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オートファジーで手に入れる究極の健康長寿 ⑤ 「スイッチ」抜粋      ジェームズ・w・クレメント 著

第4章
沖縄、修道士、セブンスデー・アドベンチスト教の人々

沖縄県人、ギリシャ人、キリスト教セブンスデー・アドベンチスト教派の人々には共通点がある。それは、細胞のオートファジーを活性化させ、健康的にバランスを保つことで、ラロン症候群の人々と同じように健康長寿を全うしていることだ。そのライフスタイルを検証して成功の秘密を解き明かせば、私たちの生活に応用できるだろう。鍵を握るのは、人間の身体に驚異的な健康効果をもたらす次の三つの食事法だ。

*カロリー制限
*間欠的断食
*タンパク質循環(プロテイン・サイクリング)
 
カロリー減が長寿をもたらす
嘗て沖縄の人々は、日本で(そしておそらく世界の中でも)最も平均寿命が長いことで知られていたその理由は、糖尿病や心臓病、脳卒中、がんなどの加齢に伴う主な疾患に罹りにくかったからだ。

沖縄では(1970年くらいまで)これらの疾患の発生率が非常に低かった。日本の人口は米国の4割に過ぎないが、110歳以上の高齢者(スーパーセンテナリアン)の数は米国よりも多い。
 
沖縄の人は老化の進行が遅く、心臓病の発生率も欧米の2割しかない。沖縄の100歳以上の高齢者を対象にした有名な沖縄百寿者研究によれば、この地域では乳がんはまれにしかないため、マンモグラフィー健診は定期的に必要なく、高齢の男性が前立腺がんを話題にしたり心配したりすることも殆んどないという。

【女性の乳癌、男性の前立腺癌は乳製品摂取過多が原因と言われる。兎に角、(すべての)癌と診断されたら遅いかも知れないが玄米菜食者の食事をすること、最低限必要である】。

沖縄の人々は、平均すると人生の97%の期間を身体に障害のない状態で過ごしていた。日本本土やハワイなどに移住するとこうした健康上の利点はすぐに失われてしまうことから、その長寿が遺伝的な要因とはあまり関係ないことも分かっている。

沖縄は、日本で最も所得が低い地域であり、この地域には満腹になるまで食べない「腹八分目」の習慣もある。こうした経済的事情と習慣のために、長年、沖縄の人々のカロリー消費は日本の本土の人々よりも2割少なかった。
 
沖縄人が長寿である理由はさまざまな側面から説明できる。日常的に身体を動かす機会が多いこと。土着の信仰が浸透し、ストレスを感じにくい社会であること。人間関係の繋がりが豊かであること。医療システムが整っていること。

だがその長寿の基盤は、何と言っても食事である。
この地域の伝統的な食事には次のような特徴がある。
1) 低GIの野菜(デンプン質の少ない野菜。一般的にはアーティチョーク、アスパラガス、アボカド、ブロッコリ、キャベツ、カリフラワー、セロリ、キュウリ、葉物野菜、キノコ、玉ネギ、ピーマン、ホウレン草、カボチャ、トマト、ズッキーニなど)をたくさん食べる(総摂取カロリーの約73%)。

GI(グリセミック)指数は、食品(糖質を含む)が血糖値に及ぼす影響を測る指標として、およそ40年前に開発された。純粋なグルコースを基準にして、0から100までの数値で示される。純粋なグルコースのGI値は100.【完全に頼ることは出来ないが、、、】。

GI値の高い食品(70以上)は消化吸収が速く、血糖値もインシュリン値も急上昇する。GI値の低い食品(1~55)は消化が遅く、血糖値とインシュリン値はなだらかに上昇する。低GI値の食品の中には、食べても血糖値がほとんど変わらないものもある。GI値が56~69の食品は「中程度」と見做される。

2) 豆類の摂取が多い(主に豆腐や味噌として)。沖縄の豆腐は、本土の豆腐より水分が少なく、ヘルシーな脂肪やタンパク質が多く含まれている。

3) 水産物を適度に摂取している。特に沿岸地域の人々。

4) 肉類・肉製品の摂取量が少ない。

5) 乳製品の摂取量が少ない。

6) 適度な飲酒。

7) カロリー摂取量が少ない。

8) 魚からオメガ3脂肪酸を多く摂取している。

9) 飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の比率が高い。

10) 低GIの炭水化物を多く摂取している。

私はさらに以下を追加したい。
11)果物の摂取量が少ない。
12)タンパク質の摂取量が少ない(一日約39グラム)。
13)食物繊維の摂取量が多い(一日約23グラム)。
 
伝統的な沖縄料理はタンパク質の含有量が特に低く、mTORを抑制し、IGF-1レベルを大幅に低下させるために十分なタンパク質制限になる。
 
注目すべきは、野菜(特にサツマイモと大豆)の摂取量が多く、タンパク質の供給源としての肉や乳製品が少ないことだ。

1gあたりのカロリーが少ない地元産のサツマイモは、1600年代から1960年頃までこの地域の主食で、総摂取カロリーの5割以上を占めていた(意外にも、サツマイモのGI値はそれ程高くない。焼いたジャガイモのGI値は85だが、茹でたサツマイモは40台半ばで、糖質とカロリーはジャガイモより少ない)。
 
沖縄の高齢者のDHEAはサンディエゴ郊外に住む同年代の人々【ロマリンダ、長寿者が多い】と比較した結果は、沖縄人の方が高かった。

DHEAは副腎でつくられ、血中に豊富に存在し、エストロゲンやテストステロンなどをつくる前駆体である。加齢と共に減少するので、身体の老化速度を示す指標になる。沖縄の高齢者の値が高い理由は、健康的な食生活と身体を動かす機会が多いためと考えられている。
 
健康と長寿の秘訣が食事にあるのなら、その中でも特に重要な鍵を握るものは何だろうか。

⑤続く
 


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