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善(よ)く敗れる者は・・・

 2012年2月の日記です。
 
 最近読んだ本では、北村薫の
「街の灯」「玻璃の天」「鷺と雪」の3部作が出色だった。
戦前の東京の風景を、詩情に満ちた表現で再現しているが、
読み進むにつれて、戦争直前の重苦しい雰囲気が漂ってくる。
 
 最後に、「漢書」の含蓄ある言葉の引用がある。
「善く師する者は陳せず」
・「善く陳する者は戦わず」
・「善く戦う者は敗れず」の3節までは解説されており、
「うまく軍を動かす者なら、布陣せずにことを解決する。
しかし、その才がなく敵と対峙することになっても、
うまく陣を敷ければ、それだけでことを解決できる。
さらに、その才がなく実践となっても、うまく戦えば負けない」
と解説されている。
これに続く最後の言葉が
「善く敗れる者は滅びず」だそうだ。
 
 2.26事件の前夜に語っているのが、絶妙なタイミングだ。
戦争に敗れた日本は、誰でも自由に意見の言える民主国家になり、
国民生活も格段に改善されたのだから、
結果としては「善く敗れ」た、のかもしれない。
 
 国でも個人でも、心ならずも敗れることもあるし、
勝てないと分かっていて戦う事もあるだろうから、
勝ち方だけではなく、負け方も考えねばならないらしい。
そう言えば「負けるが勝ち」との言葉もある。
 
 人生の80%を過ぎたわが身を思うと、
公私ともに、失敗や間違いの連続だったし、
事に敗れて意気消沈したことも何度もあるが、
今思えばそれが普通だし、それゆえの面白さもある。
 
 
 追:ロシアや中国が「よく敗れるの」はいつだろうか・・・

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