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ダンスの「送り足と引き付け足」

「送り足」とダンス=日本人の歩き方
年前に横浜市大のエキステンション・講座Ⅱ「ボールルーム・ダンスの魅力を探る」というのがありまして5回コースで専門家が話をしてくれました。専門家と言ってもこの先生方たちもダンスをしている方々でした。

そのコースのひとつに「日本人の歩行とボールルーム・ダンスの歩行の比較検討」というのがありまして、その受講の時はあまりこのテーマを意識していませんでしたが、今は凄く興味を持って調べています。

 
どうして中高年者のダンスは歩くダンスなのか?音とステップだけに
合わせたのが音楽に合っているダンスなのか?

上級者の踊りのスピードはどうして初級者と比較して速いのか?高齢者は脚力がないからスピードがないのか?

 
私が分かったのは、上記の理由ではなく、主な理由は「送り足・引き付ける足」がなくダンスをしているからです。

これで全部が説明できるわけではありませんが、送り足と引き付け足を身につければダンスは滑らかにスムーズに力強くなります。姿勢・構え・歩き方ができないと綺麗なダンスは無理です。逆に言えばこの3点を重点的に練習することです。

先生は音楽が流れているところに足(身体)は点としてカウントされるのではなく、点があるがその点を繋いでいる線があり、そこに乗り点に繋がる、と説明します。

 
1歩1歩足を出していたら点と点を繋いでいるだけになります。例えば、タンゴならブレーキをかけたところに、アクセルでタメをつくり、ドライブに入れて発車するイメージです。

2歩目や3歩目は惰性で動く。ワルツなら先行フィガーの<3>でロアーして、その勢いを現フィガーの1で維持。この辺りから1の後半?辺りからライズ開始。ウォークしてスウィングです。2と3は惰性です。

 
ですから脚力は使わない、使うとしたらロアーの時どのくらいロアーできるか。競技選手のVDOを見ると90度ぐらいなっていますが、我々のレベルではそれは出来ないので自分の出来る範囲で。

でもロアーはダンスの慣性を(推進力)を作るためにあるという認識が重要です。これは重力を利用すると良い。

端的に言えば、スイングダンスの踊り方は、前の小節の終わりのカウントでロアーして、ワルツなら3、1、2なのです。1でロアーをしてはいけないのです。1,2,3だと思うとロアーしてしまいます。なぜか?テキストに<3の終わりでロアー>と書いてあります。

 
前に習っていた先生は、シャドーはスローモーションでする。ワルツなら12で終わり、3はロアーして足の踏み替えだけだから3までする必要ない。どっちかの足を浮かせて終わり、特にタンゴはワルツ以上に上げて、つま先は下にラテンみたいな形になる時がある、と言ってました。
 
送り足の仕方は皆さん既にご存知でしょうから詳細は述べません(知っているのと実際に実践できるのは別として)。前進は軸足の膝を緩め、倒れる寸前まで我慢する練習からスタートする。動脚の足はスルスルと床を滑らせるようにして最終的にはカカトから着床。
 
後退は動脚の足は後ろに用意しておく。つま先から着床するようにして、その後軸足の膝を一瞬前に出してから後ろに押すんですね。この時は後退ですから仙骨は反っているはず。すると安定が悪いので動脚のつま先を用意しておく。スイングダンスのワルツやスローはつま先を用意。タンゴはボールで用意。それはライズを避けるためと読んだことがあります。

(この辺りは細かいので気にしなくても良いのかも知れない)。それより基本中の基本の「1歩」とは何か?をここでも説明します。「閉じた両足から次の両足を閉じた所まで」。閉じると言ってもピッタリではなく、前進なら引き付けた足は軸足より少し前方に、後退なら動脚は軸足より少し後方に位置してスタンバイしている形です。

 
 
 
日本人のダンスは前のめりになってしまうというのは、歩くときの重心が親指にある。屈筋姿勢が多い。股関節が屈折している、などが挙げられますが、根本的には引っ張っている動作で行動が終わるので、前のめりの姿勢が適している。
 
ダンスでは後ろ重心で筋肉は背中側にある伸筋を使う。ナチュラルターンなら予備歩から「リヤカーを押す」イメージで動く。よく言われる表現は「誰かが後ろから押しているのをイヤイヤして抵抗しながら動く」。絶対に引っ張ってはいけません。

送り足と同時にしなければいけないのは、引き付けること。引き付けて後ろ脚(軸足だった)を直ぐに持ってくる、それも現軸足の位置より少し前方まで。スパイク靴を履いているかのように前足は身体全体を引き付けるのです。

これが日本人の初心者のダンスには無い。ステップの基本は送り足と引き付け足です。

送る足の踵を意識して使うこと。その時膝は緩んでいること。つま先まで重心が動いたら=送っている。その時は動脚はつま先からスルスルと動き最後に踵から着床する。

着床したら重心は中間バランスだった脚と脚の間から動脚に移るので、移ったらすぐに軸足だった後ろ脚を引き付けて両足を揃える。

この時も引き付けようとする後ろ足は床から離さないで動かす。練習する時は上体の姿勢も意識する。決して前傾しない。

 
皆さんが実践・練習している
と仮定して、この文章を書いています。送る足は(軸足)カカトを主体にして送るべきか、足の前方辺りの裏を使うべきかどうか、自分でどっちが力が入ったか実証して下さい。

武道ではカカトを中心にして足の裏全体です。効率よくエネルギーをセーブできます。宮本武蔵もカカトは重要とかどこか「五輪書」で言ってます。(今は思い出せませんが)ダンスでは前進のフットワークは<H・T>ですからヒールで着いて足裏全体を使いトウに抜ける。この辺り表現的には同じなのか微妙に違うのか私には分かりません。

以上です。

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