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契島(ちぎりじま)
今日から日常に戻り、早速過去日記をアップします。
1998年福山単身赴任時代の旅行記を続けます。
新緑の土曜日、福山に来た監視人(妻)と共に、呉線で竹原に向かいました。呉線は途中、瀬戸内海の海岸際を走り、窓の真下まで海が迫り、海の底まで覗けます。海を眺めているうちに、やがて、竹原に到着しました。
竹原は瀬戸内海の小京都と言われ、というか、自分たちでそう言っており、市の一角が、それなりの風情を演出しています。著名な酒屋や、竹鶴邸などの旧家が点在し、歴史資料館もあります。観光で、町(市)おこしというところでしょう。
いくつかの旧家を見学して、街並みを味わった後、蕎麦屋に入り、ゆっくりと酒を呑んで笊蕎麦を食べましたが、まだまだ、午後の時間はたっぷりあります。気分よく、ぶらぶらと、竹原港まで歩くと、静かな海面の向こうに大小の島が点在し、如何にも瀬戸内海です。
フェリー乗り場に小さな連絡船、艀にエンジンがついたような木造の船が、客を待っています。契島(ちぎりじま)と言う、味のある名前の島に行くらしいのです。面白そうだと、その船に乗りましたが、料金を払うべき人は見当たりません。直ぐに出港し、20分ほどで契島に着きました。
ところが、様子が違います。岸壁の直ぐ向こうに、門があり、東邦亜鉛契島精錬所と書いた看板がかけてあります。島全体がその会社の敷地で、専用の生活船だったようです。社員の家族と思しき10数人が、買い物や通学の為に乗り降りします。自転車を載せるのを手伝う様子では、皆、隣近所のようです。
我々は、完全によそ者なのですが、誰も気にしません。暫し海を眺めて時間を過ごし、同じ船で竹原港に戻りました。広々とした瀬戸内海の、開放感抜群の小船旅でした。勿論、無料です。
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