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社交ダンサーのレベルではベーシックが重要 更にイギリス式「1歩」の定義

福頼氏のブログからです。
 
日本の競技ダンスの競争力が落ちたのは一因には「ベーシックを重視せずに、動きばかりに気持ちを取られています。」
 
イタリアのミルコ・ゴッゾリ(全英選手権で三連覇、日本インターナショナルでも4回優勝)「ベーシックな足型の質の良さを、そして自分の踊りの質の良さを確信できるように練習することです」。
 
イギリスのダンス界の偉人レン・スクリブナーは「忘れてならない鉄則は、数多くの複雑なステップを下手に踊るよりも、ニ三のフィガーを充分に踊りこなす方が優れているということである」。
 
ダンスの基礎が出来ていないということでしょうか?日本の社交ダンスでは「基礎」は教えてくれません。この辺りが問題ではないかと、全くの素人が思うのであります。競技選手用のサークルでは教えているのか分かりませんが、団体レッスンの目的は「足型レッスン」ですから教えません。

そして踊るためというより、ダンスを通して体を動かすのが目的の生徒もいますので、実際問題として踊らない種目まで習うことになります。パソドブレ、ウィンナー・ワルツ、クイックステップなど10種目のダンスの内、実際に普段のパーティでは使えるのは限られていますが、それでも習っている。

私の個人的な気持ちとしては、その時間はダンスの基礎的な動きや知識に当てるべき時間だと思います。
 
社交ダンサーの殆どは「音を外して」踊っていると言われます。殆どの人は音楽を聞いていない、BGM感覚でダンスをしているとも言われます。皆がそれでダンスしているなら問題ない?ということでしょうか?

じゃあ、音について習ったことがあるかと言いますと、殆どの人は習ったことはない。どこで習うのでしょうか?それでもダンスは音楽とお相手が大切と言います。
 
先日、ダンスの「1歩」は中間バランスから次の中間バランスまでを1歩と言う、を投稿しましたが(私は書かれた内容を二次的に投稿しただけであって、最初に読んだ時は「1歩」の定義はそうだったの?と言う気持ちでした)。今回は「音楽に合わせる」。
 
『体重の無い足を前に置いて、
その足にのしかかるように体重を乗せて踊る日本式の踊りを覚えた人の多くは、足を置くタイミングを音楽のビートの頭に合わせようとします。

支え足で体を送り出して、
その体を前に広げた足が支える英国式の踊りでは、
体を送り出し始めるタイミングをビートの頭に合わせますから、
日本式で踊り慣れた人の目には、
英国式で踊る人の足の動きは音楽に合っていないように見えます。

ダンスでは体を運ぶのが目的で、足を動かすのはそのための手段ですから、体の動きを音楽に合わせて踊らなければなりません。

ワルツのナチュラル・ターン男子の第一歩を例にとって、もう少し詳しく説明します。

ワルツの音楽は三拍子ですから、1,2,3と数えて拍子をとりますが、一拍目の"1"には音楽が流れる時間的な長さがあります。

その一拍の時間の長さにあわせて、
左足に体重を置いて立ち右足を横に置いた状態から、右足を前にステップして体重を移し、左足を引き寄せて揃えた状態になるわけです。

この一拍を「イチィー」と唱えて、時間の経過を分かりやすくしておきます。
「イ」で音楽の一拍目が始まるのと同時に、
体重を支えている左足は床を後ろに押して体を前方へ動かし始め、
同時に右足を前方へ振り出します。

従って、一拍目のビートの頭「イ」では、右足は前方へ動いている最中です。

「チ」のあたりで右足のヒールが床に置かれ、いわゆる中間バランスの形となります。

「ィー」は一拍目の後半で、右足に床を引き寄せる力をかけて体を引き寄せ、同時に左足も引き寄せて、体が右足の上まで移動し終わって左足が揃う頃には、右ヒールを上げてライズを始めます』。



