見出し画像

ここまでわかった「新型コロナ」抜粋③

京都大学大学院特定教授 上久保靖彦 小川榮太郎 文芸評論家

【2024年10月からXBBワクチン(新型コロナ)の接種が始まる。私はコロナがまだ高みの見物という段階の時、ダイヤモンドプリンセス号が横浜港に入港して来た時、新聞・テレビなどのマスコミで言われているコロナ論の真実をこの本から学びました。一挙に5回に分けて投稿します。(PDFを変換したので行や段落が乱れて読みにくいかも知れません。申し訳ないです。また図や表はカットしました】。

*危ない国はリストマップで分かっていた
小川:インフルエンザから統計的にこうなるというのを割り出したのが疫学。一方でGI SAIDからの遺伝子の変異は実証科学であると。
上久保:で、何月何日に入って来ているということは実証ですね。

小川:そうすると、理解に幾つかの段階があると思うんですね。まず変異があるという理解。そして、変異をきちんと遺伝子情報から追跡できるという理解。それが集団免疫の形成とどう関わるかという理解。

そして変異については、最近日本独自の変異を公表した国立感染研だけでなく、先生も日本独自の変異に言及されて久しいですね。【最後の変異の部分は皮肉ですね】
上久保:日本独自の変異が生じていて、しかもそれももう終わっています。あと、どれだけ残っているか、どこで終わるかということも把握できています。

小川:カラー図Ⅱ、Ⅲの欧米リスクスコアを3月の下旬に出されていますね。【Ⅱはヨーロッパの図でイタリアやスペインはリスク高いと示されている。Ⅲはアメリカでカリフォルニアはハイリスクですね】

上久保:これは『Nature』に3月19日に投稿したスコアですね。その時点でここまで分かっている。勿論修正していません。
小川:これは先程お話いただいたインフルエンザ感染状況から割り出された新型コロナのリスクマップですね。

上久保:そうです。発表当初は、当然この通りになるかどうか不明でした。でも今は、どの程度リスクスコアが正しいか、外れているか検証できますから。中国も、アジア各国のリスクスコアも算定しています。

小川:三月の段階で先生が出したのは、リスク度の高い国は、イタリアとスペイン、イギリスがハイリスク。次いでフランス、ドイツですね。

上久保:ちなみに集団免疫を達成するという手法は、失敗しているんじゃないかと言う私への批判に、しばしばスウェーデンが挙げられます。「集団免疫」の獲得を目指して緩い対策をとって来ました。その結果被害が拡大したのではないか、と。

しかし、最悪期に1 15人に達した一日の死者数も、その後ゼロになる日もあり、死者はトータル5700人くらいですが、収束が見えています。
ただね、スウェーデンはリスクスコアでご覧になると分かるように、実はノルウェーやフィンランドなど周辺国よりリスクが高かったのです。

だから私が当初助言するとしたら、スウェーデンは、ノルウェーやフィンランドよりも、ロックダウンを厳しくしなさいと申し上げたと思います。

 ロックダウンは感染するスピードを抑制します。スウェーデンは抑制することによって医療破綻しないようにする必要があったのです。逆にノルウェーとフィンランドはロックダウンする必要はなかった。リスクスコアはそういう判断に使えるので、私たちは公表したのです。

小川:この図によりますと、ポルトガルも非常に安全で、実際の死者数も1700人くらい。隣国なのにスペインに較べて。。。

上久保:圧倒的に違います。10万人当たり死者数にきちんと反映してますでしょ。アメリカの州ごとのリスクスコアについても、相関性は凄く高いです。

例えば、カリフォルニアは、死者が少ないから大丈夫と言われていたけど、今、ここに来て増えています。
小川:先生は3月初旬にアメリカは、第二、第三、第四の武漢が多発するだろうと言っておられた。

上久保:ADEがプラスされたから、こうなりましたね。
小川:ADEとは何を意味するのでしょうか。
 
上久保:「抗体依存性感染増強」のことです。本来ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞へのウイルスの感染を逆に促進してしまう怖ろしい現象です。急激に症状が悪化し、死に至ります。

欧米を中心に凄まじい劇症化例が多数報道され、世界を恐怖に陥れましたね。あれはADEによるものでしょう。ADEの詳細になメカニズムについては明らかになっていないことも多いのですが、複数のウイルス感染症でADEに関連する報告が上がっています。

例えば、SARSやMERSに対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、ADEが原因と考えられています。

