発明家
2012年8月の日記です。
実は、私は発明家なのです。
若い頃、世界各国に出願した発明は150件ほどあり、
業界ではそれなりに名前を知られていました。
勿論、業務上の発明なので、特許権は会社が保有しますが、
その発明によって会社が得た利益の極一部を
発明者に還元する制度があり、
年に一度、かなりな金額を現金でもらっていた時期があります。
その頃、封筒に入った札束をそのまま家の箪笥に隠し、
呑み会の都度持ち出して、使っていましたが、
1年間の呑み代を補っても余りある金額でした。
監視人殿に見つかって、半分ほど取られた事もありますが、
今となっては笑い話です。
経営者になった今も、気分的には、
自分はあくまで技術者、開発者、且つ発明家です。
1年前に研究開発部門のトップが役職定年になったので、
社長の自分が兼務すると言ったのですが、
技術系の役員にそれでは下が育たないと、
正論を言われてすごすごと諦めました。
少々自慢話になり心苦しいのですが、
昨年、当社が出願した(発明者は私)特許が、
業界の注目を浴びています。
出願後、細かな設計と試作の試行錯誤を繰り返し、
全国数箇所で試験設置もして、
漸く製品として完成し、市場に投入しようとしています。
従来品に比べて格段に優れた性能と寿命ですが、
コストは殆ど変わりません。
学会で発表し、業界紙でも何回か取り上げられ、
同業他社は戦々恐々です。
当社は積極的に他社に技術供与するつもりで、
数年後にはこの業界の製品は殆どが当社の方式になる・・・
と思っています。