されて来ましたが、どうお考えですか。
上久保:ホストの方は、20,30歳ぐらいの方で、もともと免疫を持っていないということは、あり得ない。既感染パターンで、免疫を持っている人に、ウイルスが暴露している訳だから重症化はしません。それを集団検査で、カウントしに行っている。それは検査はやっただけ増えますよ、ということです。検査はやらずに、普通に店を開いて、商売をされれば良いだけです。躊躇はいりません。
小川:銀座なんかだと客層は50代から70代が中心だけど、このあたりはどうですか?
上久保:大丈夫です。遊び歩いている人というのは免疫を持っていますから大丈夫です。ですから、極めてシビアな免疫不全とか、もう基礎疾患が重くて例年でも風邪をひいたらすぐに肺炎になってしまいそうな、病院に寝たきりになっておられるような方だけ、慎重に対処すればいい。
小川:老人ホームなどはどう対処したらいいでしょうかね。
上久保:この数ヶ月、楽しく慰問で何か来ていただいて、職員さんとお話をすることが あってというような人は大丈夫です。何らか外から人が入りますから、うつっているんです。抗体が出来ていると考えられる。
小川:このあたり何度も確認になりますが、要するにこれはエボラじゃなくて、コロナだよと。コロナというものは、常在ウイルスで、非常にR0が高い。新型は変異で当然R0が非常に高くなっていると思いますが、旧型でどのくらいですか?
上久保:コロナ型ウイルスについては、今までどんな研究者も正確に測っていないと思うので、断言できませんが、集団免疫に必要な感染者は60~80%くらいでしょうか
小川:コロナはほとんどの人は無症候で気付かずにうつしあって、多分そのくらいの感染者を例年出していた、ということになるわけですね。それより遥かにR0値が高いために大きな脅威となった新型コロナウイルスの感染者が、それより少ないはずがないというのは、算数以前の常識の問題のような気がします。
上久保:今回のようにスパイクに変異が入った時にはうつす確率は高くなります。だからこそ気が付かない内に、それをうつさせておくのが必要なのです。コロナの場合は順番に罹らないとダメです。
小川:それは今回の実態を証明していると考えられますね。日本或いは中国周辺国、いや北京や上海も、感染爆発は起こっていなかったんですね。ロシア、中国本土、ASEAN、日本、朝鮮、オーストラリア、ニュージーランドぐらいまで、殆ど感染爆発は起こっていない。
上久保:いえ、感染爆発は起こっている。感染は全員している。ただひどい症状は起こっていない。ADEは起こっていない。
小川:早く閉めた台湾などはどうお考えですか。
上久保:早く閉めたんですけど、むしろ閉めるぞという噂が流れた途端に、先にバーンと帰って来ているはずですよ。経済的、血縁的に中国と関係が濃く、近い国ですから。
小川:台湾の場合、数万人が帰って来たとなったら、それだけで完全に感染拡大するだろうな。しかし、PCRなどで陽性者も殆んど出なかったのではなかったですか?
上久保:詳しく調べていませんが、既に感染済みでウイルスが抑え込まれているので、PCR検査の結果は逆に陰性に出るでしょう。
抗体検査とは何か
小川:抗体検査も本来必要ないかも知れませんが、これだけ騒ぎが世界化して長引くと、抗体を持っているという実証は必要になりますね。
上久保:安心材料としては必要かも知れません。既にお話した村上康文理科大教授の検査キットであれば、検査学の実際的なことを知っている研究者なら、生データを元に正確にカットオフ値を決めることは出来るでしょう。
小川:抗体検査については、今後も世界的に議論の的になり続けると思います。ここで改めて多角的に検討しておきましょう。村上教授の検査では5月から8月に首都圏で、複数の抗原を用いて精度を高めたところ、約1.9%で陽性の結果が出たと発表されました。これは厚労省の東京の抗体保有率0.1%に比べ、遙かに高い水準になります(図11略)。
しかし上久保―高橋理論では、集団免疫が日本では達成して久しいとされている。そうすると普通、抗体の保有はもう少し多く、何十%という結果が出ないとおかしいのではないか。どう考えたらよいのか。
その辺りを改めて整理してみましょう。まず、抗体キットそのものについて伺います。抗体キットの指標としての価値はどのあたりにあるのでしょうか。
上久保:抗体キットは、今のところ、免疫を持っているかどうかを測る主流の検査方法ですね。既にお話したように、抗体は免疫機能の中では最終兵器ですから、たとえ抗体が出ていなくても、自然免疫で退治してしまえる場合もたくさんあります。だから抗体検査で充分な抗体値が出ないからと言って免疫がないかというと、一概にそうは言えません。
上久保:抗体は免疫システムの一部に過ぎないのですが、免疫全体を計算するのは難しいのです。実験室の中で自然免疫をいろいろ調べるだけなら可能ですよ。ところが、これをキットとして実用化するのは難しい。
小川:そうすると、獲得免疫ではなく自然免疫が新型コロナでどの程度機能しているかを調べるのは、難しいことになりますか?
