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家族の誤った対応は、精神疾患の再発リスクを上昇させる 高EE家族

精神疾患の当事者の家族は身近にいるだけに、接し方によっては患者さんのストレスとなり、かえって再発の危険性を高めてしまう事があります。今回は再発の可能性を高めてしまう家族の感情表出の内容を投稿したいと思います。

患者の病状を悪化させてしまう高EEとは

特に問題になるのが、表情、口調、態度など、家族の人の感情の表し方です。
この感情の表し方を、「感情表出」といい、英語のExpressed Emotionの頭文字をとって「EE」と呼ばれます
患者さんに対して、「批判的である」「敵意を持っている」「情緒的に過度に巻き込まれやすい」といった傾向が強い事を、感情表出が高いという意味で「高EE」といい、そうでない場合を「低EE」といいます。
このような高EE家族の中に患者さんがいると、病状が悪化して再発率も高くなってしまいます。
 
「批判的である」とは、たとえば「何もしないで家でごろごろしている」、「仕事もしないでだらだらしている」、「甘えて怠けているとしか思えない」などと、患者さんに不満や文句を言う事です。
 
「敵意を持っている」とは、「いっそこの子がいなければいい」、「この人のせいで私の人生は台無しになった」、「なぐって根性をたたきなおしてやりたい」など、患者さんに憎しみをいだいたり、攻撃的な態度をとる事です。
 
「情緒的に過度に巻き込まれやすい」とは、「この子は病人だから私がいてあげないといけない」、「この人の気持ちは私にしかわからない」など、過保護や過干渉になってしまうことです。少しの事で泣き崩れたり、冷静さを失うようなことも含まれます。

「高EE家族」の患者さんは再発率が高い

イギリスで行われた研究では、統合失調症の患者さんの家族を、感情表出の程度によって「高EE家族」と「低EE家族」の2つのタイプに分けました。
その結果、退院して「高EE家族」のもとに帰った患者さんは、9カ月以内に再発する割合が50%を超えましたが、「低EE家族」のところへ帰った患者さんの再発率は、わずかに13%でした。
また、この研究では、「高EE家族」が患者さんと接触する時間について、1週間に35時間以上と35時間未満のグループに分けて、再発率を比較しました。その結果、再発率は、35時間以上の家族では69%、35時間未満の家族では28%と、大きな差がみられました。
つまり、患者さんが「高EE」の家族と一緒にいる時間が長ければ長いほど再発率が高くなるのです。
この再発率の高さは、うつ病・躁うつ病などの気分障害についても同じことが言えるそうです。

なぜ家族が高EEになってしまうのか

では家族の感情表出はどのような場合に高くなってしまうのでしょうか。
1つ目は、患者さんの症状が激しく、それが慢性的に続いているような場合です。これは家族にとって相当なストレスであり、そのためつい批判的な感情をぶつけてしまう事があります。
2つ目は、病気に対する理解が不足している場合です。たとえば、症状の為に睡眠時間が長いのを「怠けている」と思い、「しっかりして」としかってしまうことはよくあることです。
3つ目は、他の家族の協力が得られずに、一人で問題を抱え込んでしまう場合です。母親が一人で問題をかかえ込んでしまい。患者さんの症状が悪化すると父親から責められるというケースがよく見られます。父親から責められないように、母親は病気の子供に対して批判的になってしまうのです。
 
このように家族が高EEにならないようにするためには、周りの家族も病気の理解をし、見通しを立てられるようにするとともに、1人の時間を作ってリフレッシュするなどしてストレスを上手く解消する事、周りの専門家に相談して力を借りて、一人で抱え込まないようにする事が大切になってくるのだと思います。また家族の一部だけが病気を理解して患者をサポートするのではなく、家族全体で理解をしてサポートしていく事が必要になるのではないかと感じました。
 
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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