スマホで無料。電波で虚無な4つのゲーム【m7kenji氏製作】
この間、下記の記事を書いた。
この記事では、雰囲気ゲーながらもゲームとして遊びがいがあって万人にお勧めしやすいものを紹介していた。
今回は、万人に受けるかといわれると難しいし、ゲームとしてお勧めできるかも難しい、だけど、雰囲気が独特で見逃せない無料スマホゲームを4つ紹介する。
というより、これから紹介する4つのゲームはすべてm7kenjiさんというクリエイターの方が製作したゲームだ。なので、実質この方のゲームを次々と紹介するような形になる。
一番好きなゲームをあえて最後にしたので、終わりまでめげずに読んでもらえると幸いだ。
①バグトロニカ
恐らくこのゲームが一番、万人受けするだろう。
バグで体が崩れた主人公を操作し、右へと進んでいくゲームだ。
途中でうろついている「むし」はふれるとダメージを受けるので、弾を発射して倒して進む。
道中にいるキャラクターに話しかけると雑談に応じてくれ、弾がそのキャラクターに応じたものに変化する。
キャラクターはランダムで変わる上に、クリアすると話しかけたキャラクターのリストが公開されるので、コレクション性がある。
時には「はい」か「いいえ」の選択肢をせまられるが、反応が変わるだけなので気軽に答えればいい。
進むほどバグは深刻になり、画面が壊れていく。
バグで壊れた世界の最後に待っているのは果たしてハッピーエンドなのだろうか?
ボタンを連打していればほぼダメージを受けない一本道のステージを10分以上進み続ける、死んだら最初から、などゲームとしてはアレなのだが、アート作品的な側面を持つゲームだ。
②Ringo
これも、絵柄がかわいらしくシンプルなので(今回紹介する中では)比較的万人にお勧めしやすい。
一言でいうと、落ちているリンゴを拾い続けるだけのゲームだ。それ以外にすることはない。
一時期流行した『クッキークリッカー』と同じで、「自分の操作により数字がみるみる増えていく」こと自体を楽しむゲームだ。
主人公は指を動かした通りになめらかに動いてくれるので、操作感は気持ちいい。
リンゴを取っていくと背景が変化し、時折BGMが流れたり、謎の文章が表示される。
取りあえず600個ほどリンゴを拾ったが、文章の被りはなさそうなのでかなりの文章量を用意しているかもしれない。
頭を空っぽにして画面の変化を楽しみながらプレイすると、瞑想やサウナの後のような気分になれるような気がする。
③ロクジョーヒトマ
このゲームは、人里離れた山から「ネオトーキョー」に上京してきた若者が主人公だ。
だが「ネオトーキョー」を舞台に壮大なスケールの物語が描かれることはない。
主人公は都会の空気におかされ、引きこもりになってしまう。
せっかく上京してきた主人公は、六畳一間のアパートから出られなくなってしまった。
とはいえ、タイトル画面の「HELP」を見る限り主人公はそれなりに楽しそうだ。
それもそのはず、せまい部屋の中でも、できることがたくさんあるのだ。
部屋の中では何と「歩く」ことができる。
さらに「ため息」をついたり、腹立ちまぎれに壁を「蹴飛ばす」こともできる。
自分は今日どれくらい部屋の中を歩いたのか、何回ため息をついたのか、何回壁を蹴ったのか、何回「押しつぶされた」のか、日記を見れば一目瞭然だ。
ちなみにスマホをシェイクすると、画面がじわっとぼやける。
外に出ることはできない。
④先生
個人的にこれが一番好きだし、やりこみがいもある。
これは一言でいうと、せまってくる壁を避け続けるだけのゲームだ。
昔々ガラゲー時代に流行った『糸通し』や『SF Cave』に近い。
余談だが、『SF Cave』はスマホ版があるので今でも遊べる。何だかんだレトロゲーの域に入っている。
公式HPによると、せまってきているのは「迫りくる人生の壁」だという。
操作するのは、やせ型で眼鏡をかけ、髪をきっちりと分けた「先生」の顔面だ。
「ただの気休め?休めるだけでも有り難いだろう。」
「諦めてハッチを閉めた。戸締まりくらいだったよ。私に出来たのは。」
「500円の食事と1000円の食事どちらを選ぶ?私の場合は気分次第だ。だから私は至って正常なんだ。」
「先生」の言葉が背景を流れる中、人生の壁を乗り越えていく。
BGMとして、冷蔵庫のようなノイズと、隣の部屋で流れているニュースのような、不明瞭で抑揚のない音声がかすかに聞こえる。
見た目はともかく、かつてガラゲーで『SF Cave』や『糸通し』が流行ったことからも分かるように、これは普通に遊べるゲームだ。
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以上である。いずれも、電波で虚無に満ちており、どこか狂気をはらんでいるゲームばかりだ。
普段より家にいる時間が多くなりがちな今こそ、普段はプレイしないようなアート的なゲームにチャレンジしてみてはいかがだろうか。
m7kenjiさんの公式HP:http://m7kenji.com
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※おまけ
ため息や壁蹴りを極めると部屋の中央に「匠」と表示される。
虚無。