
社交ダンスは下半身だけで踊らない(続)引用付き
前回の「社交ダンスは下半身だけで踊らない」の基本になる情報の引用です。社交ダンス歴40年以上のケンさんのブログからです。私のメンターです。前回の私の記事では内容が意味不明かなと不安を感じ、かつこの「意思ある上体」の使い方は非常に大切な要素なのであえて「ケンさん」のブログから引用・一部編集させていただきました。
以下引用です。
”スタンダードダンスを踊る時如何に一曲を通して
美しいホールドを保ち続ける事が出来るのかの
理由を知る事が大切です。
コンタクトしないでその場でホールドを形作り
ほんの2,3分維持するだけで上体が硬直し首や
肩に痛みを覚えたりすると思います。
筋肉は常に緊張弛緩を繰り返す事に因って血液を
循環させ運動を継続させているのですが、形を保ち
ホールドを上げ続ける事は大きなストレスを生みます。
*****
多くの踊り手は踊っている最中に次第にホールドが
落ちて来たり変形したりしてお互いに苦痛を生じます。
その為美しい形を維持するには、常にショルダーに力を入れ
固めなければ美しい形を維持できず、美しい上体を作るには
如何にホールドを上げられるかが求められます。
*****
かつてはどんなに激しく踊ってもホールドが崩れない様に
保ち続ける事が出来るか美しく踊る大切な条件と考えられ
誰しも頑張って腕を持ちげ続けようとしました。
しかしながら普段、意思表示を行う上半身を固めながら
反射的に動いている下肢を、意識を持って動かす事は、
極めて不自然な事で有り、社交ダンスを楽しく上手に
踊りたいとする方々の悩みの種と成っています。
【これは上半身が意思を持って動くと下半身は反射的に動くという四足動物の身体的な特徴。人間は今は二足歩行だがまだ名残りがある動作。だから下肢は意思を持って動かさない。上半身が意思を示せば下半身は動く、それも反射的に、的確に。この運動原理を使っていないのが問題】。
エキスパートの踊りを見ているとどんなに激しい踊りを
していても全くホールドが崩れないように見えますが
彼らはトレーニングを重ねホールドをしっかりと固めて
演じている踊り手と
【日本では二種類の踊り手がいる】。
ペアとして運動表現をする事で
美しいホールドを保っている踊り手に分けられ
日本の多くの踊り手は長年の努力によって外見的に
美しく見える様に演じていて、お互いに上半身が固定され
下半身の運動表現で、演じている事が問題です。
戦後欧米の踊り手を真似て外見を全て同じように見せる
社交ダンスを目指した結果、殆どの踊り手が頑強なホールドで
踊っていましたが、その様な力づくで踊るのではない、と言う
正しい社交ダンスが今だ広がらず、同じ蹉跌を踏んでいる
多くの踊り手を見かけます。
ホールドは男女のコンタクトを通じた運動表現でその時の
お相手と最も相応しい形と高さが生まれます。
欧米のエキスパートと踊ると非常に美しいホールドを
しているのに全く崩れる事無く、柔らかさが保たれ
何をしているのか何を求めているのかが伝わって来ます。
【2~3年前、イギリス💃留学帰りの先生と踊る機会がありましたが、非常に柔らかいコンタクトでした。また、上手な女性は上半身の柔軟性が素晴らしいのはなぜ? 上半身が柔らかいから上手なのか?】
彼らはコンタクトした瞬間、自分のボディを非常に柔軟に
使ってお相手の身体の状況を探って来ます。
お相手の体力や技術に応じた最も的確なホールドで
踊り始めます。
日本における上級者の踊りや教える立場の方の踊りで
有っても、先ずしっかりとした上体を主張して来る事が
とても多いです。
中にはどんなお相手にも同じホールドで同じ強さと形で
踊ろうとする方もいて、お相手は踊る楽しさを感じる前に
目の前に違和感を感じる事が多いです。
社交ダンスは自分の踊りがお相手にとって気持ちの良い