 
【ここでは日本式の踊りでは、「足を置くタイミングを音楽のビートの頭に合わせようとします」。英国式のタイミングは、「体を送り出し始めるタイミングを、ビートの頭に合わせる」。

ですから日式は半歩くらい遅れて来るのです。また、ここもしっかりと読んでください。「ダンスでは体を運ぶのが目的で、足を動かすのはそのための手段ですから、体の動きを音楽に合わせて踊らなければなりません」。

ケンさんのブログでは、よく「運動表現」と「音楽表現」が出て来るのですが、前者は下肢の運動」後者は「上体の運動」と私は理解しているのですが、ダンスは音楽を体であたかも演奏しているかのように表現するのだ、と言います。

(難しいレベルの話ですが)、足が問題なのではなく、体の動きが問題になるのではないかと思います。

例を挙げて説明していますのでこれでハッキリするかと思います。『この一拍を「イチィー」と唱えて、時間の経過を分かりやすくしておきます』。

『「イ」で音楽の一拍目が始まるのと同時に、体重を支えている左足(予備歩)は床を後ろに押して体を前方へ動かし始め、同時に右足を前方へ振り出します」』。

ここを解釈した説明があります。『従って、一拍目のビートの頭「イ」では、右足は前方へ動いている最中です』。「動いている最中」なのです。

『「チ」のあたりで右足のヒールが床に置かれ、いわゆる中間バランスの形となります』。

この動いている間に最初の中間バランスがあり、『「ィー」は一拍目の後半で、右足に床を引き付ける力をかけて体を引き寄せ、同時に左足も引き寄せて、体が右足の上まで移動し終わって左足が揃う頃には、右ヒールを上げてライズを始めます』。

「右ヒールを上げてライズを始めます」これがいわゆる教科書の「1の終わりでライズ」ですからこの辺りで二つ目の中間バランスがあるのです。

ですから解釈として私たちが思っている「1」(野球のベース、塁と思ってください)の前に中間バランスがひとつあり、二つ目の中間バランスはベースの後「2」に向かっている途中にある。これを英式では1歩と言う。

だから後ろ足の左足を引き寄せて両足がベース上で揃うあたりが「音の中心」だと表現しているのです。

「1」のベースから「2」に向かう途中の前半ではまだ「1」が残っていて中間バランス(二つ目)を作り、と同時に「1の後半でライズを始める」。

「1」と「2」の間の後半の部分は「2」の領域になる。英式の音はステップした足を「1」というベースに置いた時が「1」ではない=日本式「足を置くタイミングを音楽のビートの頭に合わせようとする」。

「足型」の説明では「1」とか「2」だけでは誤解を招く。足型を説明するための便宜上であって、実際の踊りではない。

「足」ではなく「体」の動きに注目すると分かりやすい。冒頭の「体の動きを音楽に合わせて」踊る、が何を意味しているか?これが答えだと思う。

踊っている最中、音楽をしっかり聞くというのは、難しいと言われますが、それでは我々のレベルではどうしたら良いのでしょうか?今からでもしっかり努力して追いつくようになるのも一手ですが、最初のスタート時の出だしを合わせれば良いのでないでしょうか?

ワルツなら先行のイントロ4小節の4,2、「3」を聞いたら同時に「体を動かし始める」。これは社交ダンサーの殆どはやっているはず。

踊りの途中で音が早くなったり遅くなったりはお愛嬌?踊っている際音楽に集中しなさい、と言っても、足型のこと考えて次はどのフィガーにしようか、このステップはもう先ほどのコーナーでやったからまた同じでは芸が無いからなど。お相手の動きは少し鈍いなとか、他の組が進行方向を邪魔しているとか、ぶつかりそう、どう動いたら良いのかなど内心一瞬でも考えていると音楽から離れて行ってしまう。

申し合わせでフィガーの順番が決まっている競技ダンスとかデモは、それなりの他の心配・注意事があるかも知れませんが、上記の項目はあまり気にする必要はないのではないかと思います。なるべく音を外さない「努力項目」程度で楽しく踊りましょう。
 

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