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社交ダンス;女性のナチュラル・ターンについて
福頼氏のブログからの抜粋です。< >の中の内容は英国のダンス教本ボルテクの記事です。
ここからが抜粋記事です。
女子のナチュラル・ターン
ワルツのナチュラル・ターン前半を女子について説明します。
技術書には、用語の説明で次のように示してあります。
特注
< 「ナチュラル」 及び 「リバース」 ターンについて
全ての "ナチュラル" ターンは右に、全ての "リバース" ターンは左に回転することである。>
女子についてと言いましたが、
ナチュラル・ターンの後半では踊る方向が異なるだけで、
男子が全く同じに踊ります。
女子の後半は方向が異なるだけで男子の前半と同じです。
実際に踊る場合には補助のウォークが一歩必要ですし、
近頃は、競技の際に選手が行う、カップルの厳密なバランス確認の三歩を真似たりしていますが、今は補助のウォークはしません。
右足のボールの前の方に、
もっと分かり易く言うなら親指に体重を置いて立ちます。
先ず、左足で後退する準備として、
股関節が大きく曲がらないように注意しながら右足の膝を前に突き出して
足首と膝を曲げます。
股関節はこれと連動して少し曲がるだけです。
<1.左足 壁斜めに背面して後退、CBM、右回転を始める、1の終わりでライズを始める(NFR)、フットワークTH、スウェー直 >
NFR はノーフットライズ。 ヒールは床に着けたままで脚とボディーを伸ばします。
男子の前進を受けて後退を始めますから、
男子にCBMがありますので、それを受けて
左足の後退と同時に右の腰が後ろに動き、右回転が始まります。
男子の体は壁斜めの方向へ動いていますが、
その体は右に向きを変えていますから、
体から前に広げられた右足は壁斜めの方向からわずかに右にそれ、
壁の方向に近寄って床に置かれます。
その男子の足よりももっと後ろに広げられた女子の左足は、
かなり壁の方向に近寄って床に置かれることとなります。
いわゆる中間バランスを過ぎて左足に体重が移動した時点では、
女子は壁の方向へ後退したような結果となっています。
2009年の日本インターナショナル選手権大会プロの決勝では、ソロ種目がワルツでした。
決勝に残った七組の選手が、ベーシックの足型だけで組み立てられた16小節のルーティンを踊り、
最初にナチュラル・ターン前半の三歩を踊りましたから、
録画したものがあったら改めて観点を絞って見直してください。
フットワークTH
初めに左足のトーで体重を受け取り、
その体重を後ろに逃がさないように注意してヒールを降ろします。
これをフットワークはトーヒール(TH)と言います。
男子がライズを始めますから女子もライズを始めなければならないのですが、ライズどころか後退の準備をした時に右の膝を曲げたのと同じように左の膝を曲げ、そればかりでなく股関節も曲げて、しゃがみこんだ形のままの人がとても多いのです。
先ず、その股関節と膝を伸ばさなくてはなりません。
ヒールを床に着けているので爪先立ちになるライズはできませんから、
ヒールは床に着けたままで、脚とボディーを伸ばしてライズします。
後退した第一歩で行うこのようなライズを<ノーフット・ライズ>と言います。
< 2.右足 LOD に向けて横へ、1-2 の間で 3/8 右回転、体の回転を少なく、ライズ継続、
フットワークT、スウェー左 >
右足の向きが要注意です。
ナチュラルターン前半の回転量は3/8で、
回転の外側を動く男子は 1 で右足前進して左足が揃うまでにおよそ 1/8 回転しますから組み合っている女子も当然同じ量の 1/8 回転をします。
2 で男子は更に 1/8 回転し、左足を逆LODの壁斜めに向けてステップしますが、この時もボディーが男子と同じ量の回転をする女子は、自然にステップすれば右足を中央斜めに向けてステップすることとなります。
しかし、それではこの後に問題が起こります。
