デジタル世界の美【漫画あり】
みなさんは、写真加工アプリを使っていますか?
ボクは全く使いません。
まず、写真を撮りません。
と言っても、そういったアプリは素直に凄いと思いますし、それを使って良く見せることも自然な事だと思います。
でも………
先日、1990年代に発行されたファッション誌を読む機会があり、その頃と現在との圧倒的なまでの「差」というものを感じました。
90年代と言えば、まだコンピュータが一般的ではなく、写真もカメラマンの腕が全ての時代だったと思います。
カメラマンの腕に依る違いはあっても、モデル自体は「素」に限りなく近かったと思います。
その「素」に近いモデルさんが、フルメイクをしていようとも「すっぴん」と感じられるほど、何故か野暮ったく感じられました。
勿論、化粧の仕方やファッション自体も変わってきており、「素」自体でも当時と現代とでは「違い」があるとは思いますが、それでもそれだけでは済まない「差」を感じてしまいました。
その「差」こそが、『写真加工』です。
写真加工は、それこそ何でもできます。
以前、こんな漫画を描きました。
太った女の子がPhotoshopをフル活用して加工した写真をSNSにアップし、自己顕示欲や自尊心と言ったものを満たすという内容です。
これは極端な内容ですが、実際これと同じようなことがPhotoshopを使わずとも当たり前のように行われています。
自分をよく見せたいから加工する
でも、見る側も加工された写真が当たり前になってしまっており、加工済みが「基準」になってしまっているので、加工のない「リアル」を見たときに差を感じてしまうことはいいのかな?
と思った次第です。
先ほど、90年代のファッション誌を見て、フルメイクにも関わらずスッピンのような野暮ったさを感じると書きました。
それは今の時代、写真が加工されていることが当たり前になってしまっており、加工のない時代はどんなものでも古く野暮ったく見えてしまうということになります。
これと似たことを、先日コミックマーケットで感じました。
自らコスプレした写真集を作りそれをご本人が直接売っているブースを歩いた時のことです。
主に女性なのですが、彼女たちの頭上には、加工に加工を重ねた輝かしいご自身の写真が掲げられていました。
ポスターを見ながら歩き、
「おっ可愛いな」
と思ったサークルがあります。
そのまま視線を下に移すと、そのポスターに写っているご本人が座って売り子をしています。
その時、残酷なまでの「現実と加工の差」を目の当たりにしてしまいました。
もしそのポスターが加工されていなければ、ご本人はもともとポテンシャルの高い方でしたので大変魅力的に目に映ると思います。
しかし、加工済を先に目にしたことで、現実とのギャップが生じてしまい実際より低く評価してしまいます。
悪い言い方をすれば「詐欺だ!」と思ってしまうほど、現実の彼女とはあまりにも違いすぎていました。
と同時に、彼女にとって加工済の写真を掲げ自ら売り子することはマイナスにしかならないと思ってしまいました。
出会い系、マッチングアプリなどでも似たようなことは起こっていると思います。
良く見せるために行ったことが、実際の評価を下げる事態になってしまっています。
デジタル世界の美は、現実世界で触れ合わないことが前提でないと成り立たないのでは?
と思わざるを得ません。
かつて「スッピンで外に出るなんて無理」と言った声を聞きました。
今の時代、画像加工が化粧と同義になりつつあります。
このままいくと「加工無しで人目に触れるなんて無理」という声が出てくるかも知れません。
もしそうなったら、人間は現実世界で生きていくことができるのかなぁ。