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新潟時代10.中越沖地震
2007年7月に中越沖地震が発生した。長岡、柏崎で震度6強だから3年前の中越地震の震度7よりやや規模が小さい。当社のある新潟市の震度は5強、午後にも余震があり、震度は通常の5だった。この地震で、自動車エンジンのピストンリングを一手に供給している柏崎のリケン(株)が大きな被害を受け、大手自動車メーカー各社が大々的に人を出して復旧の応援をしていることが、テレビで報じられて話題になっている。
地震による社内の被害は無かったが、柏崎にある当社冷間鍛造事業の協力会社が、かなりな被害があったらしい。当社の冷間鍛造部門は棒鋼を切断して冷間鍛造プレスで自動車駆動系の部品を製造している。独自の技術で他社では出来ない長尺部品の鍛造を可能にして、安定した受注を確保している。主としてトヨタ系の部品組み立て会社に収めているが、冷間鍛造後の部品の最後の加工を柏崎の協力会社に依頼している。
その後、柏崎の協力会社の状況が分かってきた。強い揺れで、機械設備の位置がずれ、棚が転倒し、操業できない。通常、そこで加工された部品は、愛知県のA社に収めて、A社がアッセンブリーして、トヨタに収める。柏崎の加工会社が、3日止まると、A社の生産に支障が出て、1週間止まると、トヨタのラインが止まる。
地震の次の日、道路が復旧したので、当社はその協力会社の復旧を応援しようと、ワゴン車2台に飲みもの、おにぎり等を積み、更に停電しているとのことなので、発電機も載せて4人が現地に向かった。勿論、無料の出張大サービスだ。幸い、2日ほどで復旧し、なんとかなった。
それにしても、当社のような細かい機械部品から、自動車会社の最終組み立てラインまで、途中の在庫がほとんどない 。在庫が少なければ、余計な倉庫も要らないし、物流も楽だし、費用も節約できる。
通常、当社の部品は、新潟から毎日、指定された数量を、指定された時刻に、愛知県のA社に送っている。各社、メーカーはいつも綱渡りの生産をやっている。こんなことは世界でも日本しか出来ない。コストは抑えられるが、不測の事態も考えられ、賛否両論がある。