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花粉症

 2012年3月の日記です。
 
 20年ほど前の、ある春の日、突然、鼻がむずかゆくなり、
大きなくしゃみをすると、横にいた妻殿が、
「あ、花粉症だ、嬉しい、」と手をたたいて喜んだ。
我花粉症の始まりだ。
 
 妻殿はずっと前から花粉症で、毎年春先になると、
目を赤くしてマスクで鼻を覆い、いかにも辛そうな様子だ。
当方が、花粉症など本当の病気ではないのだから、
少々我慢していればそのうち直ると、
口には出さないが、やや冷たい態度だったので、
これで私の長年の苦しみが分かるだろうと、大喜びだ。
 
 病気ではないのだから、鼻をかんでいればいいのだと、
最初は意地を張っていたが、数年後に少し素直になり、
医院に行き、薬をもらうようにした。
ここのところ、毎年、本番前の2月中旬に医者に行き、
予防効果もあろうかと、あらかじめ薬を服用していたが、
今年は花粉が少ないのか、症状がなかなか出てこない。
 
 それでも、3月初めにいつもの医院に行き、
そろそろ花粉症だろう薬を処方してもらいに来たと言うと、
医師は、え、世の中はすでに花粉症が蔓延していますよ、
自分もとっくに花粉症でくしゃみが出て、
目が痒く、苦労しているとのこと。
 
 薬はどれにするかというので、ポララミンを一日1錠でいいと言うと、
それだけでいいのか、目薬や鼻噴霧薬はいらないかと訊く。
いずれも断ると、ずいぶん素直な方ですね、とか。
 
 以降、毎朝ポララミン1錠を服用しているが、
花粉症らしき症状はほとんど出ない。
妻殿も最近は、ほとんど花粉症はなく、薬も必要がないらしい。
花粉症はアレルギー反応、つまり自己免疫による正常な反応だから、
反応が軽くなった、ということは、
年齢のなせる業・・・だろうと、些か寂しさを覚える。

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