運動表現に成る事が大切です。
どんなに美しく踊れても自分の踊り方を強要する事は
社交ダンスを踊る意味が有りません。
ホールドの作り方はあくまで二人の身体の運動を使い
互いの上体の動きを使って作られる事が大切です。
外見的な事を審査される競技会に於いては、より美しく
豊かに音楽表現を行う事が求められ、ペアとしては
勝つために我慢をする事も有るかとは思いますが、
社交ダンスとして互いに心から楽しむためには
常にお相手の心と身体に対応する事が必要です”。
【ホールドの話しが出たので今度は上体の使い方を引用します。
右回転や右方向に変換する時は、脊髄から右サイドの肩甲周辺
を後方に動かす。反対に左回転や左方向に動く時は、脊髄から左サイド
の肩甲骨周辺を後方に動かす。ここでのポイントは「後方に」動かす。
また、ステップした下肢で方向を変えない、がもうひとつのポイントです】。
【この運動はダンスだけでなく運動一般の原理です。野球にもテニスにもゴルフにも使える運動原理ですが忘れられてしまっている?上体にトーンがあればなお効果的な動きになります】。
”踊っている時周囲の状況に合わせて踊る方向を変えたり
使うフィガーを変えたりする必要が有りますが
思い通りコースの設定が出来なかったり踊る方向を変える度
運動表現が途切れてしまったりペアとしてのリード&フォローが
滞っているペアを見かけます。
*****
先ず踊るフィガーやルーティンは間違いなく踊っていても思う様
コースの設定が出来ない時は、身体の方向を変える時回転運動が
正しく行われていない事、とボディの運動と関係なくステップが
踊る方向に踏み込まれている事、が多いです。
社交ダンスに於いての踊る方向の定め方は、重心を動かしながら
如何に意思有る上体を動かし反射的にステップを踏み込むかに
有ります。
ステップで方向を変えようとすると上体の動きが
それ以前の運動に従っている為、上手く体重を乗せていく事が
出来なくなってしまいます。
多くの踊り手がステップに対して上体の回転量が少なく
上手く方向を変えられていないのが目立ちます。
スムーズにステップの上に体重が乗って行かないと回転量が
不足して思い通りのコースに乗れず楽しく踊れません。
この場合やはり上体の回転の方法をナチュラルとリバースの
回転に従って行う事であり、ステップやフィガーのテクニック
のみで演じようとすると無理が生じます。
社交ダンスに於いて向きを変える時は、上体の脊椎を中心とした
ショルダーと肩甲骨の回転運動を行うのですが
ナチュラル系の
回転運動を行う時はステップの上に体重を正しく乗せるには
脊椎の右半身を後方に引きながら行い
リバース系の回転運動を
行う時は左ショルダーと肩甲骨を左後方に動かしながら脊椎が
次のステップの上に正しく乗って行く様に踊ります。
上手く踊れていないペアの踊りを見るとナチュラル系の運動で
方向を変えようとする時は、左半身を前方に出しながら回転運動
を行おうとしていて、同じくリバース系の運動で方向を変える
時は右半身を前方に出して踊ろうとしています。
人間の身体は対象物や人に対して運動をする時、押しながら
演ずるより引きながら演ずる方が強くバランスよく出来るのは
多くの方が理解できる事と言えます。
あらゆるスポーツに於いて上手くパフォーマンスを行うには
脊椎の左右のボディを如何に回転運動で演ずるかにあり、
原理は社交ダンスとて全く同じであり右回りの回転をする時
左サイドで押したり直接後方の足で床を蹴って踊ると
滑らかな思い通りの回転運動が出来なくなってしまいます。
ナチュラル系の回転運動もリバース系の回転運動も正しく
上体を使ってあげると思い通りの回転角度を得る事が出来
更には下肢からの運動が重心を前方に推し進める為に
美しい踊り姿を創る事が出来るのです。
以上です。