テレビショッピング

　昨今、監視人殿はテレビのショッピング番組を見ながら、何やらノートに書き込んでいることが多い。暇つぶしのようでもあるが、半分買う気になっているのだろうと心配もする。

　先日、監視人殿が、テレビを見ながら熱心にメモしていた番組は化粧品の販売促進だ。最初に81歳の女性の顔が出てきて、この化粧品を使うとこんなに生き生きとした若々しい顔になります、当社は新たに、○○成分を見出し、それが肌に沁み込むと・・・という理論を開発し、業界で初めて製品にしましたと、図解入りで理論的（？）に説明する。更に再度81歳の顔を見せて念を押す、出演者の数人が口をそろえてほめたたえる。成程よさそうだなと思ったところで、こんなに素晴らしいものですが、普段の価格5980円を、今回この番組が終了後30分までの間に限り特別に2990円で提供します。ただし、○○個までとしますので、お早めにお電話ください・・・。今回はそこ迄だったが、普通はこの後に、それだけではありません、3個一緒にお買い上げいただければ3990円とします、しかも特別に○○もお付けしますので、大変お得です。直ぐにお電話ください・・・と続くのが定番だ。

　時間がたつと、視聴者は冷静になるし、まして一晩寝れば殆どの人が、品物はいいかもしれないが、買うほどのことも無いと考え直すことを、よく分かっているようだ。

　今回、監視人殿は81歳を見て買う気になったようで、直ぐに電話して注文したが、案の定、３個まとめてお買い上げいただければ幾らになりますが、いかがでしょうか、と言われたとか。それはお断りして1個だけにした（と自慢していた）。番組で3個まとめれば云々を加えなかったのは、それなりの作戦があってのことらしい。

　現役時代、毎日のように何かを決めなければならない局面があった。直ぐに決める事が大半だが、場合によっては結論をわざと数時間遅らせることもあったし、偶に自分では結論が出ているつもりでも、その日に結論は出さず翌日に持ち越すこともあった。一晩寝ると、意外にも結論が変わることもある。

　テレビショッピングの番組構成は、それなりのパターンがあるが、毎回同じストーリーでは視聴者に飽きられるから、いくつかのパターンを組み合わせ、更には新たなパターンを作る必要もある。奥が深い・・・・らしい。