上久保:ええ、何よりも食細胞が新型コロナウイルスをどれだけ分解、消化するかを見るのは、一般的な実験では無理でしょう。
自然免疫には、「Tooll-Likeレセプター」という受容体がありますが、そこにどのように反応を出すかを見るのが難しいからです。その上、指定感染症のウイルスを扱ってよい組織は日本国内で数箇所もありません。だから法的な意味でも制約があるのです。
小川:では、抗体検査が一番結果が出やすいということは言えるわけですね。検査方法が他にない中で、免疫が既にあるかどうかを測る上で。やはり抗体検査が有力な手段な訳だ。そうした基本知識を確認した上で、村上教授のデータの読み方についての話に移っていきたいのですが。。。
上久保:村上教授のキットは、NタンパクとSタンパクをどちらも捕捉できる大変精度の高いキットです。
小川:それにも関わらず、陽性率が1.9%というのはどういうことでしょうか。
上久保:まず岸本寿夫先生の図表13(略)をご覧ください。初感染を良くご覧いただくとIgMが先に出ています。それからIgGが出ている。これが初感染のパターンです。入れ替わるようにIgGが後から出て来ます。そして感染の極期が終わりますと、IgGは下がって来る。一方再感染パターンは、IgGがずっといきなり出て来るんですね。村上教授はIgMとIgGが同時に上がっているという表現をなさったと思いますが、それは380例の殆どの再感染パターンです。つまり既に感染して抗体を持っている、ということを意味しているのです。
小川:村上教授は、今回カットオフ値を決める際には、発症して入院した人の値を基準にして、陽性判定したと仰ってました。
上久保:村上教授が陽性と判定されたのは、入院の症例、またそれに相当する症例ということです。これらの高い数値を示す検体は、すべてIgMが先に出て、次にIgGが上がっています。初感染パターンです。
小川:そうすると村上教授は入院時の非常に高い症例の数値に合わせて、カットオフ値を設定された訳ですね。これは現在陽性と言える水準の抗体値を示している。だから確かに陽性率という言い方がふさわしいということになりますし、それが一般の方々の間でも1.9%もいたというのは相当大きな割合ですね。それに対して、低い値のIgGが出ているのは、現在陽性ではない。ただし、既に抗体を持っている。既感染でも、もう治っている訳だから陽性率というより、抗体保有率と言った方が良いでしょうかね。そして抗体保有率はほぼ100%だということになります。
上久保:そう考えていただいていいです。感染が終わった後、IgGがずっと高い値のまま続くということはないんです。治療すれば抗体値は急激に下がる。ですから非常に低く見える。これは当たり前のことです。
小川:抗体がすぐに下がっちゃうから、また感染するのではないかと言う人がいますが。。。
上久保:そういう意味では全くありません。低くなっていますが、抗体が消えてしまったという訳ではないからです。
小川:そうすると、またウイルスが来た時は?