小川:今回、非常に多くの死者を出した国では、医療崩壊による超過死亡のみならず、そのADEが生じていたのではないかと先生は推測されるわけですね。

小川:それにしても、ここまで的中率が高いスコアを3月に既に出している。インフルエンザとの相関性から割り出した数式があるわけでしょう?
上久保:そうです。数式があります。新日本科学というCRO(Contracted Research Organization)にその計算式を、高橋先生が登録しています。

インフルエンザの流行カーブの計算が分からないというご質問が時々あるのですが、計算は単純ではありませんの で、詳細については、新日本科学にある計算式を見て解析していただく必要があります
(アドレス 略)。

小川:単なる仮説だと言っておられる方は、先生が数式を出しているのに見ていないように見受けられます。

上久保:理論疫学者自体が理解できていないようですからね。
小川:それは理論疫学のどういう点が問題だとお考えになりますか。
上久保:例えば、理論疫学者たちは、今回コロナのR0を2.5と計算していますね。

小川:クラスター班の西浦正教授などそう計算していましたね。
上久保:ええ、でも西浦さんだけでなく世界中の学者がそうなんですよ。それはなぜかと言うと、既に感染していることに気付かずに、今、これから上陸して来ると思ったからです。

しかし、何度も申し上げているようにそうじゃない。新型コロナと名付けると特別な存在と思ってしまいますが、そもそもコロナウイルスなのです。
変異が入っているだけで。

だから例年通り無症状で大量に入って来ていたのです。武漢G型のR0は、5.2、欧米G型は6.99ということを、我々は疫学的に計算しました。

小川:非常に高い値何ですね。そこまで感染力が高ければ無症候のまま大勢に移るわけだ。しかし、そうすると、クラスター追跡で感染を防ぐなんてどっちみち不可能じゃないですか。感染力が強すぎて。

勿論、感染者を特定する方法としては、のべつ幕なしにPCRをやるよりも、クラスターの範囲内で追っていく方が合理的だとは思いますが、コロナウイルスに置いて、クラスターを追跡していれば、感染自体をストップできるというのは、あり得ないでしょう。

上久保:それは無理ですね。押谷教授や西浦教授は、8割以上の感染者が濃厚接触者の誰にも移していない(R0≒0)一方で、三密の条件が重なったところで3~5人以上うつす感染者がいて、クラスターが生じたと捉えています。

R0(実行再生産数)は、ある集団でのある時点において、一人の感染者から平均何人に伝染させるかを示す推定値を指します。

クラスター以外のの感染者は放置していても自然収束するので、クラスター発見と隔離に集中する方が効果的に感染仰止できるという理論建てですが、例えばR0が2.5でも追跡が可能とは考えられません。

それ程ウイルスの展開は迅速です。無症候が軸となるウイルスは、感染カーブが上昇するはるか前に感染爆発を起こしているものだからです。

しかも、R0=2.5の仮定がそもそも間違いで、それに先立つS型とK型の流行に気付いておられなかった。そしてまた、8割以上の感染者が誰にも移していないというのは、その周囲の人たちには免疫があったからだと考えるのが免疫学の常識です。他に考えようがない。

そこで、私と高橋先生は、3月25日~26日、小川先生にお願いして厚労省から西浦先生にコンタクトを取り、私どもの論文をお送りもしました。共同研究を申し込もうと思ったのですが、西浦先生からは拝読し、厚労省と論文を共有しますとの返信があっただけで、その後はなしのつぶて。
 
 小川:ええ、卒直に言って彼の反応を見て、クラスター理論は状況の説明としても対処法としても破綻していると考えましたね。

現実にもその後西浦教授が煽動に近いような発言を繰り返され、日本の新型コロナ対策迷走の大きな原因となったので、これは大変残念なことでした。


*K型が1月13日に入って来た証拠
上久保:考えてみて下さい。武漢閉鎖は1月23日です。武漢の人口は約1100万人です。武官閉鎖の噂が流れた途端に、500万人が武漢から中国、世界全土に出て行って、おまけにその日には、成田に9000人が移動したと武漢市長が言っています。

また、武漢市閉鎖までの4日間で、武漢市から直行便で1700人が日本に入国しています。更に申し上げれば、外務省に調べて頂いたところ、11月から2月28日までの中国からの訪日人数は184万人だった。

 小川:つまり、変異初期のS型の段階で、中国から100万人単位で人が来てしかも銀座から心斎橋、京都、福岡。。。どこでも繁華街では濃厚接触している。中国人は結構声が大きいですから、唾液の飛沫も日本人の比ではないでしょう。

