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我々の社交ダンスは盆踊りなのだろうか。

結局、我々は社交ダンスの衣装を纏って盆踊りをしているのだろうか?
 
アングロサクソン系の踊りは彼らの出自の歴史が示すように飛んだり跳ねたりの文化がこのダンスに影響しているのではないか、日本とかタイの踊りは稲作文化の影響を受けて、あまり激しい動きはなくどっちかと言うと穏やかな曲にその音楽リズムに則った表現方法として発達した。

所謂、社交ダンスはイギリス風のダンスにアレンジされた結果彼らの文化を反映し、今の競技ダンスがある。そして我々は競技ダンス出身者が多数を占める教師から競技ダンスをアレンジした「足型ダンス」を習っている訳です。
 
私はパーティで上手な人とたまたまめぐり合った時、必ず訊きます。何かスポーツやっていました?答えはやっていましたとか今もやっています、とか。この場合ダンスもスポーツと考えてみると、何らかのスポーツをしている人や、してきた人は運動原理的な基礎が出来ているので、すんなりと社交ダンスの動きに入れる。でも社交ダンス特有の動きには更なる訓練が必要であるのだが、運動原理は土台にある。
 
若い時から社交ダンスを習っている場合は、それなりの練習時間とダンス特有の動きが自然に身についている訳であるので、競技ダンスを志向するのは理に適っていると思います。でも、私の個人的な意見で言えば、競技ダンスに行くなら若ければ若いほど良い。そして、少なくとも過去に運動を継続してきたとか基本的な運動の基礎無しでは上達しないと思う。
 
日本人の歩き方がイギリス人と違う。重心の動かし方も日本人はステップした足にシッカリ乗せようとする。その結果、骨盤と後ろ脚が残ってしまう。

彼らの重心の動かし方は、ステップした足は骨盤と後ろ脚を引き付けるようにして重心を動かす。リヤカーの動かし方も日本人は自分が前に来て後方のリヤカーを引っ張る。彼らはリヤカーの後ろに位置して押す形で動かす。ノコギリも引く民族と押す民族の違い。ドアもそうです。場所的な制約もありますが、日本のドアは引くが彼らのドアは基本的には内に押す。まあ、日本は昔は引き戸だったけど、、、。
 
こうしてみると全てが反対。ヨーロッパでもラテン系の民族はそんなに飛び跳ねるような踊りはしない。寒い国の民族は飛ぶんでしょうか。古代ローマでどんなダンスが流行っていたのか調べないと分かりませんが、今のラテンの原形のようなボレロ・ルンバなどのとにかくあまり飛び跳ねないダンスの原形であったはずです。

或いはパソドブレのソーシャルで南フランスのプロバンス地方などで今も踊られているダンス。これはイギリスの作家のピーター・メールの小説によく出て来ます。今のラテンダンスと同じように場所を取らないで動きも大きくない踊りが基本だと思います。チャチャチャは複雑な生まれなので、また、つい最近の踊りなので参考には出来ない。
 
この項目で書きたいことは、重心です。勿論、動くには重心が必ず移動している訳ですが、彼らの踊りは重心の移動が大きい。だから盆踊りではない、タイダンスではない、と言いたいのです。そしてその盆踊り感覚で踊っていては社交ダンスは綺麗に踊れないという事です。綺麗には見えない。(高齢者は運動能力の問題もありますが、、、)。

我々の社交ダンスは初めからゼロのスタートではなくマイナスのスタートとはこの事なのです。まあ、異文化の踊りに挑戦している訳ですからそのくらいのチャレンジ精神は必要です。重心を殆ど止めて手足だけを動かしては盆踊りになります。ステップする前に重心が動かなければいけない。
 
これから夏の風物詩の盆踊りを一年中練習しているみたいですが、直さなければいけない点。
まず①中間バランスを作ること(歩幅はあまり関係ないと言う人もいますが、歩く時よりは大きくしたい。それにスルスルと摺り足になりステップするには軸足の膝が緩んでないとスルスルは出来ないし、足は床から離してはいけないというルールもある)。