上久保:またすっとIgGが上がってウイルスを退治してくれる。ですから検体の中に中程度の値が一定割合ありますでしょ。これは感染の極期から時間が少し経ったが、まだIgGが比較的多く残っている場合もあれば、再度曝露してまたちょっと上がっている瞬間だとか、そういう値だろうと考えられます。その他の方々の、低い値は感染極期が終わって、抗体が静まっている所ですが、でもこれはIgGはある。だから検体例はほぼ全例抗体を持っているということになる訳です。
小川:なるほど。しかしこれは凄い話だな。誰もそんなこと、分からないで騒いでいるんじゃありませんかね。
上久保:教科書に書いてあるレベルの話なんですけどね。
カットオフ値が決め手だ
上久保:そもそも、カットオフ値をどう設定するかというのは、非常に大切なことなの に、検査、検査の掛け声ばかり大きくて、肝心のカットオフ値についての社会的な議論がないまま、世界中が大騒ぎしているのもおかしな話なんですよ。カットオフ値の話し抜きに、これからの世界の混乱は収拾は出来ないでしょうから、キチンとご説明しますね。
カットオフ値というのは、分割点、または病態識別値と言います。検査結果の陽性と陰性を判別する数値です。カットオフ値から上が陽性で、下が陰性という判定が出るのです。例えば、大腸癌スクリーニングの場合、便潜血検査のカットオフ値は、約100ng/mlです。これ以上数値が高いと、便潜血は陽性と捉える。そうでなければ陰性です。この境目がカットオフ値です。
小川:このあたり、かなりの多くの人が、検査というものは絶対に正しい、白と黒が100%分かるものだと思っておられるんですね。そうすると、やれ、感染者が何人出たと騒いでいますが、PCR検査もカットオフ値がどう設定されているか分からないまま使ってもいみがないのではありませんか。
上久保:カットオフの決め方というのがあるんです。(図表14 略)「免疫を獲得した人の抗体価分布の一例」とあります。低いところから高いところまで分布している。縦軸は対象者数、横軸は抗体価ですが、山のようになって、免疫を獲得した人の分布の形になります。その右側の図を見ますと、「ある病原体に感染していない人を対象に抗体検査を行なったとすれば、抗体価分布のパターンは図14のB(略)に示すパターンをとるだろう」とあります。これを合わせますと、陰性で抗体を持っていない人と陽性で抗体を持っている人で、交わるところがあるのです。
小川:感染していない人を対象とすると、ほとんどの人が抗体価が低い、無い。それでこういう形になるんですね。
上久保:抗体を持っている人と持っていない人で、この交わるところの間でカットオフ値をとります。LとHどちらに近づけるかで、感度と特異度に影響が出る。
小川:感度と特異度とは何ですか。
上久保:感度とは、本当に感染している人が陽性に出るパーセンテージ、特異度というのは、感染していない人が陰性に出るパーセンテージです。両方が適切になるように、このHとLの間で最適な値を、我々研究者が設定するということです。カットオフ値をHighの方にしますと、特異度が高くなりますが、感度は低下します。反対にカットオフ値を低くすると、感度は上がりますが、特異度は低下する。
小川:陽性、陰性がどちらもきちんと出る値を人間が決めるんですね。これはあまり簡単に大雑把に引けるものではないですねえ。
上久保:そうですね。抗体キットを作る会社が、最終的に最も良いカットオフ値を決めます。
小川:そうすると、疾患群と非疾患群が分かっていないとなかなか決められない?
上久保:そうです。低い値と高い値の分布を見て、それから陰性の症例について見る。その間のカットオフ値を一番適した値で採用する。そのキットで計ると、抗体が陽性とか陰性ということが設定された値に従って出るわけです。
小川:この9か月、日本のみならず、様々な国の企業が抗体キットを開発して、軒並み大変低い抗体値が出ている。しかし、先生のお話を伺っていると、どうも精度が低いという問題と、カットオフ値を定める際に、IgGが既感染パターンを示していることが考慮されていないものばかりという気がいたしますね。一方、PCR検査についても、大変な乱立状態ですね。様々な会社から出て、精度が違うものが、巷間に溢れています。
感染者が何人という報道が長い間、まるで確定した数値であるかのように出て来る。ところが検査精度はどうなのか、検査技師はきちんと訓練されているのか、カットオフ値に何らかの基準があるのか、そもそも検査キットを公認するシステムもないまま、なし崩しにばら撒かれている。検査精度を国が立ち入りで検査していない。今、先生からカットオフ値の話ひとつ聞いても、それを定めてゆく基本的な方法論すら、私たち専門家から教えてもらって来なかったことが良く分かります。
検査より大事なこととは
上久保:しかし、これだけ検査のことをお話していて、こんなことを申し上げたら何ですが、本当に正しい診断法はね、「あなた、若いですよね。ああ、100%大丈夫です」「あなた、外出して人と接触しておられますよね、大丈夫ですね」。これが抗体検査よりなにより、一番正しい検査ですよ。抗体検査はいずれにせよ偽陽性、偽陰性が出ますから。多くの人が罹患する感染症の場合をどう評価するかはなかなか難しいんです。
小川:今回も未だPCRをすべきだ・すべきじゃないという議論があります。PCRについても、今後も引きずると思いますので、必要・不必要を含めてお話いただけますか?
