[特定社労士試験]第1問(事例)小問(2)(3)の解き方 前編
こんにちは。ににです。(自己紹介はこちら)
今回は、第1問(事例)の小問(2)・(3)についてお話しします。
※第15回(令和元年度)~第19回(令和5年度)がすべて同じ問題構成・形式のため、その形式に沿っての解説です。今後の試験において、形式が変わる可能性があることをご承知おきください。
なお、試験全体の問題の構成は、以下の記事でご確認くださいませ。
第1問(事例)小問(2)(3)の内容
小問(2)と小問(3)は以下のような設問文で出題されます。
見てわかるとおり、設問文の構造はまったく同じで、表裏の関係にあります。XとY社、それぞれの主張を5項目以内にまとめるという内容です。
なので、小問(2)と小問(3)は、同時に解いていくことをおすすめします。構造が同じであるだけではなく、解答要素を選ぶうえでも、両者を比較しながらの方がやりやすいです。
また、設問文中では5項目”以内”となっていますが、必ず5項目書くようにしてください。おそらく、まったく的外れなことを書いたとしても、そこに加点がもらえないだけで、減点されるということはないはずです。
この2つの小問での解答は、ここだけでなく、小問(4)と小問(5)にもつながっていきます。
ここの解答が試験全体の解答の流れを決めるので、ここで「何を書くか」の選択はとっても重要です。
「何を書くか」を決めるための方法論が「フレームワーク」です。
以下の記事で詳細に説明していますので、まだ読んでいないかたは、ぜひご覧くださいませ。
具体的な手順
手順①フレームワークの作成、解答要素の抜き出し
ここから、具体的な解法を見ていきます。
まず、小問(2)の設問文を読み、今回の出題のテーマを把握します。
ここらへんに書いてあります。
そしてこの段階で、問題用紙の余白にフレームワークの表を書きましょう。
この段階では、最上段の「X」「Y社」と、読み取ったテーマから判断した左列の法的判断要素(論点)だけしか書けませんが、論点を一度整理しておくことが重要です。
また、実際に言い分を読んでみると、複数のテーマが絡み合っていることに気づくことが多いです。
その場合は、表に随時論点を書き足していってください。
ちなみに、私が受験した第19回で、私が実際に問題用紙に書いた表は以下のとおりです。
縦軸の論点は4つ書いてありますが、実を言うと、これは上記のように言い分を読む前にスマートに書けたわけではありません。
問題用紙に錯誤の条文が載っていて、「うわっ、錯誤かよ・・・」と思って頭が真っ白になりつつ、とりあえず1行目の「錯誤」と書き、その下は実際に言い分を読んでから書き足しました。
下2つの「真意」と「表示」は、言い分だけではなく問題用紙の【参考条文】まで見て、「これも論点になるな」とひねり出した、というものです。
第19回は、民法の「錯誤」がテーマでした。過去に1回しか出題されていないテーマで、正直想定していませんでした。
でも、こんな風に予想外のテーマだったとしても、フレームワークで論点を設定してそれに当てはまる言い分を探す、という手順を踏めば、それなりに整った解答をすることができる、という例として見ていただければ。
ちなみにがずいぶん長くなってしまいました。
本題に戻って、フレームワークの表を書いたら、それぞれの言い分を読んで、該当する欄にメモをしていきます。
このとき、メモ自体は簡略化しても良いです。その代わり、段落番号を書いておきましょう。
私の場合、言い分の中で論点にできそうなところには、まずアンダーラインを引いていました。
ひととおり読んだあと、ある程度取捨選択して抜き出し、表に書いていました。
書く要素の数は、5つぴったりにならなくても大丈夫です。むしろ6つ以上あった方が、その後の工程がやりやすいです。
この時点でフレームワークの表は完成です。こんな感じになります。
手順②解答要素の絞り込み
6つ以上の要素を抜き出したとして、そこから5項目に絞るにはどうすれば良いでしょうか。
それを判断する基準として、以下の3つが挙げられます。
1.一方の言い分の中でのバランス
フレームワークで、論点をいくつか設定しています。その論点をできるだけ多く網羅できるように、5項目を選びましょう。
これは、
という、試験対策上の効果を狙ってのことです。
もちろん実務のうえでも、クライアントの言い分から主張できる箇所を幅広く探すということはとても重要なので、実務に臨む前のトレーニングとしても大事です。
2.両者の言い分のバランス
令和5年度第19回の小問(3)には、
という一文がありました。この一文は、第17回以降、小問(3)に記載されるようになりました。
あっせんの実務では、申請人(試験においてはX)の申請書に対し、被申請人(試験においてはY社)が答弁書を作成します。答弁書の作成において、申請書に記載されていることについて何も言及しなかった場合、その点については「異論なく認めた」とみなされます。(グループ研修での作成実習の際に、気をつけるよう指導を受けるところです)
それと同じで、試験においても相手の主張を否定できる、ないしは直接反論するような要素を選ぶことが重要です。
究極的には、5項目すべてでお互いの主張が対比されている状態が理想です。とはいえ、それに拘泥しすぎる必要はありません。
満点が必要な試験ではないので、ある程度対比が満たされているなら、それで十分でしょう。
3.小問(4)・(5)につなげやすい要素を選ぶ
3つ目の判断基準は、小問(4)・(5)へのつながりです。
小問(4)と(5)では、小問(2)(3)の解答を元に論じていくことになります。文章を組み立てやすいような要素を逆算して選んでおくと、とても書きやすくなります。
なので、第1問(事例)全体の解答手順としては、
小問(2)・(3)でフレームワークを作り、解答要素を抜き出す
小問(4)および小問(5)の解答の骨子を考える
小問(2)・(3)で解答とする5項目を決定する
小問(2)~(5)を順次記入
となります。
試験全体の解答手順の詳細は、別記事にてご紹介します。
手順③解答用紙に記入する
解答として書く要素が決まったら、いよいよ解答用紙に記入していくわけですが、ちょっと長くなってしまいました。
この先は次回の記事でお伝えしようと思います。
ではまた次回。
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