②ステップしたらその足が軸足になり直ぐに後方の腰や脚を引き付ける。

⓷音楽リズムの取り方はステップを広げることで取るのではなく(日本式)後ろ脚を引っ張る、引き寄せることで取る。この連続でステップやルーティンを繋げて踊り、ラインフィガーでひと休みというか、左回りを右回りに切り替えたりして1曲を終わる(イギリス式)

④下肢の動かし方は肩甲骨を正しく使い上体の意思を持って反射的に下肢を動かす(肩甲骨を遊ばせておくのは日本式教授法。上手な人は或いはスポーツをしてきた人はそれなりに動かしている、意識・無意識に拘わらずに本能的に)。だから今まで若い頃からスポーツに馴染む機会が無かった人や若い頃からダンスをして来なかった人は、正しい知識・情報を収集して身につけなければ上達はずっと先になる。
 
日本人の柔道の動きは見ていても感動ものです。そこへ行くと外人のへっぴり腰風の構えは柔道でなくむしろレスリングのようです。オリンピックに出場するような選手であっても何か違うなと感じるのは文化が違うからなのでしょうか?お互い様です。ダンスのドレスを纏ってボディコンタクト無しの柔道のようなホールドをする人たち。柔道着を着てレスリングをしようと組ませない人たち。女性のあまりにも左に大きく反った砲丸投げの選手のような恰好。我々は異文化にチャレンジしているのです!
 
私のダンスのメンターである(勝手に決めている)ケンさんの最近のブログから抜粋しますね。以下全てケンさんからの記事の引用です。ここでは後半に「ダンスでの上半身の重要な使い方」がちらっつと出ています。
 
『多くの方の踊姿を見ていると音楽リズムが身体で取れていなくて
流れる音楽の陰影や緩急が感じられません。様々な音楽リズムや
メロディーが流れているだけで踊り手は意味なく身体を動かして
いる様にしか感じられない事が多いです。

ウォークの運動を基本動作としている社交ダンスは様々な
スポーツと同じく移動性を伴いながら音楽を表現する事で
ダイナミックで豊かな音楽表現を生み出しています』。
 
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『しかしながら社交ダンスを踊る時重心を止めたままで
移動しようとすると手足は目的の方向に動いたとしても
ステップに重心が音楽リズムと共に乗らない事で音楽に
遅れた運動表現に成ったり互いに腰が抜けたりむやみに
反りかえって踊る事と成ってしまいます』。
 
『社交ダンスは男女がコンタクト面を通して重心を動かし
互いの音楽リズムを生み出す事でダイナミックでスピーディな
音楽表現を創り上げます。

重心を止めて手足を動かせばその場に留まったボディと
素早く動く手足によって線香花火の様な動作と成りますが
移動しながらの音楽表現に於いては不自然と成ってしまいます。
 
社交ダンスの音楽リズムの緩急は両脚の中間バランスから
次の立足に重心を集める即ち体重を乗せる事で演じます。
 
ボディが立脚に次々に引きよされる様が音楽リズムと重なり
様々なメロディーと共に素敵な音楽表現と成ります。

重心を低くしながら立脚に引き付けると力強い表現と成り
重心を高くしながら引き寄せると軽快で広がりの有る表現を
生む事が出来ます』。
 
『例えばスウィングダンスを行う時前後左右に開脚した所から
強く次の足に重心を降ろしながら体重を引き寄せると強い
リズムや音楽表現を創りボディを上昇させながら開脚した
所から立脚に重心を集めるとライズを伴った表現と成ります。
社交ダンスがスポーツ的芸術と言われるゆえんがここに
有ります。
 
身体からステップを遠ざけながら踊ると重心が止まって
ヒップホップの様なスタンディングの踊りと成ります。
 
中間バランスから次のステップに重心を引き寄せる事で
音楽リズムを生み出すと社交ダンスに成ります。
 
初心者の方や上手く音楽表現が出来ない方に見られる
踊り方の多くがステップを広げる事で音楽リズムを作ろうと
している事に有ります。
 
普段の生活をしている時も一歩一歩足を進める様にする
のではなく両足を開いた瞬間から立脚に重心を引き付ける
歩き方をするとスムーズで恰好良く歩けます』。
 
 
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『社交ダンスを踊る為にも普段の生活に於いても両足を開脚
した時から重心を立ち脚に引き寄せる事がとても大切ですが
 