上久保:武漢の後、パニックが続いていた頃は、心理的に必要だったのでしょう。しかし、殆んど無症候、或いは熱が半日で収まりましたなんていう人には、PCR検査は絶対にすべきではないんです。
小川:しかし、皆さん、不安では?
上久保:従来、風邪でPCR検査をやったことがなかったでしょうインフルエンザでも余程でないとやりませんよ。
小川:そもそもPCR検査というのはどういうものなのですか?
上久保:特定の遺伝子断片だけを選択的に増やして、調べやすくするために用いるもので、遺伝子増幅する技術です。例えば、癌に特徴的な遺伝子の異常が存在するかどうかを調べる時に、採取して来たDNAがごく微量であっても、PCRによりDNA配列を増幅させることで判定が可能になります。しかし検査結果を正しく読解するのは難しい。医師が適切に判断して微妙な診断に使用する検査法でして、無症候の感染者を対象に大量の検査をするための道具では本来ないのです。
小川:非常に精度の高い検査法で、そもそも集団検査で気軽に使うものではないのですね。
上久保:そうです。白木公康先生(千里金蘭大学副学長、富山大学名誉教授)の論文がそこを明快に解説してくださっているので、引用させていただきますね。
「PCR法は分離による感染性ウイルスの検出より、約100~1000倍感度が良いので、主要症状消退後のウイルスの検出は、感染性と相関しない。そして、PCR法では、回復期には陽性陰性を繰り返し、徐々にウイルスは消えていく。再感染の時期については、粘膜感染のウイルスは、粘膜の免疫が一度産生されたIgA抗体の消失まで約6か月続く。そのため、3カ月までは再感染せず、6カ月ぐらいでは再感染するが発症せず、1年経つと以前と同様に感染し発症するとされる。最近、COVID-19回復後に陰性化したが、1カ月程度の間に、ウイルスがPCR法で検出された例が報道されている。これは、コロナウイルス感染では不思議な現象ではない。ウイルスの完全消失までの経過で多く見られ、再感染は合理的に考えにくい」。
今は唾液検査まで開発されましたね。もっと簡便ということで、普及させるつもりなんでしょう。しかし、いくらそんなことをしても、たまたまその時点で曝露していたら、陽性が出るに決まっているし、無症候の人間を大量に扱えば陽性的中率は非常に低くなりま す。
小川:なるほど、大切なのは症状が出たら、その症状に対処すればいいので、いちいちそれを陽性反応者だと認定する必要はない。どっちみち大半が無症候で、新型コロナの感染者は事実上、殆んど全員ということになる以上、調べるだけ無駄だということですね。
上久保:先程申し上げたように、村上康文教授による抗体検査で、もう、殆んどの方は免疫を持っていることは、明らかなんだから、例年通り対処してくださいということですね。ただし、医療崩壊させないための態勢は必要です。
その為に活用するのであればPCR検査がまるで無駄だとは言いません。しかし、無症候で集団検査なんてナンセンスで、やるべきではない。やったら、えらいことですよ。指定感染症である場合は、病院に入院させなきゃならないのだから、もうえらいことですよ。
小川:措置入院は医師の判断で選択できることになっていますが、今の空気では陽性の人を放置したのかと言われるのを恐れて、必要のない人を入院させる事態も多発するでしょうね。
上久保:指定感染症を解除すべきだということも申し上げて来ましたが、安倍政権は世論の圧力に屈せず、大きく方向転換を宣言した。次の政権がその方針でぶれなければPCR検査を幾らしても医療崩壊は大きく防げます。
指定感染症のことにもう少し詳しく申し上げると、新型コロナウイルスは二類相当以上の扱いだったのですが、指定感染症二類はエボラ出血熱やペストなど最も危険性が高い一類感染症の次で、いずれも患者に入院を勧告 し、従わなければ強制入院させることも出来る。一定期間仕事をさせない就業制限の規定もあります。
小川:先生は大分早くから、それを解除するか解除が難しければ5類相当、つまりインフルエンザ相当に格下げるべきと提言されていました。当初は安倍総理の決断で重い指定感染症扱いにした。あの頃は、本当に未知だったので。しかし、今の段階で見るともうここまで正体が明らかになったんだから必要ない。それにしても、まだコロナ洗脳が解けない日本社会では、新型コロナは何だか特殊なウイルスで、すごく怖い。インフルエンザとただの風邪と新型コロナの三種類があると思っている。
