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ローカル線の旅:特級雷鳥、只見線、流氷ノロッコ号

 以下、200X年の新潟時代、ローカル線の旅です。
 
・その1,冬の日本海、
ある年の冬、新潟から列車で、京都に向かいました。
仕事なら、飛行機で伊丹に飛ぶのですが、
何せ連休の暇つぶし、冬の日本海を眺めながら
のんびりと列車で行こうというわけです。

 新潟発の特急「雷鳥」に乗り、
越後線、信越線、北陸線、湖西線を経由し、
6時間かけて、京都まで直通です。
 
 出発後暫く、越後平野の田圃の真ん中を通過し、
柏崎を過ぎるころ、平野は終わり、海岸に沿いを走ります。
窓の外は冬の日本海、強い北風が、海面に無数の大きな波を作り、
波頭が崩れて白い飛沫を被せます。
上空は日差しを閉ざす、灰色の厚い雲が覆い、モノトーンの世界です。
ヒュルリ~・・・森昌子の声が浮かびます。
 ひたすら日本海を眺めながら直江津、糸魚川、滑川を過ぎ、
富山の手前で内陸に入り、現実に戻りました。
酒を飲みながら、駅弁を食べて、うとうとしているうちに、
琵琶湖の西岸沿いを南下し、目的地京都に着きました。
 
・その2、只見線
 新潟の小出から会津までの只見線は、
無電化、単線の典型的なローカル線です。
冬の小出は豪雪で知られていますが、夏は酷暑になります。
その猛暑のある日、小出駅で只見線のホームに向かうと、
緑色に塗装された、2両編成のディーゼル車が、
窓を全開にして待っています。

 特に旧い車両ではないのですが、
兎も角、エアコンはありません。
社内はガラガラで、乗客が10人ほど。
旅行者(つまりよそ者)らしき人は、
我々二人だけで目立ったのか、
年配の女性が、どこに行くのかと聞くので、
入広瀬村まで、と返事をすると、
では、ひめさゆり荘で、一泊ですねと、言う。

 一瞬、何故分るのか不思議でしたが、少し考えると、
只見線は昼間一本だけだから、その日は帰れず、
入広瀬村の宿泊設備は、ひめさゆり荘のみ。
真夏の暑さと、深緑のまぶしさが、印象深い小旅行でした。
 
・その3,流氷ツアー
 真冬の2月はじめ、網走駅から
知床斜里行の「流氷ノロッコ号」に乗りました。
 
 ディーゼル機関車が、展望客車4両を引っ張り、
ゆっくりと知床の海沿いを走ります。
海側の大きなガラス窓に向かう木製のカウンター席に座り、
灰色の海を眺めながらビールを飲みます。
暖房は、だるまストーブ、
車掌さんが、途中、何回か、石炭を入れに来ます。
誰かが、するめいかを焼いて、良いにおいがします。

 暫くは、ところどころに白い氷が浮いている程度ですが、
列車が進むにつれ、沖に氷の団体が現れ、
徐々にこちらに向かってきます。
知床斜里に着く頃には、海は全て氷に埋め尽くされ、
雪に覆われた海岸との区別がつきません。

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