ランチと絵
2008年2月19日の日曜日、優雅な一日だった。
昼、次男夫妻に誘われ、赤坂の某ホテル内の日本料理店で、会席料理を堪能した。次男は、このところ海外出張が多く、航空会社のマイルが溜まり、期間内に使い切れないので、それを使いたいとのこと。理由はどうあれ、息子に奢ってもらう事は生まれて初めて、多分最初で最後だろう。
コースの内容は特に奇をてらっているわけではなく、普通の会席料理だが、全てが当たり前に美味しく、納得する。前菜は早めに出てきたが、その後の料理が出てくるインターバルが長いから、必然的にじっくりと味わいながら食べることになる。ワインは白のシャブリが和食によく合う。
個室はとらなかったが、窓際のゆったりとしたテーブル席で、他の客は全く気にならない。庭の池の鯉が優雅に泳ぐ様を眺めながら、近況を報告しあい、何の気兼ねもなく、ゆったりとした気分で食べるから、余計美味い。
ランチの後、彼らは銀ぶらに、我々は京橋のブリジストン美術館に行く。 相変わらず、印象派を主体に展示してあるのだが、順路の最後に、日本人画家の部屋があり、関根正二の「こども」が展示されていた。
3歳くらいの男の子が足を前に出して座っている。ふっくらした頬が赤く、着ているものも、かすれた赤だ。子供の顔ではあるのだが、何か深刻なことを訴えているのに、それが理解されないといった感じで、関根自身のことかと思う。
関根は20歳の若さで亡くなったのだが、あまりの貧困生活で、バーミリオンの赤油絵の具が高価でなかなか買えなかったとか。代表作「進行の悲しみ」に書かれている数人の女性のうち、赤を着ているのは中央の一人だけで、彼が恋焦がれた女性だと言われている。