確かに当初2、3ヶ月はその可能性があった。しかし9ヶ月経った今、実際の世界の被害状況、日本の被害状況を見ても、また、病理所見を出さずに新型コロナ重症者、死者を過剰に加算している状況を見ても、パニックを起こさなければ、こんな事態にはならなかったのではないか、そう考えざるを得なくなってきている。
上久保:ええ、今の日本では、ただの軽い風邪と皆さんが思っておられる微熱や咳、痰などの症状が、実はこの新型コロナということです。
小川:この認識ギャップを解くのが専門家やWHOだと思うんですが、逆に煽り続けている。
危機を煽る専門家とは何者か
小川:先生は臨床も経験されてきました。だから現場での患者がどういうもので、例えばマイナーパタンではどんな異常なことが起こり得るかも知っているし、検査というものがどの程度意味があるのか、あるいは意味がないのかも熟知している。そこに今度は、高橋淳先生の慧眼に基づく疫学と遺伝子解析を組み合わせて、集団免疫達成のモデル理論を考案された。ラボでウイルスだけを扱っている専門家は、臨床が分からないから検査の勘所も分からないですね。また医者でなくて疫学モデルだけを扱ってきた人も実は病気の実態を体で感じていらっしゃらない。一人ひとりがたこつぼの自分の知識を持っているので、トータルな、ザクッとした理解が妨げられている。
上久保:全体が分からないとこういうマクロの大きな現象は見えてこないんです。遠近法が取れないですから。
小川:当初、ウイルスが変異して、非常に危険な症状が出ていた。これは武漢の情報でありました。私はその頃からウイルス学や獣医学の先生方としばしば会って話を伺っていました。普通のコロナではあり得ない突発的な肺炎が一日で進行してしまう例などについ て、様々な議論があり、それぞれ超一流の専門家ばかりだから、今考えても個々の議論は正確なのです。ところが、上久保先生にその話をしたときに、病院で現場にいると、全く訳の分からない形で、突然、人が亡くなることなどよくあるものですよと仰ったんですね。先生は、その劇症化が、メジャーかマイナーかが大事だと言われた。そしておそらくマイナーなのではないかと仰ったのですね。これは目から鱗でした。
上久保:新型コロナでは、マイナーなことをメジャーにしちゃうんですよね。それぞれの分野の専門の方が。たった一例の症例報告をすべての症例でそうであるかのように考えてはならないのです。
一例でも大切なのですが、それはあくまでも極めて稀、世界で数例かも知れないから、症例報告するのです。いずれにしろ、既に免疫を持っていれば悪化することはないのです。軽微で済みます。
小川:PCR検査というのは、発症や感染の重度を示すものではなく、要するに、そのときに検査した場所にウイルスがいるかいないかを示すだけで、これはそのままいつも医療的指標に使えるわけではないわけですね。
上久保:そうです。冗談に聞こえるでしょうが、冗談を言っているのは私たちの方ではなく、今検査、検査で騒いでいる方たちの方です。彼らのロジックでは、付着していれば「感染」と言うのだから、机も感染していることになる。
小川:感染しているかも知れない。症状はでないけど。そういう基本的な認識。常識を全部すっ飛ばして危機を煽っている専門家なる人たち、非常に高名な先生、この人たちはいったい何者なのでしょうかね。
上久保:おもいこみになっていますからね。
非常識と言えば、三密ということで、なんとか透明な板を置いたらいいという、あれもひどい話ですよ。どこに行っても置いてある。本当にやる場合は、刑務所の面会みたいに、隅々まで完全に遮断しないと意味がありませんね。
小川:ウイルスというものを、なんかこう、すごく人間的なサイズに置き換えちゃっていることですね。
上久保:切実なのは病院です。病院で、自分らは危ないんじゃないかと言われるお年寄りの患者さんが結構いるんですよ。しかし、その人たちは、毎日、散歩して人としゃべっ て、元気にやっています。そういう人は免疫を持っているんですよ。だからその人らは大丈夫なんですけど、社会が不安を煽るから心配ばかり募る。病院側も老人に対してナーバスになっている。
新型コロナのワクチン接種は危ない
小川:ワクチンについて伺いたいと思います。PCR検査が本当は必要ないにしても、検査をし続ければ、唾液の中にウイルスはいる。これからずっとそれが続きますね?
