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冷酒と蟹
2015年2月、山陰柴山蟹一泊旅行の日記です。
先日の土日は山陰の柴山に蟹一泊旅行だった。
往きの土曜日は特急券が取れなかったので、
姫路から播但線、山陰線の二両編成、一両編成の
ワンマンディーゼル車を乗り継ぐ。
冬の山々は落葉樹の白っぽい枝が目立ち、些か寂しい。
やがて海が見え始めると、柴山に到着、
ホテルに着いたのが、15時前だから、4時間かかったことになる。
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ホテルは道路を挟んで柴山湾の正面に位置し、
民宿でも通りそうな、小さな5室の宿屋だが、
海を臨む客室は洋と和の広々とした続き部屋で、
ベランダに面して開放的な風呂もある。
調度品も吟味され、文字通り贅をつくしており、内と外とは大違い。
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部屋に荷物を置いて直ぐに正面の砂浜に出る。
海が陸地に大きく切り込んだ柴山湾は左右も奥行きも
数キロあり、浜辺は日本海とは思えず波静かだ。
夏には海水浴場になるそうだが、冬は人が疎ら、
真っ白な浜のあちこちに海藻が打ち上げられ、
カモメやとびが夕日を浴びて群れている。
浜際の濃紺の海は沖に向かって薄青に変わり、
遠く、湾の入りに左右から緑の岬が迫り、
先端の灯台が赤と青の光を点滅させている。
時折、外海の水平線から白い漁船が入ってくる。
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湾に沿って左に1キロほど歩くと、桟橋を突き出した漁港に出る。
並列に浮かぶ白い漁船は、瀬戸内海の漁船より一回り大きく、
くっきりした黒い影を水面に落としている。
柱と屋根だけの建物内に並んでいる多くの水槽には、
海水が流されているが、なにもいない。
漁船が入港すれば蟹で満たされるのだろうか。
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ホテルに戻り、一風呂浴びて、暫し海を眺めながら、ボ~っとする。
夕食は、蟹刺、蟹味噌、ゆで蟹、焼き蟹、蟹すき、と果てしなく蟹蟹蟹。
きめが細かく甘みがあり、いくらでも食べられる・・・
つもりだったが、流石に満腹になり、最後のおじやは一杯で終了。
蟹を食べ始めると手も口も忙しく、静かになるが、
合間を縫って、冷酒とワインも呑み、至福の一日だった。
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