男子は惰力で更に1/8 回転して、3 の終わりにはボディーも足も逆LODに向いています。
向き合って組んでいる女子は、2 で中央斜めに向けてステップした足の上で、ボディーだけが LOD を向くまで足の向きよりも多く右回転をすることとなり、右足に無理なねじれの力がかかって回転を妨げます。
従って、2 で右足をステップする時に、
ボディーは中央斜めに向いているけれども、
足だけは LOD に向けて ステップ しなければならないのです。
ところが、これが難しい人が多いでしょう。
ただしバレエのレッスン経験者はこの限りではありませんが。
原因はお尻が後ろに行き過ぎているのです。
この動作は、後退した時のポイズを点検する指標となります。
左足の上で腰の位置が後ろ過ぎると、右足先を斜め後ろに向けることができませんからそれができるまで腰を前に出して、親指に体重をかけてください。
後退して両足を揃えヒールを降ろした時には、後ろへの惰力が働き、
お尻が後ろに出て股関節が曲がり易いので、ヒールを降ろしても親指から体重を後ろに逃がさない様に注意しなければなりません。
日本で聞くことがあるように股間節を曲げていたのでは、この動作はできません。
内側回転
後退して回転する女子は回転の内側です。
扇子の縁が大きく開いても要の近くは大きく動かないのと同様に、
女子の第二歩は歩幅が小さくなければならないのです。
このことを意識しておかないと、向き合って後退した第一歩と同じく大きな歩幅で動きますから、外側回転の男子には不可能な歩幅を要求することとなってトラブルが起きます。
後退した左足の上から動かないつもりで、
男子の右スウェーに合わせて左にスウェーし、
右足のトーをLODに向けてしっかりと床に当てておけばよいのです。
回転の軸を作るつもりでしっかりと立っていたら、
外回りで不安定な動きをしなくてはならない男子を支える
助けをすることにもなります。
<3.左足 LOD に面して右足にクローズ、体の回転を完了、ライズ継続、3 の終わりでロァー、フットワークTH、スウェー左>
右足に閉じた左足で、左スウェーを保ったままライズを継続し、3の終わりでロァーします。
ロァーを始めると同時にスウェーも無くなり始めますが、
完全に無くなるのは、次の1の終わりで両足がそろった時です。
以上がワルツのナチュラル・ターン女子の前半ですが、
アラインメント(方向)が異なるだけで
そのままが男子の後半の踊り方でもあります。
また、
女子が中央斜めに背面して右足後退から始めれば
リバース・ターンの前半になります。
単にワルツのナチュラル・ターンだけではなく、後退して踊る主要な回転の技術ですから男子も女子もこの足型は
社交ダンス上達の道しるべ(1)"で述べた男子の前半と合わせて、
両方の踊り方を完全にマスターしなければなりません。
まとめ
次の項目をチェックしてください。
*2 で右足をステップする時に、
ボディーは中央斜めに向いているけれども、
足だけは LOD に向けて ステップ しなければならないのです。
それにはどう身体を動かしたら良いのか?が書いてありましたね。
左足の上で腰の位置が後ろ過ぎると、右足先を斜め後ろに向けることができませんからそれができるまで腰を前に出して、親指に体重をかけてください。
後退して両足を揃えヒールを降ろした時には、後ろへの惰力が働き、
お尻が後ろに出て股関節が曲がり易いので、ヒールを降ろしても親指から体重を後ろに逃がさない様に注意しなければなりません。
あとは第2歩目の歩幅は小さくですね。第1歩は大きくても良い。何故なら「内回りと外回りの法則」がダンスにはあります。内側の人は動きは小さく、歩幅やスピードも。外回りの人は反対に大きく速く回らないとペアとしての踊りにならない。
更に次のように軸となるつもりで動きなさい、と言ってます。
後退した左足の上から動かないつもりで、
男子の右スウェーに合わせて左にスウェーし、
右足のトーをLODに向けてしっかりと床に当てておけばよいのです。
記事にもありますが女子のナチュラル・ターン前半の動きは、男子の後半の動きです。
以上です。