上久保:波の高低は出ますが、続くことは続きます。
小川:そうなりますね。しかし、喉に、唾液にウイルスがいるのと、感染しているのは違う。
上久保:医学用語で言うと、既感染での再曝露ということです。既感染者に再曝露した状況だというのが、医学的な用語。
小川:で、既感染者が殆んどであるということについては、村上教授の抗体検査システムで結果が出ています。
上久保:だから本当はワクチンは必要ないのです。というか風邪なんですからワクチンは作れない筈なのですよ。
小川:どういうことですか?
上久保:一般的にワクチンは、非常に強い特徴を持つ感染症であれば作りやすいものなのですが、無症候が多数であるような、特徴の希薄な感染症では作りにくいものなのです。
小川:しかし日本政府もアストラゼネカ社と来春に6000万人分、1億2000万回分のワクチンの基本合意をしていますね。何でこういう不毛の選択を、充分に吟味もせずにしてしまったものかな。
上久保:ええ、こんなワクチン開発競争、大変なことが起こるかも分かりませんよ。そもそもワクチンの接種は危ないと思います。実際私たちの研究では、先祖型のSを免疫原にしてワクチンを作ろうとすると、S型に対する抗体ができ、そこにG型が感染したら、ADEを起こすことになるのですから。
小川:なるほど。ワクチンの免疫原をどの変異型にするかによって、今回世界で生じた劇症化を人為的に起こすことになってしまうというのですね。
上久保:ええ、G型変異が怖い訳ですからG型のモチーフを免疫原にした場合は、中和抗体ができます。しかし、S型やK型を免疫原にした場合には、中和抗体は出来ません。だからそこに新しいH型とか、Y型が感染した場合に、中和抗体が出来ていないのだから、ADEが起こる。この変異と免疫の関係を正確に知らない人たちが下手にワクチンを開発すると、ワクチンのために大量の死者が出る可能性は否定できません。
小川:怖ろしいことですね。しかしどの場合ADEが起きるかはゲノム解析で分かるのですか。
上久保:GISAIDから、これは中和抗体できるか、出来ないかということを私どもは恐らく解明できていると思います。どうしても開発しないといけない事情があるならば協力してもいい。ここは本当に危険なポイントだからです。しかし、ワクチンでは、更なる危険性がある。仮に私たちが協力してワクチンがいったん出来ても翌年は効かなくなります。抗体が消えていくからです。これはインフルエンザワクチンを毎年打つのと同じ原理です。ただ、今回のコロナでワクチンを作る危険性は、違うウイルスの変異型が来た時に、ADEが起こる可能性があるという点です。G型でワクチンを作っても、新たな変異になった際に中和活性を失っている可能性があります。
だから、コロナに関しては、従来、ワクチンを作ったことはなかったんです。人間の免疫だけで対応が出来るし、作った時のADEの可能性の方が、新型コロナウイルスより余程「未知」で危険だと私は危惧しています。
小川:インフルエンザワクチンではこの危険性はどのように除去されているのでしょうか。
上久保:インフルエンザの抗体は流行に合わせて、ワクチンを毎年変えているから危険性が無いわけです。だから、コロナもどうしてもやりたいならば、毎年、変えていかないとダメです。同じものを打つと危険なわけです。
小川:それは膨大な手間ですね。毎年変えるというのでは、今のG型で作ったって、ダメなことになりますね。
上久保:やるならば、毎年変える。だが、普通の風邪にワクチンが要るのかという話です。
小川:免疫学の権威、順天堂大学特任教授の奥村康先生も、ワクチンが成功する可能性自体が低いと仰っていました。余りにも平凡な顔をしたウイルスで、それを識別できるワクチンを人工的に作れるとはなかなか考えられないとか。欧米の人たちにとっては、ワクチンに対してもの凄い期待と需要がある。そこはどのように考えたらいいとお考えですか?
