積 緋露雪

物書き

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【詩】ガラス窓

斜めにひしゃげた窓枠に ぶらんと垂れ下がりしガラス窓 この部屋も遂にぐるりと回転を始め、 微動だにせぬのは吾のみや 得体の知れぬ時間が到頭破綻した。 これは夢ではなく、 現実のことなのだ。 破綻した時間が見せる世界は 去来現が滅茶苦茶で 世界もまた渦巻き始める。 渦動せし世界の真ん中に ゐるのは吾のみなり。 そもそも世界はさうあるベきか。 固有時といふ言葉があるやうに 世界は一人ひとり違ったやうにあるのであるが、 それを摺り合わせて共同幻想の下、 同じ大世界の中で誰もが微塵の

    • 夢幻空花

      https://ninetailsgold-fox.jp/ja/blog/wp-content/uploads/2024/04/%E5%A4%A2%E5%B9%BB%E7%A9%BA%E8%8A%B1_%E5%8E%9F%E7%A8%BF.pdf

      • 【詩】ガラス窓

        斜めにひしゃげた窓枠に ぶらんと垂れ下がりしガラス窓 この部屋も遂にぐるりと回転を始め、 微動だにせぬのは吾のみや 得体の知れぬ時間が到頭破綻した。 これは夢ではなく、 現実のことなのだ。 破綻した時間が見せる世界は 去来現が滅茶苦茶で 世界もまた渦巻き始める。 渦動せし世界の真ん中に ゐるのは吾のみなり。 そもそも世界はさうあるベきか。 固有時といふ言葉があるやうに 世界は一人ひとり違ったやうにあるのであるが、 それを摺り合わせて共同幻想の下、 同じ大世界の中で誰もが微塵の

        • 【哲学的形而上的な詩】自在なる時間

          自在なる時間 時間にはとても私的だが、 滾滾(こんこん)と湧き出るといふ心像を持ってゐる。 それはいつしかFractalと結びつき 時間はFractalの一事象といふことに固執してゐる。 古くは去来現(こらいげん)といふ今でいふ過去、未来、現在といふ言葉があり、 この言葉の通り、時間は過去と未来を現在といふところで 自在に往き来してゐる何とも不思議なものである。 例へば、現在に焦点を当てると 私の頭蓋内では絶えず過去と未来を往還してゐて さうして現在を歩一歩と歩んでゐる。

          哲学小説『夢幻空花』についてのchatGPT-4との問答

          この小説の作者です。この小説をどう思う? この小説は、非常に実験的であり、抽象的な表現と独自の文体を使っていることが感じられます。深い内省や自己探求のテーマがあるように思われ、虚体と実体の対比、そして自己否定的な行動を通じて、主人公の闇尾超が精神的な苦悩と成長を経験している様子が描かれています。また、物理学や哲学的概念を取り込んでおり、読者にとっては理解するのに時間がかかるかもしれませんが、それがこの作品の魅力の一つとも言えるでしょう。 読者によっては、その複雑さや独特の

          哲学小説『夢幻空花』についてのchatGPT-4との問答

          【哲学小説】夢幻空花(むげんくうげ)

          夢幻(むげん)空(くう)花(げ)          積 緋露雪著 序 なんだかんだであれやこれやと思ひ悩みながらの十年以上の思索の結果、埴谷雄高の虚体では存在の尻尾すら捕まへられぬといふ結論に思ひ至った闇尾(やみを)超(まさる)は、それではオイラーの公式から導かれる虚数iのi乗が実数になるといふことを手がかりに虚体をも呑み込む何か新たな存在論が出来ぬかと思案しつつ、それを例へば虚体は存在に至るべく完全変態する昆虫の生態を模して存在の蛹のやうなものと強引に看做してしまって

          【哲学小説】夢幻空花(むげんくうげ)

