助けて

「先生。たすけて、、とっても痛い…」

「どうしたの?どこ痛い?」

「ここいたい」

「…心臓?!」

「ちがう」

「苦しい?大丈夫?横になろうか?」

「ちがうよ先生」

「お腹?」

「ちがう。ここ、ここ痛いの」

「とりあえず保健室いこう」

「嫌!!!ちがう!!!!!!」

胸を抑えてわんわん泣く僕の背中をさする先生の眉毛は八の字になっていた。
痛いとこが溶けていく。伝えられない。伝わらない。

「ね、先生、まっしろな紙頂戴。」

僕は絵に書いて説明することにした。

「胸のね」
くしゃくしゃっとペンを回す。

「奥のね」
ぐるぐるっと円を描いた。

「ずっと、ずぅっっと奥の、ね?」
ぐりぐりって、何重にも重ねて。

「風船がね、割れちゃったの」
真ん中に長い長いまっすぐな線を1本引いた

「風船?」

「黒い雲が、いっぱい入ってきて」
そう、風船の中は真っ暗闇

「呼んでもないのに膨らむの」
どこからきたんだろうね

「いっぱいなのに、外からも槍が飛んできて」
丸い黒いものに向かう矢印を書いた

真ん中にもうひとつまっすぐな線を引く

「割れちゃった…。
せっかくね、、せっかく。外側だけは白かったのに。」
真っ白だったんだよ?もう跡形もない。

「表面は白いの?白い風船?」

「そう。綺麗な白。でも割れちゃった…
割れた所からはね、黒いのがたくさん零れてきて」
もう、白は見えない

「その黒いのが、僕の体を内側からどんどん溶かしていってるの」
痛いよ先生。

「なのに風船は膨らみ続けてる」
止められない。

「どうしてだろう?」

「わからないの…気づいたらこうなってた。とっても痛い。」
目を離した隙に。

「どうしよう先生、助けて…とっても痛い」
胸のずっと奥が真っ黒で痛い。

「痛いね。。」

「痛いよ、、先生」
紙をくしゃっと丸めて胸に当ててみる

「よく頑張ったね。
大丈夫だよ。ちゃんと治るよ」

「本当?」

「…マット敷いたよ。眠れるかな?」

「眠ります。。。」
そっか、忘れちゃえばいいんだ。

「いいのよ。ちゃんと休みなさい」

「ありがとう先生」
これで痛かったこと全部忘れられる。

「「おやすみなさい」」

涙を拭いて毛布を被る。

今日も僕は夢の世界に溺れます
壊れた風船なんてそっちのけで
悪夢の中に飛び込むの

僕が溶けていっていることなんて
全部忘れてほかの世界へ

痛くない。全然痛くない。
治っちゃった。

痛くない。痛くも痒くもない。
元通りの白い風船が見えたんだ

あぁ、よかった。

無事だった。

涙のかわいた頬が冷たい。
真っ赤になって泣いてた僕が恥ずかしくなった

雲ひとつない青空に
星が浮かんだ
白い風船を抱きしめて
見える世界に瞼を閉じる

夢なんだって知らないまんま。
また、このまま。溺れて僕は黒くなってく


「助けてくれてありがとう。先生」

















#先生
#心
#昔のお話

ちょっと何言ってるか分からない。
伝わるかな

ちょこっとフィクションほとんどノンフィクション
おやすみなさい

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