上久保:ひとつ有用な方法があります。私は何年後にコロナがもう一回どういう形で来るか解析から少しずつ予想出来るようになっているので、今回作ったGのワクチンをずっと保管しておいて、そのときにこれを使いなさいと申し上げる。約十年後かも知れません が。基本的には必要ないですけど、そういう変異予測と組み合わせないと危険だということです。
「もうすぐ収束、東京五輪は必ずできる」
小川:渡航制限を今後どうすべきかという点もお聞きしておかないといけませんね。先生は日本は出来るだけ渡航制限を解除した方がいいと仰います。だけど、世界はどうしたらいいですか。アメリカやヨーロッパ。
上久保:世界は、我々のリスクスコアを見ていただいたらいいんですね。リスクスコアは高い相関性で正しかった。ということは、今後も私たちのリスクスコアは正解であり続ける。可能性が疫学的に高いのではないでしょうか。医療崩壊が起こるレベルで感染爆発するようなリスクを事前に示せますから、それを適用する。
カリフォルニア、テキサスなどはリスクスコアは高かった、後から急増したところはそうです。そういうところは、医療破壊を起こさないよう、ロックダウンを早期に、そして長くするしかなかったのです。それでゆっくり感染して、人工呼吸器につなげなければいけない人の増加率を緩やかにする。あるいはマンパワーを充足する。あるいは人工呼吸器、 ECMOを先回りして充足する。我々は一番最初の3月27日の論文で、より良い集団免疫の達成の仕方を述べると書いている。半年経ちましたが訂正する必要は殆んど無いと考えています。
小川:では9月以降、秋、冬、来春にかけては、世界はどうなりますか。
上久保:欧米が沈静化した後、ブラジルは死亡者第2位になり、それが相当長引きまし た。医療破綻を起こし続けているのでしょうから、当然ロックダウンしなければならない局面が続いていたことになります。ブラジル大統領はロックダウン不要論に固執していましたが、あれはする必要があった。
小川:日本については、逆にもう渡航制限を解除すれば、殆んど重症者・死者は加算されないということでよろしいですね。
上久保:そうです。むしろウイルスに曝露して、増幅させるべきです。
小川:国内では、自粛が長引いているけれど、それでも動いています。今ぐらい動かしておくと、疫学的に国内で感染が再度大幅に拡大する確率は低い、と考えて宜しいのですか
上久保:大丈夫だと思いますけどね。全く閉めている施設や注意し過ぎているご老人などについては、多少危惧があります。我々は、五月のGW明けから、もう開くべきだと言って来ました。あれからもう、四カ月、時間がかかり過ぎています。そこに一抹の不安はあります。本当はしなければならないことと今の自粛は180度逆行するので、そこが本当に難しい所です。免疫記憶が薄れると、次の流行が起きてしまうのです。しかし、今のところ、風邪が原因で例年なくなるようなレベルまで衰弱しておられるような方は、当然風邪に用心するのと同じように、コロナウイルス感染にも用心して頂く他ありません。日本人一般の免疫記憶は現状で大丈夫だと思います。
小川:最後に東京オリンピック・パラリンピックについてお聞きします。来年の夏に開催出来るように世界を持っていくにはどうしたら宜しいでしょうか。
上久保:そうですね。今年の12月までに、日本のみならず、世界でも新型コロナはほぼ終わります。そこで、完全に世界中が移動制限を解除すれば、オリンピックは問題なく開催できます。来年はスパイクの変異のコロナの年ではなく、普通のコロナ風邪の年だからです。別に風邪を引いている人がオリンピックに来られても構いませんでしょ。
小川:そうすると、出来るだけ早く、そういう予測を科学者たちに検討してもらわないといけない。来年は大丈夫だという話を、出来るだけ世界の専門家のコンセンサスにしなければなりませんね。
上久保:まだ、あと、ちょっとロックダウンした方がいい国や地域は残っています。しかし、世界中でもう12月には全部終わりますから、全面的に解除すべきです。
小川:12月には世界中で、感染の波はもう来ない?