          想定される生成系AIが齎すであらうこと 一

           単純に考へても生成系AIの出現により、やがてはコンピュータで行へることは全て全自動でできるようなり、ホワイトカラーの殆どは必要なくなるといふことへと思ひ至るが、これは当然の帰結である。コンピータは生成系AIに乗っ取られ、仮想世界は人間の手を離れて勝手に進化をし、最早それはNetworkで全世界のコンピュータは繋がる超強大なBlackboxの出現を意味する。そのBlackboxが人間の棲む世界に関はらうものならば、人間はコンピュータの奴隷にしかなり得ない。強大なBlackbo

          想定される生成系AIが齎すであらうこと 一

          【詩】死に化粧

          嗚呼、何たることか 生前の化粧をした貴女より 死に化粧の貴女の方が異様に美しいとは。 破壊が進む細胞に化粧が染み込んでいって、 骸に化粧が溶け込んだからでせうが、 こんなに美しい貴女をこれまで見たことがないので、 私は貴女の死に顔を見たとき息を呑んだのです。 美しさは多分、死に近しいものなのでせう。 さうでなければ、貴女がこんなに美しい筈がありません。 美が此の世と彼の世を繋いでゐるのでせうか。 桜が一番美しいのはその散り際にあると思ふと 何となく合点はいきますが、 それでも

          【詩】死に化粧

          自由とは何と不自由なことか

          自由とは言ひ換へれば無限大の束縛である。 この反語は抽象的ではあるが、 一寸頭を捻れば合点が行く筈である。 だから最早人間はその束縛から逃避することでしか自由は得られぬのであるが、 そもそもそれは不可能である。 ならばと人間だけでなく瞼を持つ生き物は瞼を瞑り、 その薄っぺらの闇の中で、内的自由だけが許される妄想遊びでお茶を濁してゐる。 哀しい哉、それ以外の自由など此の世には存在しないのである。 妄想とは存在の悲哀の表れでしかないのである。

          自由とは何と不自由なことか

          【詩】流される

          この酷く落ち込む憂鬱といふ名の大河に吾は 唯、流されるに任せるのか。 とはいへ、この川幅を泳いで渡る気力もなく、 また、幸ひにもこの大河は静かに流れ、 吾はそれに浮かんでたゆたふのが悦楽なのだ。 憂鬱に身を堕すことが悦楽を齎す逆説でしか吾は 生を繋げぬこの捻くれた存在にはいい薬だ。 生とは闇の中を生きるのに似てゐる。 何処まで行っても周りを見渡しても御灯明などありはせぬ。 光が希望と言ってゐるものはその誤謬に気付かぬのか、 それとも、闇ばかりの生に灯明がまるであるが如く嘯いて

          【詩】流される

          【詩】散る命を屁とも思はぬ非人の亡霊が今の世に跋扈するとは

          これほどの存在に対する侮辱があらうか。 散る命を屁とも思はぬ非人の亡霊、 つまり、そいつは最早人間ではないのだ。 非人としか呼びやうのないそいつは、 Zombie(屍生人)の如く墓で眠ってゐたものが 非人の野望に共振してその亡霊が合体して甦り 冷血動物ならまだしもどす黒い野望が 人形(ひとがた)に変化(へんげ)して、 暴君よりも更に冷酷に眦一つ動かさず、 人間が流す血を啜り嘗め、 もっとも血に飢ゑた非人は 人間が流す血を啜り嘗めることで人間になりたいのか。 否、非人には最早人

          【詩】散る命を屁とも思はぬ非人の亡霊が今の世に跋扈するとは

          宇宙顚覆への果てしなき執念が燃え立つ

          もとは単なる自己愛から発したとはいへ 此の宇宙への憎悪は果てを知らぬ。 油断をすると直ぐに私の周りを囲繞(いにょう)し、 さうすると私はどうしやうもなき息苦しさに襲はれ 此の宇宙から逃げ出したくなるのではあるが、 それは叶はぬ夢でしかなく、 無際限に続く此の宇宙から遁走できぬ私は ――はあはあ。 と酸素を求めて水面に口を出す金魚のように 息をすることに相成りし。 初めは此の宇宙から逃げ出したいと思ってゐたにすぎぬ其の憎悪は 次第に宇宙顚覆といふ大それた考へへと至り、 どうあっ

          宇宙顚覆への果てしなき執念が燃え立つ