踊っている時も普段の生活に於いても体重が立脚へしっかりと
乗せる事が出来ず腰が引けたり上体に常に力が入っている方が
実に多いです。
 
社交ダンスに於いてはステップを一歩一歩動かす事で踊ろうと
している踊り手が目立ち音楽リズムの上に体重を感じられず
音楽表現が遅れていたり上体に力を入れないと踊れない方が
目立ちます。
 
社会生活に於いては高齢化するにつれ足腰の弱体化も有って
歩く行為が難しくなる傾向が有りますがこの原因を単なる
老化現象や体力の減少によるものと思っている方が多いですが
実際は若い頃から片足づつ体重を乗せて歩いていたり
上半身と繋がりを持たないで下肢だけの運動で歩く習慣が
有ったことで下肢の老化で歩き辛く成っているのです。
 
元々私達日本人は片足を前方に振り込みながらその上に
体重を乗せる事で歩く傾向の有る民族です。

この事が上体を乗せようとして背を丸くして歩く原因と
成っている事も多く社交ダンスに於ける確実に一歩ずつ
間違わない様に踊ると言いう行為に繋がってもいます。
 
音楽を正しく表現するにも立ち脚にしっかりと体重が移動
出来る事が望まれますが足に体重を掛けようとして床を
蹴ったり腰を入れようとして益々運動が不自然と成って
思い通りの音楽表現が出来ない方が多くいます。
 
私達二足歩行の人間は両足が前後左右に開いた所から
次の足に重心を移すことから運動を行う事が望ましいです。
スポーツ選手が両足を開いてタイミングを計る理由でも
有るのですが音楽を正確に表現する為にも必要です。
 
ただこの時重心を両足の間に持ってくる運動が下肢で
行うのではなく上半身のローテーションを伴った
肩甲骨の運動で有る事が重要です。
 
一見上体は何もしていない様に見えるかも知れませんが
意思の有る上体の運動が下肢の運動を生み出し様々な
ステップを作っているのです。
 
特に上半身の肩甲骨と下肢の左右のお尻の筋肉は常に
連動して動いていてこの繫がりの有る上体からの意思表示が
思い通りの音楽表現を創り上げるのです。
 
上半身の運動表現に下肢が反射的に連動して動く事から
男女共に上体の運動表現をコンタクトを通してスムーズに
行う事が出来るのです。
 
ステップだけを振り込んで前進すると上半身は前傾と成り
腰が引けた状態と成ります。その為常に上半身を強く後方に
反って床を踊ったりホールドに力を入れていなければ上体の
形状が保てなくなってしまいます。
 
男女が正しく上体を使って下肢の運動表現を行う事で
様々な音楽表現が思うがままに出来るのです。
 
普段歩いている時も上体が柔軟性を持って左右の肩甲骨を
動かす事で腕も自然に前後に触れるのです。
 
この運動が下肢に伝わると臀部の筋肉から下肢の運動が
スウィングと成ってステップを振り込みます。
社交ダンスは男女がローテーションをしながら肩甲骨を
使ってホールドを動かす事で外見的には全く動かず
美しい形状で踊っている様に見えるのです。
 
多くのカップルが美しい上体で躍ってはいるのですが
その殆どが力をもって上体を作り下肢の力でステップを
作っているのが現状です。
 
心から音楽とお相手を楽しむためには自分の身体は常に
反射的に踊れる事が大切です。
 
外見的な様や動作を真似て踊っていてはせっかくの自分に
備わっている素晴らしい運動機能が使えません。
誰と踊ってもどんな場所でも楽しめるのが社交ダンスです。
自分の身体の機能をしっかりと学んで身体が喜ぶ踊りを
一人での多くの方が体感できる事を心から望みます』。
 
以上です。
 


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