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死刑制度について一言

 「袴田事件」の2度目の再審は5月に結審し、9月に判決が言い渡される予定になっている。一旦は死刑が確定した袴田氏がいまも生きておられるから、仮に無罪だったとすれば少しは救われる。
 
 1996年静岡県清水市横砂の民家で味噌製造会社の専務一家4人が殺害されて集金袋が奪われ、この民家が放火された強盗殺人・放火事件で、被告人として起訴された袴田巌に対し、1980年死刑の有罪判決が確定したが、袴田氏は冤罪を主張しており、死刑確定後の1981から2度の再審請求を行っている。
 
 同じ再審請求が進行中の事件に「飯塚事件」がある。1992年、福岡県飯塚市の小学1年の女の子2人が誘拐・殺害され、朝倉市の山中に遺棄された事件だ。この事件の犯人とされた久間三千年は、死刑が確定しすでに刑が執行されているが、久間元死刑囚の妻が2021年、福岡地裁に2度目の再審を申し立て、今年2月まで審理が続けられ、福岡地方裁判所は本日5日、再審を認めるかどうかの決定をくだす。
 
 再審が認められても、決着がつくまではまだまだ時間がかかるだろうが、何方にしても久間氏はすでに死刑が執行されており、この世におられない。近親者の名誉の問題はあるだろうが、何方にしてもむなしい気もする。
 
 そもそも、民主主義国家として、死刑制度は間違いではないだろうか。殺人被害者の近親者の思いは深いものがあるだろうが、それにしてもどんな犯罪者といえども、生きる権利だけはあるのではないだろうか。
 
 国連加盟国全体を見ると、死刑制度残置国はおよそ3割の55か国で、そのうちの更に3割、つまり国連加盟国全体の1割程度が2022年に死刑を執行した。死刑の執行数は、中国が千人単位で圧倒的に多く、イラン、サウジアラビアがつづいている。
 
 OECD加盟38か国に限ってみると、死刑制度を残置しているのは、米国、韓国、日本の3か国のみ。米国は過半数の州で死刑を廃止又は執行停止しているし、韓国はこの20年、死刑執行をしていない。日本だけが真面目(?)に死刑を執行している。

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