上久保:もうないと思いますけどね。今回説明したことが分かって頂いたら、来年に我々の見解を世界が採用してくれたらいい、それだけのことです。
小川:実際、経済の方が問題ですね。
上久保:こんな科学的根拠のない自粛騒動で、コロナ死者よりも多くの人、それも働き盛りの健常者が自殺に追い込まれる可能性は格段に高まり続けています。
そうしたことも踏まえ、最後に大切な提案をさせてください。
。確かな分析ができる微生物学者、免疫学者、創薬の専門家、遺伝子変異解析の専門家、感染症の臨床経験の豊富な医者、検査というものを良く知っている専門家、そして大事なのは疫学の本当の専門家。。。更に贅沢を言えば、経済の専門家、法律の専門家、倫理の専門家が一人ずついたらそれでいいので、十人ぐらいでもいいんですよ。本当に真摯な専門家で日本版CDCを創設すべきです。そうしておけば、それを参考にして正しい政治決断が出来る政治家が政権にいれば大丈夫です。
小川:全く同感です。日本には間違いなく各分野で超一流の専門家がいらっしゃるでしょう。しかし政府に集まってこない。厚労省にせよ、各医師会や学界の既得権益層にせよ、この数十年の日本の能力本位のダイナミックな人材登用が非常に乏しいのではありませんか。だから非常時に対応するダイナミズムが生まれにくい。
そんなところに、相も変わらず政府が既得権益層に諮問して多額の予算をつけて重々しい専門家チームを作ったり、 CDCを作ったって、どんなものが出来るか見当がつきます。政府にその力がなければ民間でそうした組織を作って、強力なロビー活動をただちに展開した方がまだ早い。
残念ながらそれが日本の現状でしょう。私も先生の真摯な提言を受け、直ちに動きますよ。
上久保:有難うございます。
2020年10月6日 抜粋 完 秋山敏夫
【四日間で終わりました。右手首軽い腱鞘炎。抜粋というより後半は特に完全にコピーという箇所が多くなってしまった。重要な点が多かったからだ。TVに出る専門家や政府の専門家会議のメンバーと発言内容が違う点が幾つかあり、これは新型コロナを彼らはマクロな視点から見ていないからだと納得。これからどうするのか、更にPCR検査を大量にして感染数を地域ごとに競い合うのか、心理的なコロナに対する恐怖心をこれからも煽り続けてGO TOキャンペーンを台無しにするのか。「コロナ以前」の生活はもう可能と上久保さんは言ってるが、むしろ動いて抗体を絶やさないようにするのが重要だと。決定権を持っている政治家の責任は重い。それでも一部の政治家は納得した故にGO TOキャンペーンを打ち出したのかも知れない。そこには主流派専門家への遠慮・配慮も感じられる。しか し、物事にはタイミングというものもあるので早く決断して「コロナ以前」に戻す必要がある。
私のPC技術では図を挿入できなかったが、それでも多少の説明で理解は難しくないと願っています。詳細を知りたい方は1000円もしない本ですので、ぜひ購入して頂きたいと思います。著作権というものはありますが、まずこの本の抜粋内容を読んで理解して頂 き、多くの方がコロナウイルスとは今や普通の風邪のウイルスだという認識を持つことが重要だと思う。上久保さんも小川さんもこの本の内容を理解してくれる人が多くなることを願っていると私は思います。大変立派な内容でノーベル賞なみです】。【 】は私のコメントです。
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