11月から1月までにS型の曝露もすごい数がいて、K型が入る1月中旬からも制限していないからフリーで入って来たわけですね。インフルエンザ曲線が日本中で1月13日近辺の週で急減してますから、K型はそこに入った。

 上久保:クラスター班が何人で追跡しているか存じ上げませんが、数百万人もの中国からの旅行者が訪日されている。それを2月下旬から少人数で追跡して効果があるかどうか、考えて頂ければ分かるでしょう。

でもクラスター追跡法は使いようではあると思います よ。エボラ出血熱などには使ったらいいんです。
では新型インフルエンザに関してクラスター追跡は有効かどうか。この辺りは今研究中です。私と共同研究者の高橋先生の間でも意見が違います。

小川:インフルエンザの場合、症状がはっきりしているからコロナとは違いますね。

上久保:ええ、誰に感染するかということが分かるから、クラスター追跡法も感染抑止に効果があるかも知れません。
 
小川:しかし先生、インフルエンザだったら、クラスターで追跡しなくても、自分が40度の熱になって、ぶっ倒れちゃうんだから。で、家族も「近寄らないで!」となる訳でしょう。

上久保:ただ、インフルエンザの場合でも、免疫を持っていたら移らないし、無症候の人も結構いるのです。そこはコロナと近い感覚というのはある。

小川:そう言えば、聞きそびれたことがあります。12月23日、S型の入った時は、あまりくびれがありませんでした。ところが、K型で、インフルエンザが突如日本から消える。何でこんなに大きな差が出るんですか。

上久保:これはT細胞の免疫を起こす力なんです。S型ウイルスで出来たT細胞免疫では、サイトカインが弱いんです。なのでインフルエンザの感染カーブの抑え方が弱い。

一方、K型で出来たT細胞免疫は充分な量のサイトカインを出すと考えられる。だから充分にインフルエンザの感染を抑えられたのではないかと我々は考えた。しかし、それを実験室の中で調べろと言われたら、今、検体が無ければ調べられません。

小川:要するにウイルス干渉の強さから逆算したということですね。そこが仮説とされる所以なんですね。しかし、それにもかかわらず私が先生の説に強い妥当性を感じた理由は簡単です。

今回のインフルエンザは、例年より流行が早くて強いと思われていた。それが例年の三分の一で収束しました。


*コロナに用心したからインフルエンザが流行らなかった?

小川:コロナでみんなが用心したからインフルエンザも流行らなかったという憶測でした。

だけど、コロナで日本中が騒ぎ出したのは2月に入ってからです。インフルエンザ曲線を見ると、1月13日の週で急減しています。

コロナで用心したなんて関係ないのです。コロナなんか誰も知らない時に、実はインフルエンザは早くも消えていたのです。

上久保:それに対して、アメリカは、インフルエンザのブームが例年になく大きかったですね。6万人も亡くなっています。
小川:今回ですか?
上久保:そうです。前年も物凄く多かったですね。
小川:つまり日本とは逆に、インフルエンザの方が猛威を振るってしまっていたのです。

上久保:そうです。だからコロナが入りにくかった。
小川:しかし、これだけ相関性があるのにきちんと議論の俎上に二載せない専門家たちって一体どうなっているのでしょうかね。

R02.5にしろ、クラスタ追跡にしろ、検証されないで常識化されてっしまう例が山ほどある。
 
それに対して、上久保ー高橋モデルは、リスクスコアを先回りして公表した。これは危険なことです。もしリスクスコアが大幅に間違っていたら、先生方は恥をかくだけですから。

ところがいつまで経っても証拠不十分だという曖昧な批判がなされる。R0が2.5とか何十万人死ぬなんて言っている人が、大手を振って、堂々とメディアに登場する。

 上久保:アインシュタインが、EはMCの二乗と言った時に、それを理解できたのは世界で 5人しかいませんでした。EはMCの二乗というのは実験室では証明できないからです。

でも、結局、時間が経ってきたら、そうとしか考えられないということで、今は誰も疑わなくなりました。私どもの理論も証明されていくと言うことは必要なんです。時間がある程度経たないと、証明されていかないのは仕方ないかも知れません。

後になって分かる。パンデミックはラボでの証明を待っていたら終わってしまいますよ。ではどうしたら良いのか。科学者は必要性がある時には、大胆に踏み込んででも、予測スコアを出すべきと思います。

④に続く
 

いいなと思ったら応援しよう!