中間発表:私の社会変革 #未来のためにできること
私は生まれつきアルビノという疾患がある。
外見は全身の体毛が金髪で、とにかく目立つ。弱視もあり、不便さもある。そんなこともあって、特に10代の頃はとにかく自己肯定感が低かった。
人と違う私は、恋愛も仕事もまともにできっこない。そう決めつけて、人前ではふざけたふりをして、よくひとり泣いていた。
高校生の頃に思い描いていた大学生活は、授業にサークルに、アルバイト…毎日充実してにこにこキラキラしたものにしたかった。アルバイトの求人サイトで希望の条件を検索し、良さそうな求人を見つければ、夕食の支度をしている母にケータイの画面を見せた。希望条件には、別に希望なんかしていないけれど「髪色自由」の項目に必ずチェックを入れた。
アルバイトがしたかった。自分でお金を稼ぎたいと思った。スーパーにアパレルなど、会社の規模は問わず、複数の業種を受けたが、全部不採用だった。なかには面接官から「髪色を染めれば採用できる」と言われたこともあった。スーパーの品出しと髪色に何の関係があるのか。
スーパー以外の不採用の理由も髪色だろう。面接官に説明をしても、困った顔をするだけだ。ただただ悲しかったし情けなかった。
結局、大学生活は資格取得と部活に注力した。学生時代の唯一の心残りは、アルバイト経験ができなかったことだ。
その後、アルビノや「見た目問題」の当事者発信を行うようになった。
近年でこそ、ルッキズムやボディ・ポジティブという言葉が広く知られるようになり、世界的にもムーブメントが起こった。
「外見を笑いのネタにしてはいけない」という認識を持つ人が増えたことは、社会がアップデートされていると実感できる。
しかし、活動してみて思うのは、社会がアップデートされるまでにこんなにも時間がかかるのか…ということだ。
先日、近所のスーパーで買い物をしていたら、掲示板に「お店で働く従業員のヘアカラー解禁!茶髪や金髪、ピンクだってOK!」と、様々な髪色をした人のイラストが描かれたポスターが貼られていた。そのお店にはまだ金髪やピンクの髪色の店員はいないけれど、髪色を気にせず働く店員を見ることができるかもしれないと思うと、期待しかない。1枚のポスターによって、10年前の私は少しだけ救われたような気がした。
私ひとりの力ではないけれど、声をあげ続けたからほんの少しだけ社会がよくなった。あの時ほど嬉しかったことはない。もっともっと変えていこう。